出典：死神坊っちゃんと黒メイド 公式サイト

魅力②不器用な坊っちゃんの恋心

ラブコメの完成度は男主人公で決まる。とは筆者の持論ですが、メイドのアリスに加えて本作品に欠かせない要素となっているのが主人公・坊っちゃんのキャラクターです。坊っちゃんは先ほど解説した「呪い」により、友人や家族にまで距離を置かれ、それがトラウマとなっています。

そのため森の館で何年も孤独に暮らしており、街の人からも「死神」と噂される始末。心をなぐさめるのは読書と特技のピアノくらい。自分は人から嫌われても仕方ないと思い込み、性格はかなり陰キャ…もとい自虐的になっています。その孤独を癒してくれたのが、メイドのアリスでした。

坊っちゃんがアリスへの恋心を自覚する過去エピソードは、原作4巻。アニメでは第4話で描かれています。呪いのためにやさぐれている坊っちゃんの前に、お世話係としてアリスが現れます。

実は坊っちゃんとアリスは幼い時に出会っており、アリスは坊っちゃんの優しさに救われた過去があるのですが、坊っちゃんはそれを覚えていませんでした。アリスは、今度は自分が坊っちゃんを救う番だと、邪険にされてもかいがいしくお世話を続けます。

しかし他人を遠ざけるのがクセになっている坊っちゃんは彼女を受け入れることができず、ついに家出を決意します。

吹雪の中をさまよい、力尽きて倒れる坊っちゃん。「誰かを愛してみたかった」と未練を抱きながら意識を失う寸前、坊っちゃんはアリスが幼いころに出会った少女だと思い出します。その時、目の前には坊っちゃんを探しに出たアリスの姿が……！

アリスは坊っちゃんに感謝と愛を伝え「生きましょう。一緒に」と告白。孤独を溶かしてくれたアリスの想いに、坊っちゃんもまた彼女への恋心が芽生えるのを感じるのでした。それから舞台は物語スタート時点の現在につながります。

アリスへの恋心は自覚したものの、人付き合いに慣れておらず、初心な坊ちゃんはアリスの逆セクハラに悩まされる日々。そんな坊っちゃんですが、アリスに想いを伝えようとさまざまな作戦を画策します。吊り橋効果を狙って怖い話をしてみたり、流星群を見ようと夜の湖畔に連れ出してみたり。。。

不器用な坊っちゃんの行動はたいてい空回りに終わり、一枚上手なアリスに逆にからかわれることも多いのですが、アリスは坊っちゃんの想いがうれしくてたまりません。そのことが読者にもよく伝わるので、安心して二人の関係を眺めていられます。

出典：死神坊っちゃんと黒メイド 公式サイト

魅力③個性的な脇役たち

『死神坊っちゃんと黒メイド』には、二人を囲む個性的なキャラクターがたくさん登場します。まず、執事のロブ。随分なおじいちゃんですが、執事としての腕は超一流。一方、年のせいか少しぼんやりした所もあったりします。とはいえそこは年の功。すばらしい察しの良さと気遣いで坊っちゃんとアリスの仲をサポートします。

坊っちゃんの妹ヴィオラは、ツインテールがトレードマークでおしゃれ好きな女の子。執事のロブに惚れています。ちょくちょく館に遊びに来るのは兄が心配だからというのもありますが、実はロブ目当てだったりもします。

そして途中から坊っちゃんの友達になる、魔女のカフと魔法使いザイン。カフは真面目でまっすぐなんだけど、ちょいとおバカなのが玉に傷。一方、彼女の幼馴染であるザインは頭はいいのですがスケベなところがあり、アリスやヴィオラに色目を遣ってはカフに睨まれたりしています。

坊っちゃんとアリスの関係とはまた違った魅力を放つコンビです。さらに、坊っちゃんの弟ウォルターの存在も欠かせません。家長を狙うウォルターは坊っちゃんを目の敵にしているのですが、次男コンプレックスが強すぎて空回りしています。

そのコンプレックスにも、母親から愛されたかったといういじらしい背景があったりして、何だかんだ憎めないキャラです。

出典：死神坊っちゃんと黒メイド 公式サイト

【Blu-ray】&【DVD】第1巻は2021年9月29日発売！

まだまだこの作品の魅力は語りつくせないのですが、今回はこの辺で。上記の内容を読んで気になった方は、ぜひ原作およびアニメをチェックしてみてください。イノウエ先生のキュートな絵が見れる原作漫画も、動き回る坊っちゃんとアリスが見れるアニメも、どちらも最高の出来です。

アニメでは、坊っちゃんの声は花江夏樹さん、アリスの声は真野あゆみさんが担当しています。坊っちゃんが赤面する演技や、アリスの妖艶な雰囲気がばっちり再現されていますので、きっと原作ファンも楽しめるのではないでしょうか。

第1話&2話を収録し、さらにピクチャーボイスドラマ4話の映像特典を収めた【Blu-ray】&【DVD】第1巻は、2021年9月29日発売です。