アニメ・漫画・ゲーム・コスプレなどの気になるコンテンツ情報が盛りだくさん!

MENU

11

May

【スキップとローファー】アニメ効果で人気上昇! 好評の理由は物語をギスギスさせない主人公みつみの「天然たらし」


(画像引用 : Amazon)

2023年4月より放送を開始したアニメ『スキップとローファー』が大好評で、どうやら人気が急上昇している模様!
この作品がアニメファンにも受け入れられた理由を、様々な角度から徹底検証します!

期待度を大きく上回る高評価! アニメ人気でコミックスも全巻上昇


(画像引用 : Amazon)

2023年春クールは、『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』や【推しの子】など多くの話題作が放送される激戦区となりました。
放送前の期待はやはり原作知名度の高い作品や有名作の続編に集中し、『スキップとローファー』は必ずしも注目作だった訳ではありません。
dアニメが実施したアンケート「今期何見る?2023春アニメ人気投票」では32位、Filmarksの「2023年春アニメ期待度ランキング」では16位、アニメイトタイムズ「2023春アニメ、何観るアンケート」では15位圏外でした。

しかし放送が始まると、面白いけど観ると疲れる大作アニメが多い中、ほっこりとした気持ちになれる『スキップとローファー』はアニメファンの間で好評を博し、アニメ1話放送後には見事トレンド入り
更には日本だけでなく韓国でもトレンド入りを果たすなど、国境を越えた人気を獲得する事になりました。

Filmarksが春クール開始以降に調査した「2023年4月 話題の春アニメランキング」では、全作品中堂々の4位にランクイン。
みんなのランキングが実施している「2023春アニメ評価ランキング!」では2位に浮上(期待度ランキングでは13位)。
ニコ生アニメアンケートでも回を重ねる事に評価が上がっていて、1話は「1.とても良かった」が78.7%だったのに対し、2話は86.0%、3話は92.2%、4話は92.3%まで上昇しています。

これだけ好評という事もあって、原作コミックスへの影響も出始めています。
Amazonのコミック売れ筋ランキング(Kindle版)では全巻が100位以内に入り、特に1巻はTOP10に常駐。
他のECサイトでも同様の動きが見られ、その反響の大きさを物語っています。

人気爆発となっている同クールの【推しの子】や、2022年秋放送の『ぼっち・ざ・ろっく!』のような派手な動きではありません。
しかし当初の期待を大きく上回り、多くのアニメファンから楽しみにされている作品になったのは紛れもない事実です。

何故、ここまで『スキップとローファー』が高評価のアニメになる事が出来たのか。
その人気の秘密に迫ります。

なんでもアリのアフタヌーンが生んだ「少女漫画のような青春全開コメディ」


(画像引用 : Amazon)

『スキップとローファー』は2018年に月刊アフタヌーンで連載を開始しました。
この掲載誌に関しては、アニメから入った人やコミックスの表紙だけ見たという人が、かなりの確率で驚いていました。
というのも、タイトルや絵柄、或いは作風などから、原作は少女漫画だと思っている人が多数いるようなのです。

実際、少女漫画っぽい面は幾つかあります。

まず、主人公が女子高生の岩倉美津未(いわくら みつみ)である点
そして、みつみと常に隣り合わせで描かれている志摩聡介(しま そうすけ)が金髪イケメンである点。
みつみが美少女とは一線を画した目付きの悪い三白眼で、志摩がタレ目で優しげな風貌というキャラクターデザインも、少年・青年漫画より少女漫画を思わせる要素です。

しかし本作は紛れもなく青年漫画雑誌であるアフタヌーンの作品です。
更に言えば、本作はアフタヌーン以外では成立しない漫画と言えるかもしれません。
というのも、少女漫画としてもあり得ない所があるからです。

『スキップとローファー』の表紙やキービジュアルなどを見た人の多くは、この作品を「ラブコメ」だと予想するかと思います。
美少女ではない女の子とイケメンの二人が並んでいて、二人とも高校生。
どう見ても少女漫画原作の恋愛作品としか思えませんよね。

ですが、違います。
『スキップとローファー』は恋愛要素こそありますが、恋愛がメインの作品ではありません
主人公みつみの日常譚であり、彼女に感化され変わって行く周囲の人々、それによって変化していく関係性を描いた青春群青劇でもあります。

少女漫画の全てが恋愛作品という訳ではありませんが、殆どの漫画が恋愛メインです。
よって、本作のような少女漫画は滅多にありません。
かといって、これだけ少女漫画のように見える青年漫画もかなり稀です。

王道のように見えて、実は「ありそうでない作品」
アフタヌーンという雑誌は、そういった漫画をよく連載しています。
また、アニメ化された作品だけを見ても、『宝石の国』『ヴィンランド・サガ』『波よ聞いてくれ』『ブルーピリオド』『天国大魔境』と実に多彩なジャンルが扱われている事がわかります。

このなんでもアリと言えるアフタヌーンの独自路線が、この『スキップとローファー』という作品を生み出したと言っても過言ではないでしょう。

主人公みつみの浄化作用


(画像引用 : Amazon)

アニメ第1話の評価が2話以降と比べて低めなのは、決して1話が面白くなかったからではありません。
前述したように、この作品は「ラブコメのようでそこまでラブコメじゃない」「少女漫画のようで少女漫画じゃない」という、パッと見た感じと中身にズレがある作品なので、「期待していた話とは少し違った」と思った視聴者が相当数いたと思われます。
その点が、1話の評価に影響したのでしょう。

