アニメ1期は「顔見せ」程度の登場

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第二章（原作2巻、アニメ1期4話）から登場したベアトリスは、当初から謎の存在でした。

スバルが“腸狩り”エルザ・グランヒルテに腹部を切り裂かれ、生死の境を彷徨っていた彼が治療のためロズワール邸に運ばれ、無事復調し屋敷の中を見学がてら歩き回っていた際、偶然出会いを果たします。
スバルに対し、ベアトリスは出会った瞬間から「……なんて、心の底から腹立たしい奴なのかしら」と言い放つなど妙にツンツンしていて、強い敵意こそないものの厳しい態度で接します。
しかし見た目がお子ちゃまなのに加え、お調子者で考えなしな所があるスバルは特に気にも留めないどころか遠慮なしに距離を縮めようとします。

初対面で延々と軽口を叩くスバルに、ベアトリスは「思い知らせてやるかしら」と不敵に告げ、彼の身体に触れます。
ベアトリスの手がスバルの胸に触れたところで、スバルは全身を炎であぶられたような錯覚に陥り、泣きながらダウン。
ベアトリス曰く「マナに干渉し敵意がないのを確かめた」とのことですが、スバルは彼女が人間ではないと悟り、そのまま気絶してしまいます。

このように、初登場時から人外の存在であると示唆されたベアトリスですが、その後も彼女の素性は謎のまま。
しかも一度気絶させられているにもかかわらず、スバルはベアトリスに対し特に悪感情を抱くことなく再度彼女の元を訪れます。

本来、ベアトリスは会おうとしてもそう簡単に会える存在ではありません。
彼女の所持能力「扉渡り」は、ロズワール邸にある全ての扉の内の1つと禁書庫の扉を自由自在に繋げる能力。
無数の扉が存在するロズワール邸内において、自分のいる禁書庫を好きな扉の先にワープさせることができるため、簡単に身を隠すことができます。

でもスバルは持ち前の勘の良さで、禁書庫へ通じる扉を一発で引き当ててしまいます。
それも一度ではなく毎回。
そんな彼にベアトリスは困惑を覚えていたようです。

けれどその後、スバルはそれ以上に困惑する羽目になります。
「死に戻り」という、死ぬと“ある時点”まで時が遡りそこからやり直せる能力を持つ彼ですが、ロズワール邸に来て4日目の夜に理由もわからないまま死に戻りが発動し混乱に陥ります。

その後迎えた二度目の「4日目の夜」にも謎の衰弱と襲撃者によって再度死亡し、今度は「4日目の夜」が訪れる前に屋敷を出て外から襲撃者の観察を行いますが……そんな彼の前にロズワール邸の双子メイドの妹・レムが得物のモーニングスターを手にして出現。
レムに攻撃を受け虫の息となったスバルは、三度死に戻りを発動させることになりました。

その上、死に戻りについて誰かに話そうとすると、謎の黒い手に心臓を掴まれ止められるペナルティまで発動。
精神的に追い詰められたスバルは、藁にもすがる思いで「5日目の朝まで俺を守って欲しい」とベアトリスに助けを求めます。

ベアトリスはこの懇願を受諾し、スバルと仮ながら契約を結びます。
するとベアトリスは、レムが死亡（スバルの衰弱死と同じ症状）した際にスバルを疑い牙を剥くロズワールやレムの姉・ラムから、リスクを冒しながらもスバルを守り抜こうとしました。
しかもその後、また死に戻ったスバルに対しても衰弱死の原因である呪いを解呪し、呪いの元凶たる魔獣と戦い負傷した彼を魔法で癒やすなど、手厚く救いの手を差し伸べるのです。

第三章ではあまり出番がありませんでしたが、王都から戻ったスバルがレムやエミリアの死に絶望し、死に戻りのため「殺してくれ」と懇願するも、その能力を知らないベアトリスは彼を殺すことはせず、空間転移魔法で屋敷の外に飛ばしました。

アニメ1期のベアトリスは、第二章に出番が集中しています。
その第二章は、スバルがロズワール邸を訪れてから（つまりベアトリスがスバルと出会ってから）5日前後の物語であり、ベアトリスにそこまでスバルへの情があるとは思えません。
それでも彼女は、悪態をつきながらも重要な局面で何度もスバルを助け、彼をハッピーエンドに導きました。

アニメ1期内ではベアトリスの素性や彼女の行動原理が説明されていないため、視聴者にもスバルが作中で言ったように「チョロイン」に映っていたかもしれません。
実際、お人好しで根が優しいのは確かなので、間違っている訳ではありませんが……彼女には彼女の事情があり、それによってスバルを助けていたのです。
そういう意味では、1期のベアトリスはあくまで「顔見せ」といったところで、彼女の本当の魅力が明らかになるのはアニメ2期で映像化される第四章からとなります。