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Jun

【ゆるゆり】なぜクラウドファンディングで3期円盤売上以上の人数が支援者になったのか?

濃いファンの多さ

出典 : Amazon.co.jp

2008年に連載が始まった当時のゆるゆりは、百合作品としては必ずしも王道とは言えないポジションでした。
当時はまだ「ライトな百合」というジャンルが一般的ではなく、百合ものと言えば精神的な結び付きが濃厚だったり、耽美な描写が売りだったり、女性同士の恋愛描写を深く掘り下げる作品が多かったからです。

しかし、ゆるゆりのヒットによってこの流れは大きく変わり女子が女子に対し友情以上の感情を抱いている様子を仄かに描くソフトな百合描写を含んだ日常ものが急増。
ゆるゆりの掲載誌である百合姫はもちろん、4コママンガ誌のまんがタイムきららとその姉妹誌でもそういった作品が主流となり、次々とアニメ化されるようになったため、アニメにおいてはライトな百合が百合もののスタンダードとなりました。

ただ、そんな功績とは裏腹に、ゆるゆりのファンは決してライトではありません。
むしろ、かなりディープです。

ゆるゆりのコミックスは、通常版に加え特典付きの限定版を同時リリースするのが恒例になっています。
初めて限定版を付けたのは4巻で、1万部限定で発売
特典として付録小冊子「がちゆり」および直筆サイン(1万冊全部に直筆!)とシリアルナンバーが付属しました。

結果あっという間に完売し、買えなかった人の阿鼻叫喚に応え、2013年にはサインなしの「限定版りた~んず」が発売決定。
しかしそれも早々に売り切れ、現在もプレミア価格が付いています。
7巻からは毎回限定版または特装版が発売されるようになり、なもり先生描き下ろしの小冊子が大抵付属しています。

コミックスが発売された際、ランキング上位に入ってくるのは毎回、その限定版・特装版の方。
つまり、ゆるゆりのコミックスを買っているファンの大半が、通常版ではなく値段の高い限定版・特装版を購入しているのです。
なもり先生の労力を惜しまないサービス精神にファンが応えているという構図です。

この日々が、ファンを精鋭揃いにしたと考えられます。

ゆるゆりのクラウドファンディングは、一番安い【OPとEDのゆりコース】で3240円でした。
しかしその支援者はたったの105人
一番数が多かったのは12,960円の【Precious Supporterコース】で、実に1443人がこのコースを選んでいます。

一番高い【ゆりゆららららゆるゆり大富豪コース】は509,210円とかなりの高額でしたが、限定10名の枠は開始早々に売り切れ。
それ以外の高額コースもあっという間に売り切れていました。
もし、各高額コースの枠をもっと多く設定していたら、支援額は1億円を越えたかもしれません。

それくらいディープなファンが多い作品なので、3期放送から3年経ってもこれだけの人数と金額が集まったのです。

飢餓感がファンに火を点けた?

出典 : Amazon.co.jp

近年、ゆるゆりは休載が目立ち、コミックス発売のペースがかなり落ちています。
2010年~2012年には一挙8話掲載、3ヶ月連続コミックス発売、2巻同時発売など、異常なペースで量産されていた本作ですが、最近では1年以上コミックスのリリースが空くようになり、特に2017年~2018年はなもり先生が『RELEASE THE SPYCE』『えんどろ~!』という2作のオリジナルアニメでキャラクターデザインを担当した影響で百合姫に掲載される月の方が少ないくらいでした。

この状況にファンはかなりやきもきしており、「ゆるゆりを描いて!」と訴える声がSNSなどで多数見受けられるようになりました。
そんな飢餓感によって濃いファンに火が点いたのも、クラウドファンディングの成功に繋がったのかもしれませんね。

アニバーサリー効果

出典 : Amazon.co.jp

エンタメというジャンルにおいて、アニバーサリーイヤーは特別な意味を持ちます。
シリーズ化したコンシューマゲームやソーシャルゲームが5周年、10周年を迎えた際には大々的なイベントを行うのが常ですし、デビュー10周年を迎えたミュージシャンは大抵ベストアルバムなどでそれまでの活動を総括し、例年以上の規模のツアーを行います。
これはマンガやアニメも例外ではなく、アニバーサリーのタイミングで大きな企画を立ち上げ、ファン以外からも注目を集める作品は枚挙に暇がありません。

そして、ファンにとってもアニバーサリーは大きな意味を持ちます。
単純に作者や公式スタッフの発表する企画を楽しむのは勿論ですが、「自分の愛したこの作品の晴れ舞台を輝かしいものにしたい」という気持ちもかなりあると思われます。
長らくその作品やクリエイターと共に歩んだという心理が、ある種の帰属意識や一体化願望を生み出しているのです。

原作の連載開始から10年、アニメ開始から7年が経った2018年、ゆるゆりにもそういったファンはたくさんいると推察されます。
だからこそ、「この10周年を契機に、ゆるゆりという作品を更に多くの人に届けたい」という制作側の意図をファンも共有し、「OVAの制作」ではなく「OVAのクオリティアップ」という目的であっても多くの支援者が集まったのでしょう。

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