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【ニセコイ】3期は何故作られなかったのか? 本当の理由を徹底検証
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『ニセコイ』はジャンプのラブコメ誌上最も長く連載された人気作品でしたが、アニメ3期&完結編は実現しませんでした。
その理由を単行本や円盤のセールス、展開やキャラに対する評判などから解明! 果たして何が原因だったのでしょうか!?
アニメ1期までは順調
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週刊少年ジャンプはこれまでに数多くの人気ラブコメを輩出してきた雑誌ですが、2000年代までに累計発行部数が1000万部を突破した作品は『きまぐれオレンジロード』『電影少女』『I”s』のみ。
ジャンプスクエアで連載を再開したのちに突破した『To LOVEる -とらぶる-』を含めても4作品しかありません。
2011年に連載を開始した『ニセコイ』は、最終的に1200万部以上を売り上げ、これらのレジェンド作品に肩を並べる実績を残しています。
その歩みは、当初から順調でした。
連載開始直後のニセコイのジャンプ掲載順位は、一度も大きく下がることはなく、ほぼ7~10位で固定。
打ち切りの心配はない好位置ではありましたが、『ワンピース』『NARUTO』『BLEACH』『銀魂』『トリコ』『バクマン』といったヒット作に割って入るのは難しかったようです。
この流れが変わったのは30話前後。
桐崎千棘(きりさき ちとげ)、小野寺小咲(おのでら こさき)に続く第3のヒロインとして“マリー”こと橘万里花(たちばな まりか)が登場した頃ですね。
ハーレム系ラブコメとしての方向性が定まり、各ヒロインの可愛さが読者にも伝わってきたことで軌道に乗り、5位前後をキープするようになります。
連載開始からちょうど1年の時期に発売された4巻の帯には、100万部を突破したことが記されています。
近年で最大の成功を収めたラブコメ『五等分の花嫁』『かぐや様は告らせたい』でも100万部突破は6巻発売時で、ニセコイの勢いがどれだけ凄かったかがわかりますね。
その後、『暗殺教室』『黒子のバスケ』『食戟のソーマ』『ハイキュー!!』など人気連載が次々に台頭してきたことで掲載順は再び10位前後が多くなりますが、ファンの数は更に増加し、連載開始からわずか1年半でアニメ化が決定。
〈物語〉シリーズのメガヒットで勢いに乗っていたシャフトが制作し、2014年に放送されたアニメは一定の成功を収め、全巻5000枚以上を売り上げました。
アニメ放送の効果はコミックスの売上にも顕著に現れ、放送前は200万部だった部数は放送終了には500万部を突破し、その後も順調に伸び続けました。
そして2期終了から約4ヶ月後の2014年10月には2期制作が決定します。
ここまではまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
ちなみに、ニセコイ人気低迷の戦犯の原因の1つとされることがあるキムチ事件(主人公の一条楽が小咲の「キスしてもいい?」という問いかけを寝てて気付かず、千棘が「キムチでもいい?」と聞き間違える)は、コミックス5~6巻収録なのでちょうどこの時期。
少なくともこの件で勢いが落ちたという事実はありません。
低迷期の始まりはアニメ2期放送前?
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ニセコイの掲載順が目に見えて落ちてきたのは、2015年に入ってからです。
それまでは10位前後、真ん中くらいの掲載が定着していましたが、2015年以降は後方の15位前後の掲載が多くなり、単行本の売上もこの辺りから横ばいになっていきます。
話数でいうと150話、修学旅行が始まるくらいの頃ですね。
この頃はメインとなる3人のヒロインと楽との関係性がややマンネリ化しており、4人目の鍵所持ヒロイン・奏倉羽(かなくら ゆい)の登場、そしてやサブキャラの出番が増えていた時期。
楽もこの時点では特にこれという派手な問題行動はなく(ラブコメ主人公特有の鈍感さやご都合的な考えはありますが)、単純に中弛みが原因と思われます。
2015年4~6月に放送されたアニメ2期には、そういった状況を打破する起爆剤としての期待もあったでしょう。
しかし、アニメ2期は1期ほどの勢いはなく、コミックス売上増加には繋がりませんでした。
円盤売上も平均約4000枚と、ややセールスを落としています。
ただ、これらの状況を「低迷」と表現することはできないでしょう。
ラブコメは10巻以上続くと中弛みはどうしても避けられず、10巻台で売上をキープしているのは寧ろ健闘。
また、この時期にはスピンオフ作品『マジカルパティシエ小咲ちゃん!!』が好評を博しており、まだまだニセコイに期待する人はたくさんいたと思われます。
OVA同梱のコミックスも3万部以上をセールス。
この時期はまだまだ3期の選択肢が十分にあったと思われます。