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Jul

【ダイヤモンドの功罪】ヤンジャンの新たな看板候補! 毎週トレンド入りする理由は?


(画像引用 : Amazon)

大反響を呼んでいるヤングジャンプの新連載漫画『ダイヤモンドの功罪』を徹底解剖!
ヤンジャン発売日に毎週トレンド入りを果たしている本作、一体何がそこまで人々を惹き付けるのかを検証し、本作の異質過ぎる魅力に迫ります!

「天才によって壊される人々」と「天才ゆえの苦悩と孤独」を同時に描いた問題作

https://twitter.com/young_jump/status/1672085568145215491

(画像引用 :『週刊ヤングジャンプ』公式twitter https://twitter.com/young_jump

これまで数多くのヒット作、人気作を生み出してきたヤングジャンプ。
現在も絶対的な看板作品の『キングダム』、2023年にアニメ化され話題を独占した【推しの子】など、数多くの有名作品を掲載しています。

そのヤンジャンに2023年2月、強烈な光を放つ新星が現れました。
平井大橋先生が描く野球漫画『ダイヤモンドの功罪』です。

平井先生は本作が初連載作品で、ダイヤモンドの功罪は2023年6月現在、まだウィキペディアの記事さえもありません。
にもかかわらず、連載から僅か4ヶ月の時点で「次にくるマンガ大賞 2023」にノミネートされました。

この賞のノミネート作品は一般ユーザーの推薦を募っていて、推薦者が多いほど有利。
つまり、かなり多くの人が本作を推したという事になります。

まだ1巻が出たばかりの新連載作品が、何故こんな驚異的なスピードで読者の心を掴んだのか。
その理由を繙く前に、ダイヤモンドの功罪という作品がどんな内容なのかを紹介します。

前述したように、本作は野球漫画です。
ですが、作品の主題は必ずしも野球ではありません。
むしろ「野球漫画の皮を被った人間ドラマ」と言うべきかもしれません。

本作の主人公は“綾”こと綾瀬川次郎(あやせがわ じろう)です。
小学5年生の男子ですが、身長は第二次性徴期を前にして169cmと成人の平均身長とほぼ同じくらい。
そんなフィジカルエリートの彼は過去にテニス、体操、水泳など様々なスポーツをやってみましたが、全て長続きしませんでした。

上手く出来なかったからではありません。
何をやっても上手過ぎて、周囲に馴染めなかったからです。
将来の為などではなく、小学生らしく楽しむ為だけにスポーツをやっていた綾ですが、何の競技をやっても周りから妬まれてしまい、全然楽しめず辞めざるを得なかったのです。

そんな綾が、野球というスポーツと出会ったところから物語は始まります。

それまでずっと個人競技をやっていた綾は、団体競技である野球を始めた事で初めて「仲間」を得ます。
それが凄く嬉しくて毎日が楽しくなり、野球も好きになりました。

しかしそれが、タイトルにもある「功罪」の始まりでした。

綾は良くも悪くも控えめな性格で、自分が優れた才能を持っている事に優越感を抱きません。
逆に、自分が出来すぎる故に他の同世代の子供が評価を下げたり「どうしてお前は出来ないんだ」と怒られたりする事に戸惑いを覚え、そうならないよう密かに手を抜くような子供です。
年の大きく離れた姉と母に囲まれ育った事で競争する対象が身近にいなかった影響もあってか、幼少期から「競争する」という発想自体がなかったのかもしれません。

綾は野球でもズバ抜けた才能を発揮し、彼が入った少年野球チーム「バンビーズ」には彼が投げる速球を受けられるキャッチャーさえいませんでした。
それでも綾は純粋に仲間と野球を楽しみたい、その為なら試合に出られなくても良いと考えていました。
バンビーズの監督もそんな彼の性格に一度は理解を示しましたが……そのあまりに突出した才能を埋もれさせる事は出来ませんでした。

