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【仮面ライダー555】仮面ライダー史上屈指の問題児!?仮面ライダーカイザの魅力とは【草加雅人】
実質的には悪のライダーでありながら人類の味方であり続けた
出展 : Amazon.co.jp
以上の点からほぼ悪のライダーに相当する存在として作中外で扱われていますが、テレビ放送された『仮面ライダー555』本編内においては実は一切ブレることなく人類の味方であり続けたという点でも、ヒールとしては特異な立ち位置になっています。
『仮面ライダー555』ではオルフェノクという種族が旧来の怪人に該当する存在です。しかし人間の進化の一つという存在でもあるため、その内実には善人も悪人も両方いる単純に悪とは言えない存在でもありました。そのため、主人公の巧たちはオルフェノクとただ戦うということに疑問をいだくこともありますが、徹底的にオルフェノクを嫌う草加雅人はいかなる状況でも人類のためにオルフェノクを倒すという目的を曲げることはありませんでした。
それは恋い焦がれる園田真理の危機においても変わらず、作中で園田真理の命を救うために敵勢力からカイザギアを渡すことを要求された際「すまん真理…!」と涙しながら拒み戦い続けることを決意するなど、歪んでいるなりに正義感は一貫していることが複雑な持ち味のキャラクターになっています。
その最期も自分が弄び続けた木場勇治にカイザギアを奪われ、自分が変身してきたカイザに首の骨をへし折られるという皮肉なもの。これには脚本家の井上敏樹さんが村上幸平さんに「草加だったら誰に殺されるのが一番嫌?」と聞いて「木場」と答えたからだというコミカルな逸話も。
平成ライダーの中でも昭和ライダーに近い設定
昭和ライダーとは一線を画した設定が特徴的な作品の多い平成ライダーですが、その中において草加雅人は昭和ライダー的なモチーフが強いとよく言われています。
草加雅人がカイザに変身しても死亡しない理由は、流星塾時代にスマートブレインにより人体実験で埋め込まれたオルフェノクの記号との適合率が高いため。この点は敵組織の改造手術によってライダーとなり、人類と復讐のために戦うという昭和ライダーの要素を踏襲しており、その点を極端にしたらどうなるのかという試みの見られる造形です。
そういう意味では昭和ライダーで確立された勧善懲悪の図式をより複雑に相対化した作品の多い初期平成ライダーにおいても、象徴的なキャラクターだと言えるでしょう。
他メディアでの仮面ライダーカイザ(草加雅人)
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TV本編でも卑劣な人格が強調されているだけあって他媒体での出番や後の作品でもその悪辣さが強調されており、ほとんどは敵として出てきて無残に死亡するというものでした。
井上敏樹さん自身が執筆した小説版『仮面ライダー555ファイズ』ではヒロインの真理を強姦し、人間との共存を模索し人間との子供を授かったオルフェノクの長田結花を殺害するなど本編の規制から解き放たれ凶悪な側面を強調されています。
劇場版、及び桜庭一樹さんによる小説版の『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』では本編よりマイルドなキャラ付けでしたが死亡の運命からは逃れられずあっけない死に様に、更に映画『仮面ライダー大戦』でも回想シーンで新たな死亡シーンが描かれるなど、草加雅人としての客演ではほぼ必ず死亡するという嫌なジンクスを持っていました。玩具のカイザ変身アイテムの販促CMでもギャグ的に死亡するなどその扱いは徹底したものです。
そんな状況がついに変わったのが平成ライダー20周年番組の『仮面ライダージオウ』です。『仮面ライダージオウ』では5話、6話に乾巧と共に客演。乾巧との協力関係もかなりマイルド化し、ライバルにして仲間という距離感が保たれていました。流星塾の後輩であるアナザーフォーゼの暴走を止めるために活動し、ついに草加雅人として初めて生存した未来が描かれると歴代草加雅人の中でももっともいい扱いを受けます。
なお、『仮面ライダージオウ』の時系列に『仮面ライダー555』の世界が移行するきっかけが、園田真理が襲撃されている時に乾巧がファイズへの変身の力を失う場面だったため「ひょっとして真理はあのまま死んだのでは」「真理が死んだほうがこいつら協力できるのか」とネットでは囁かれる一幕も。実際には園田真理が『仮面ライダージオウ』の世界で死亡した可能性は低いのですが、草加雅人のキャラクター自体が軟化したことからネタ的に推測されました。
また、厳密には仮面ライダーカイザではありませんが、アニメの『ギャラクシーエンジェル』で「カイザ・ムラカミ」というカイザのパロディキャラが登場したことも。声優はなんと草加雅人と同じく村上幸平さん本人でありファンを驚かせました。
まとめ
悪辣ながらに歪んだ正義感と信念に生きた逆ヒーローとして人気の仮面ライダーカイザについて今回はまとめてみました。仮面ライダーカイザ、そして草加雅人は演者の村上幸平さん自身がとても気に入っていて、今でも9月13日を「カイザの日」として盛り上げているほどであり、今後も『仮面ライダーシリーズ』で再登場する可能性がとても高いでしょう。人を選ぶライダーですが、ハマればとことんハマり込めるライダーです。