しかし一度作品の方向性を理解すれば、そこからはもう虜。
そんな視聴者はかなりの数に上っていると思われます。
その決定打となっているのが、主人公みつみの魅力です。

目付きこそ悪いみつみですが、表紙やビジュアルでもそうであるように笑顔が多い子です。
このギャップが、みつみというキャラを象徴しています。

みつみは石川県の田舎の出身で、東京の高校を受験し、みごと首席で合格して上京を果たしました。
そんな彼女の夢は、自分の生まれ育った街の過疎化を食い止める事。
その為には日本で最もハイレベルな大学に合格し、総務省に入り、定年後は市長になって日本や地方の財政を改善する必要があると考え、その為の人生プランを練っています。

これだけを見ると、目的意識の高いお堅い人物のように思えますが、実際の彼女はとても純粋で裏表のない子。
田舎生まれの田舎育ちで、周囲から「神童」と言われ、そんな彼等の期待に応えたいという気持ちが強いばっかりに空回りする事も多く、かなりのドジッ子です。
また、一般的な女子高生とは感性がズレていたり、頭は良いのに空気を読めなかったりします。

一方、みつみのクラスメイト達は様々なしがらみを持っていたり、考え過ぎて自意識を歪めていたりと、心に影を持つ子ばかり。
一見何も考えていないように見える志摩でも、子供の頃に子役として働いていた時期があり、その事で少々拗らせています。

そんな彼等が、みつみの純粋さや素直さに絆され、見失っていた事に気付いていく。
ただし、みつみ自身がそれを自覚していない。
それ故に、彼女は「天然しあわせインフルエンサー」などとも言われています。

そしてそれは、本作に触れた人達も同様。
みつみの前向きな気持ち、決して絵空事ではなく堅実に努力し目標に向かって進んでいる建設的な前向きさに、多くの読者や視聴者が惹かれています。
本作が人気を得た一番の理由は、このみつみの持つ強烈なパワー、そして主人公としての圧倒的な魅力に尽きるのです。

『スキップとローファー』に登場するキャラは、根は良い子ばかりです。
しかし前述の通り、心に鬱屈したものを抱えている為、ギスギスした空気が流れる事もあります。
アニメファンの多くは、そういったギスギスに対してあまり良い印象を持っていませんが、みつみがその空気を作中ですぐ浄化してしまう為、ギスギスで敬遠される事もありません。

その浄化作用も、本作の人気要素の一つと言えるでしょう。

みつみのモデルは石田三成?


(画像引用 : Amazon)

主人公として抜群の存在感を発揮しているみつみですが、彼女にはモデルとなった人物がいます。
それは意外にも、戦国武将の石田三成です。

作者の高松美咲先生は連載を目指していた頃、担当編集の薦めもあって司馬遼太郎先生の『関ヶ原』を読んだそうです。
その中に登場する石田三成は、合理主義で頭は良いけど他者をちょっと見下すタイプ。
根は悪人ではないものの、その所為で人間関係が上手くいかず苦労している……という人物像で描かれています。

その三成の唯一の理解者が島左近という人物。
彼は三成に悪気がない事、その所為で生き辛くしている事に可愛げを覚え、彼を肯定的に捉えています。

この関係性が、みつみと志摩の関係性のモデルになっていると、高松先生はインタビューで述懐していました。
なので人物としてのモデルと言うよりは、人間関係としてのモデルと言った方がより正確かもしれません。

また、他のインタビューで本作が少女漫画っぽい点にも触れていて、それを敢えて行っているとの事。
ベタベタの少女漫画設定でありながら恋愛を主軸にせず、心の機微や人間関係、誰かが誰かに影響し、影響されるという物語を描きたかったと仰っていました。

これらのインタビューから見えてくるのは、本作が如何に丁寧に作られているかという点です。
誰かを好きになるにしろ、嫌うにしろ、それぞれに相応の理由を抱え、けれどその理由は決して一面的ではなく、ふとしたきっかけで急激に変化していく。
そんな心の揺れ動きが毎日のようにある高校生活を繊細に、時に大胆に描いているのが、この作品の特徴であり魅力なのです。

アニメでもその点はしっかりと抑えられていて、決して派手な演出にはせず、テンポを崩さない範囲でじっくりと各シーンを描いている印象です。
みつみの声を担当している黒沢ともよさんのインタビューでも、分散収録(コロナ以降ではこれが主流)ではなく出演者全員を広いロビーに集めた上で収録を行っている事を明らかにしており、「人と人の関係」を大事に描いている本作の空気感を重視している事がわかります。

こういった丁寧さもアニメを観た多くの視聴者に伝わり、好意的に捉えられている理由の一つになっていると思われます。

まとめ

主人公のみつみが純粋だからこそ、計算高く人間臭いミカ、同性に嫌われたり怖じ気づかれたりしている結月、コンプレックスの塊だった久留米さんの個性がより引き立っている印象です。
特に志摩くんはたまに天然ブラックな一面を見せる為、内にこもる主人公だったら彼が悪く映りかねませんが、そこを素直にツッコむみつみによって救われているようにも感じます。
まさに主人公、って感じのするキャラですよね。

少女漫画っぽい印象を最初に持ちやすいので、どうしても男性より女性の方が食いつきが良いようですが、男性も普通に楽しめる作品です。
チェック漏れしていた人は、ぜひこの機会に本作に触れてみてください!

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です