監督曰く「素直で賢くて明るくて優しくて…でもそんなのどうでも良い!」
これだけを見ると、才能がある人材にしか興味のないドライな大人のようですが、この監督は寧ろ逆。
そんな彼が綾本人の人格を「どうでもいい」と切り捨ててしまうほどの才能を、綾は有していたのです。

結局、監督は12歳以下の日本代表を決める「侍ジャパンU-12デジタルチャレンジ」に勝手に応募し、綾を言いくるめて選考会へと行かせました。
しかも「君が試合に出られないのはイガ(バンビーズの捕手で綾の友達)が球を捕れないからで、それをイガがどう思ってるかな?」と、教え子をダシにするような言い方で。

「この子は将来とてつもない選手になる。埋もれさせてはいけない」という使命感
「この子がチームにいると誰もが妬み、自信をなくしてしまう」という危機感
「自分にはこの子を正しく導く自信がない」という焦燥感
「この子を見ていると野球に携わってきた自分があまりにもちっぽけに感じてしまう」という劣等感

そういった様々な感情を自分の中で背負いきれず、綾をチームから遠ざけたのでしょう。

彼によって狂わされた大人は、バンビーズの監督だけではありません。
チームメイトのヤスの父親も、息子より圧倒的に才能で勝る綾に魅入られ、息子への期待を完全に失ってしまいました。
結果、家庭は崩壊しヤスはチームを辞める事になってしまいます。

このように、本作で描かれているのは「綾という天才によって壊される人々」と、「そんな状況を何度も経験し孤立していく綾の苦悩」です。
例えば「天才ゆえの苦悩」や「才能の差に打ちひしがれる凡人」といった描写はスポーツ漫画ではありきたりですが、それをメインテーマに据える作品は稀。
それでも将棋などの個人競技であれば珍しくはありませんが、野球漫画でしかもこの二つを同時にメインで描く作品となると、過去にほとんど例がありません。

その後も綾は、底知れぬ才能で多くの大人や同世代の選手たちを魅了し、畏怖させ、狂わせていきます。
そしてその度に彼は傷つき、自分の心を守るためについ「代表になんてなりたくて来たんじゃない」など周囲から嫌われてしまうような言動を重ね、それでも一度好きになった野球を辞めたいとも思えず、トラブルメーカーであり続けます。

野球の一塁、二塁、三塁、ホームを結んだ内野の形を「ダイヤモンド」と称します。
その野球においてダイヤの原石である綾が周囲にもたらす功績と罪。
それが、この作品の主題としている部分であり最大の魅力でもあります。

毎週トレンド入りの理由は「感情の揺さぶり」


(画像引用 : Amazon)

ダイヤモンドの功罪は、連載開始直後の第2話の時点でトレンド入りを果たしました。
新人作家の連載作品としては異例のスピードです。
それ以降、ヤンジャンの発売日には必ず「ダイヤモンドの功罪」がトレンド上位に入るようになりました。

トレンドに入る作品は、単に人気があるというだけではありません。
「この作品を読んだ事を誰かに伝えたい」「今のこの気持ちを共有したい」という読者の心理があってこそです。
本作は、読者をそんな心理にさせる要素が幾つも含まれています。

この作品を読んでいる人の中には野球経験者も一定数以上いるでしょうが、単純に漫画好き、或いは話題作だから読んでみた、ヤンジャンの連載作品だから読んでみたという人もかなり多いと思われます。
それでも共感を覚える人が多いのは、本作が野球経験者でなくても共感できるポイントがあるからに他なりません。

綾の圧倒的な才能に対し、周囲の選手が抱く対抗心、焦燥、劣等感、そして苛立ち。
U-12日本代表でチームメイトになった同じ投手の円、彼の球を受ける事になった捕手の桃悟、バックで守るキャプテンの椿、彼の後に投げるかもしれない投手達はそれぞれ立場も性格も異なるものの、全員が綾に強烈な感情を抱きます。
その感情の中にどれかしら、読者の人々が日常の中で誰かに対して抱いているものと類似している筈です。

