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30

Mar

【ウマ娘】はどうして覇権アニメになれたのか? 大ヒットの理由を徹底検証

擬人化の恩恵を得た「昔ながらのスポ根」

出典 : Amazon.co.jp

アニメ2期のドラマティックな展開によって人気爆発となったウマ娘ですが、2期が1期と比べて遥かにデキが良いかというと、そうではありません。
1期も十分に良質な作品で、本質的な部分は何も変わっていません。

ウマ娘は「萌え擬人化」「アイドル」「コメディ」など様々な要素によって構成されていますが、その根本となるのは「スポ根」です。
それぞれの夢、目標を持ったウマ娘たちが日々努力し、レースによって雌雄を決する。
勝利を仲間と共に喜び合い、敗北を心から悔しがり時に泣く……そんな、昔ながらのスポ根なのです。

ただし勿論、昔ながらのスポ根をそのまま現代に流しても、受ける訳がありません。
擬人化ならではの恩恵を最大限に活かしたからこそ、ウマ娘は成功したのです。

スポ根というジャンルは、かつてアニメ界において頂点を極めていました。
『巨人の星』や『アタックNo.1』などが流行った時代ですね。
時にやり過ぎとも思える特訓を重ね、ライバルと切磋琢磨し、勝利を目指していくこれらの作品は、アニメの花形として栄華を極めました。

しかしその後、世の価値観の変化によって「がんばれば夢は叶う」「ガムシャラにやれば報われる」といったスポ根の王道路線は完全否定され、スポ根も多様化の時代に突入していきます。
その中にあって、ウマ娘の1期はスペシャルウィーク、2期はトウカイテイオーを中心に、いずれも敗北や怪我による挫折からの復活劇が熱く描かれ、スポ根の王道とも言える内容になっていました。

それが受け入れられた最大の理由は、史実だからでしょう。
主人公の連敗や度重なる挫折といった鬱展開は近年忌避されていますが、「史実通り」であれば誰もが素直に受容できます。

一方で、サイレンススズカの復活のようなif展開もありますが、これも万人に受け入れられました。
理由は単純で、誰もが望んでいたからです。

「史実」「望まれていること」をストーリーにしているのですから、拒絶されるはずがありません。
こういった擬人化の恩恵によって、ウマ娘はスポ根の良い所だけを抽出したアニメになったのです。

スポ根というジャンルは近年、女性向けの作品ばかりになっていましたが、昔ながらのスポ根は男に受けるジャンル。
そのため、「可愛い女の子がたくさん出てるからとりあえず見てみよう」と何気なく視聴を始めた男性ファンにも刺さりやすかったのでしょう。

史実を活かし、史実に縛られず

出典 : Amazon.co.jp

擬人化作品が成功する上で重要なのは、その分野を擬人化する意義を示せるかどうかです。
単に美少女化しただけなら、まず相手にもされないでしょう。

戦艦を擬人化するのなら、その戦艦の製造から沈没までのエピソードをデザインや性格に反映させる。
動物を擬人化するのなら、その動物の独特な特性や習性を反映させる。
過去の成功例の大半は、そういった専門的な色づけを各キャラに行っているものです。

その点において、ウマ娘は過去のあらゆる擬人化作品の中でも指折りの優秀さです。
単純に見た目や戦績やレーススタイルをトレースするだけでなく、サイレンススズカの旋回癖やエアグルーヴのフラッシュ嫌いなど、あらゆる所に小ネタとして史実ネタを散りばめています。
これを全部探すのも、競馬ファンにはたまらなく楽しい作業でしょう。

一方で、史実を完全再現している訳でもありません。
競走馬は脚に骨折などの深刻な怪我を負った場合、治療は不可能で予後も非常に悪いため、安楽死という選択をしなければなりません。
しかしウマ娘たちは、史実で安楽死してしまったレースの後も、元気に生き続けています。

それ以外にも、史実にない描写はたくさんあります。
スペシャルウィークとエルコンドルパサーの対決が描かれた1期5話のレースは、アニメだと同着1位でしたが、この2人が史実のレースで同じ結果だったことはありません。
1期12話のジャパンカップにおけるブロワイエ(モチーフはモンジュー。史実では4着)のように、格を下げないためにあえて最終順位を伏せる見せ方にしているケースもあります。

史実だけでアニメを作れば、どこかで必ず綻びが生じ、盛り上がらないストーリーになってしまうでしょう。
かといって史実を無視し続ければ、なんのための競走馬擬人化なのかわからなくなります。
史実を活かし、史実に縛られず、絶妙なバランスで作られたからこそ、ウマ娘は多くのアニメファンに愛される作品になったと言えるでしょう。

まとめ

アニメ版の指揮を執っている及川啓監督は、『俺ガイル』2期および3期や『ヒナまつり』を手掛けた方ですね。
コメディもシリアスもこなす実力者という印象ですが、このウマ娘ではその手腕が見事に発揮されている印象です。
特にヒナまつりのテイストは随所で感じられます。(無理ーに対するこだわりとか舌の出し方とか)

この及川監督、実は競馬ファンではなく、競馬に関しては元々全然知らなかったと述懐しています。
競馬に関してはスタッフやプロデューサーに任せて、得意分野の方に集中して制作しているそうです。
その結果、エンタメ盛り盛りでありつつ競馬ファンの心も掴む、幅広い層に受けるアニメになったんだと思います!

アイドル要素はなくても成功した気がしますが。

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