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【無職転生】なろうを代表する人気作はどんな内容?
ファンタジックな世界の現実感を持った成長譚
出展 : Amazon.co.jp
この作品の魅力は、主人公の成長と彼が構築していく人間関係です。
物語の舞台となる世界は魔法が存在する典型的な異世界ファンタジーの世界観ですが、その人間模様は中々に複雑で一筋縄ではいきません。
主人公のルディは、失敗した前世の記憶を持って生きています。
これ自体は異世界転生作品のセオリーですが、本作の場合は生前の世界での知識はほとんど活かされません。
教訓として当時の自分を反面教師にしてはいるものの、ルディの活躍はほぼ全てルディとして生きてきた努力と経験の反映です。
一方で、ルディ自身のパーソナリティや人間関係の構築には、生前の記憶が非常に色濃く影響しています。
彼は前世での自分の生き方を猛省し、こんどは上手くやると言わんばかりに努力を重ね、困った人間は極力見捨てないよう努めているのですが……それでも聖人君子には程遠く、内心で他人を馬鹿にしたり若干見下したりすることも珍しくありません。
また、相手の矛盾点や浅慮な意見に対し論理的に反論し「しっかり者の自分」を見せていますが、結果的に「まだ幼い年齢にもかかわらずそれに見合わない大人びた発言をする生意気な少年」に見えてしまい、相手を不快にさせるケースも散見されます。
特に父親のパウロに対してはそれが顕著に現れます。
本作はラノベでは珍しく、主人公の親が濃密に描写されていて、特にルディとパウロの関係はこの作品の大きな見所の一つになっています。
パウロは優秀な剣士でリーダーシップもあり評判も良い人物ですが、その反面浮気性で感情的になりやすく、酒に溺れる悪癖もあります。
そんなパウロに対し、生前の記憶を持ったルディは当初「父親」としての彼に対し客観的観点をもって接していました。
しかし時が進み、様々な経験を経て家族の温かさも知ったルディは、いつしかパウロに対し本来の父親像を求めるようになっており、自分よりも後に生まれた子供に父としての目を向ける彼に憤りを覚えたり、過大な期待をされることに理不尽さを抱いたりするようになります。
通常、成長とは「強さ」を得ることを指します。
本作のようなファンタジー作品の場合は、戦闘力が最もわかりやすいですね。
また、「苦難に立ち向かう精神力」や「自分に厳しく他人に優しい姿勢」などの人間的な成長も一般的な例です。
ルディも心身共に大きくなり、妹分のエリスを自分の危険も顧みず助けようとするなど、本来の意味での成長を見せます。
ただ彼の場合はそれだけではなく、「弱さ」を身に付けるという成長も見せています。
生前、恐らくはネット上で常に斜に構え、捻くれた姿勢や発言をしてマウントを取ろうとしていたと思われるルディは、その頃の自分を幼い身でも露呈していました。
しかしその歪んだ思考は、多くの経験や人との出会いを経て薄れていき、生前の自分ではなくルディとして生きてきた等身大の自身を構築していきます。
パウロが自分に対し父親に相応しくない言動を見せた際、悲しみと怒りを覚えたのがその証です。
それは精神的な弱さから来る感情ですが、同時に彼の成長でもあるのです。
まとめ
なろう系に興味がない人でも『無職転生』の名前は一度くらいは見たことがあると思います。
異世界転生全盛のなろうで頂上に君臨した作品だけあって、異世界モノとしてもファンタジー作品としても高水準で女性キャラも可愛いので、アニメもかなり大きな注目を浴びそうです!
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