綾に対して抱く感想も、人によって大きく異なっています。

綾の初マウンドは中学生で遥か格上のチーム「枚方ベアーズ」でしたが、そんな相手に一本のヒットも許さず快投を続けていた彼は、バッテリーを組む桃悟に「年下相手にヒット一本も打てないと楽しくないだろうから、わざと何本か打たせよう」と提案します。
この発言の背景に自分の経験(上手くいかない事で空気が悪くなり関係が破綻する)があり、対戦相手であろうとそれを経験させたくないという優しさがある事を、彼の視点で本作を見ている読者ならわかります。
でも桃悟にそんな事がわかる筈もなく、対戦相手を見下し本気でプレイしている選手全員を愚弄しているとしか思えないこの言動に対し、彼は心底軽蔑していました。

綾に同情の余地があるのか、それ以前の問題と切り捨てるのか。
読者の抱く感想は様々で、こういった各キャラの言動による「問題提起と対立構造」が毎回のように本作にはある為、自分の思った事をTwitterで発言したくなるのだと思われます。

こういった要素をひっくるめて、本作には読者の感情を揺さぶる魔力があると言えます。
綾に対して抱く各キャラの強い感情、桃悟の円に対するクソデカ感情、更には子供に対して大人達が向ける複雑な感情。
そういった感情の描写を、いわゆる「心の闇」という単純に一括り出来るような形ではなく、各々の立場であれば芽生えて然るべきものとしてリアルに描ききれている事が、本作をここまでの話題作にした最大の理由であり面白さでもあるのです。

読み切り作品との関係は?

(画像引用 :『週刊ヤングジャンプ』公式twitter https://twitter.com/young_jump)

平井先生はダイヤモンドの功罪を連載する前に、4作の読み切り作品を描いています。

・ゴーストライト
https://tonarinoyj.jp/episode/13933686331716417293

・ゴーストバッター
https://tonarinoyj.jp/episode/13933686331716417290

・可視光線
https://tonarinoyj.jp/episode/3269754496472606415

・サインミス
https://tonarinoyj.jp/episode/3270296674425247301

実はこれらの読み切り、いずれもダイヤモンドの功罪と同一世界の物語で、綾をはじめとした本作の登場人物が成長した姿で描かれています。
ただし全くの同一世界、同一人物かというとそうではありません
例えば『ゴーストライト』に登場する綾は東東京代表の雨宮高校出身ですが、ダイヤモンドの功罪では大阪金煌に進学する未来が描かれていますし、『可視光線』に登場する桃悟もキャッチャーではなくサードと、設定は微妙に異なっています。

よって、これらの読み切りがダイヤモンドの功罪のネタバレになるとは限りません。
とはいえ、これらの作品がダイヤモンドの功罪のプロトタイプのような位置付けである可能性も否定できず、読み切りの展開を一部踏襲する事は十分に考えられます。

もしネタバレ要素を一切目に入れたくないという方は、少なくとも『ゴーストライト』と『可視光線』は読まない方が良いでしょう。
ただし、これらの作品を読む事で各キャラの関係性をより深く把握でき、特に17話から登場する園大和がどれだけ重要なキャラかを知る事が出来ます。
ネタバレに対してこだわりがなければ、ダイヤモンドの功罪をより楽しむ為、これらの読み切り作品にも触れてみる事をオススメします。

まとめ

綾がただのフィジカルエリートじゃなく、たったの一試合で攻守のリズムなど野球の本質となる部分まで理解しようとするガチの天才という点が、この作品の凄いところです。
それこそ現実の世界における大谷翔平選手のような野球の申し子とも言える存在で、そんな彼だからこそチームメイトだけじゃなく監督をはじめとした大人達まで狂わせてしまう事に説得力がありますよね。
これだけ多くの人の心を揺さぶる作品がヒットしない筈がありません!

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