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Sep
仮面ライダーのデザインにバッタが採用された理由とは?誕生経緯とバッタ以外のモチーフについてまとめてみた
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初代仮面ライダーの1号・2号はバッタをモチーフにデザインされたことを知っている人は多いはず。
しかし、なぜバッタが選ばれたのか、その経緯はあまり知られていません。
そこで今回は仮面ライダーのデザインについて下記の内容をまとめました。
・バッタが選ばれた経緯
・バッタモチーフに隠された秘密
・デザインの特徴
・バッタ以外のモチーフ
デザインの秘密を知っていると視聴時の楽しみが増えるので参考にしてみてください。
仮面ライダー企画の始まり
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新しいヒーローを誕生させようと考えた東映。
タイガーマスクや月光仮面など子供たちから人気を集めていたヒーローを参考に、下記の要素を盛り込むことにします。
・仮面を被っている
・バイクに乗る
『仮面ライダー』の基本となる要素ですね。
ここからさらに企画をブラッシュアップ。
「改造人間が秘密結社と戦う」というストーリーの基本ができあがります。
基本路線ができた東映はヒーローのデザインを石ノ森章太郎に依頼。
NGとなった第1弾のデザイン「スカルマン」
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グロテスクさを感じるようなデザインが好きな石ノ森章太郎は、第1弾のデザインとして骸骨の仮面を被った「仮面ライダースカルマン」を東映に提出します。
これは元々『週刊少年マガジン』に『スカルマン』として掲載されていたデザインを東映の企画用に描き直したもの。
新しいヒーローを登場させたい東映は「仮面ライダースカルマン」にNGを出します。
また、グロテスクなデザインが東映上層部にウケず、営業上問題が生じると危惧されたこともNGとなった理由の1つです。
バッタモチーフの『仮面ライダー』が誕生
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「仮面ライダースカルマン」がNGとなった石ノ森章太郎は50以上ものデザインを生み出します。
その中の1つがバッタをモチーフとしたデザイン。
手元にあった昆虫図鑑からヒントを得てデザインを考えだしたようです。
なぜ数ある昆虫の中からバッタになったのか?
昆虫図鑑には掲載されている他の昆虫ではだめだったのでしょうか?
その理由はバッタが骸骨に似ていたから。
骸骨ほどではありませんが、他の昆虫よりもグロテスクさを感じたようです。
バッタをモチーフにしたデザインを第2弾として提出しますが、またしても上層部から以下のような反対意見が寄せられます。
・相変わらずグロテスクであること
・昆虫は弱々しくヒーローのイメージではない
石ノ森章太郎は反対意見に対し、「人間サイズになれば強く、跳躍力がすごいものになる」と反論。
石ノ森章太郎の子供が50以上あるデザインの中から選んだと説得します。
子供向けヒーローなら子供に選んでもらうのが1番説得力がありますからね。
バッタモチーフの『仮面ライダー』に隠された秘密
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骸骨に似ていたり、子供が選んだりといった理由で選ばれたバッタモチーフのデザイン。
しかし、それ以外にもバッタがモチーフとして選ばれた秘密が。
その秘密には当時の日本の状況が大きく関係しています。
『仮面ライダー』の企画が始まった1960年代後半から1970年前半は、イタイイタイ病など日本各地で公害問題が多発していました。
バッタをモチーフにすることで自然を表現。
一方、敵対する秘密結社を公害と見立て「環境破壊から自然を守る」というコンセプトに。
デザインを担当した石ノ森章太郎自身、バッタをモチーフにしたことに対して以下のように語っています。
「バッタは自然の象徴。バッタの能力を持った主人公が風をエネルギーにして自然破壊に立ち向かう」
悪の秘密結社に立ち向かう仮面ライダーの姿には、公害問題に打ち勝とうという応援メッセージが隠されているのです。
仮面ライダーのデザインの特徴
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仮面ライダーのデザインには下記のような共通点があります。
・大きな複眼
・眉間部分のランプ
・触覚や角
・クラッシャーと呼ばれるギザギザの口元
仮面ライダー1号・2号に取り入れられた要素であるため、その後に誕生した仮面ライダーにもこの要素が盛り込まれています。
必ずしもこれらの要素全てが盛り込まれるわけではありませんが、どれか1つでも盛り込まれていれば仮面ライダーに見えますよね。
50以上あるデザインから選ばれただけあり、時代が変わっても古臭さを感じない秀逸なデザイン。
石ノ森章太郎の努力の賜物ですね。