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【SPY×FAMILY】黄昏(ロイド)はスパイ失格!? 検証まとめ
スパイと父、どっちの自分を選ぶか
— 遠藤達哉(公式) (@_tatsuyaendo_) July 4, 2019
長らくスパイとして生きてきた黄昏にとって、子供や妻は未知の存在。
何を考えているかわからないため、合理的な対処が追いつかず、苦戦の日々を送ります。
ただ、子供相手に苦戦する理由については、単に親になった経験がないから……というだけではないようです。
黄昏は戦災孤児で、幼少期は誰からも救いの手を差し伸べてもらえず、ただ泣くしかできない存在でした。
当時の自分はあまりに無力で、そんな過去を思い出すため、子供が泣いている姿を苦手に感じていたのです。
しかし彼は子供嫌いではありません。
むしろ、過去の自分のような子供を作らないようにしたいと考えています。
黄昏がスパイになったのは、「子供が泣かない世界」を作るため。
スパイとして任務を遂行し続けることが、その途方もない夢に繋がると信じているのです。
そういう青臭い部分を持っている人間なので、非情になりきれない面もあります。
アーニャを引き取って間もない頃、彼女が敵勢力に連れ去られた際には、単身乗り込んでアーニャの奪還を行うというスパイらしからぬ行動に出ます。
また、イーデン校の入試面接をアーニャと共に受けた際、面接官が心ない質問をしてアーニャを泣かせたことに対し、任務のために我慢しなければならないと理解しつつ激昂を抑えられず、感情を爆発させてしまい、自ら試験を降りようとする……といった一幕もありました。
私情を任務よりも優先させる行為は、スパイとして失格です。
その意味では、現在の黄昏はスパイとして堕落していると言われても反論の余地はないでしょう。
とはいえ、オペレーション〈梟〉を遂行するためには、アーニャやヨルと普通の家族を演じなければならず、普通の父親であれば、子供を蔑ろにされれば本気で怒るのが当然のこと。
皮肉にも、スパイ失格といえる黄昏の行動は、オペレーション〈梟〉の要である普通の父としては満点回答とも言えます。
つまり、この任務を完璧に遂行しようとすればするほど、そして順調に進むほど、黄昏はスパイとしての自分を見失っていくことになるのです。
前述したように、黄昏は冷徹なように見えて実際には非情になりきれず、感情に流されやすいタイプ。
それでも西国一のスパイになれたのは、自分の感情を波立たせる存在がなかったからです。
アーニャという子供、ヨルという妻を持つことで、その牙城は崩れつつあります。
いずれオペレーション〈梟〉が佳境を迎える頃、黄昏は大きな決断を迫られることになります。
任務を遂行するにはスパイであり続ける必要があり、そのためには家族の2人を突き放さなければなりません。
もし2人と離ればなれになりたくなければ、自らスパイ失格の烙印を押す必要があるでしょう。
「×」という記号は、掛け合わせやコラボレーションの意味に加え、対戦を意味するものとしても使われます。
よって『SPY×FAMILY』というタイトルは、「スパイでありファミリーでもある」、「スパイとファミリーの物語」といった意味があり、そして「スパイ対ファミリー」……すなわち相対するスパイとファミリーのどちらを選ぶかという意味もあると思われます。
彼が最終的にどのような選択をするのか。
それもまた、『SPY×FAMILY』という物語の主題の1つと言えるでしょう。
まとめ
『SPY×FAMILY』は第1話からトレンド入りを果たすほど話題になりましたが、その人気の大きな要因が黄昏の人間性です。
もし彼が冷酷なだけのスパイだったら、ここまで即座に火が点くことはなかったでしょう。
スパイでありながら、少年漫画のキャラクターらしい正義感と熱さ、人間味を持っている彼がメインキャラだったからこそ、多くの読者がワクワクを感じたと思われます。
父としては新米なので、アーニャに対する接し方はぎこちないですが、それでも少しずつ父親らしくなってく姿は微笑ましく、ほっこりしますね。
ヨルさんともお似合いのカップルなので、最終的には本当の夫婦になって欲しいです!