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Mar
【五等分の花嫁】五月はメインヒロイン!? 不器用可愛い五女についてまとめてみた
母の跡を継ぐ夢と風太郎
原作コミックス第8巻収録の第66話「スクランブルエッグ(6)」で一花が証言していましたが、五月は母親が亡くなった際に他の誰よりも落ち込んでいたらしく、その姿は痛々しいほどだったようです。
また、5巻収録の第66話「七つのさよなら(3)」で五月は、母親の死後は自分が母親の代わりとなって姉たちを導く決心をしたと語っていました。
実際には中々上手くいっていないようですが……五月がどれだけ母親を慕っていたかがよくわかります。
そして五月は、母の生前の職業だった「先生」になるという夢を持つようになります。
風太郎が提案した「全員家庭教師」の一環で四葉の勉強を見てあげた際、「凄くわかりやすい」と言われたことが決め手になったようです。
ただ、それ以前には「先生になる」という夢は公言していませんでした。
母のことが大好きで、母に憧れていた五月が、その母と同じ教職に就きたいという目標を持つのは極めて自然。
何故、足踏みしていたのでしょうか。
五月には、教師となるために必要不可欠な要素が2つ欠けていました。
それは「学力」と「先導力」です。
学力に関しては言うまでもないでしょう。
風太郎と出会う前の五つ子は全員が赤点の常習者で、五月は五人の中では三玖に次ぐ成績だったものの、教師になれるような学力には到底及んでいませんでした。
勉強に対する意欲は五人の中でも一番上だったはずですが、持ち前の要領の悪さが響いてしまい、せっかくの努力もあまり身に付いていないという状況だったのでしょう。
先導力に関しても同様です。
前述したように、五月は母代わりとなって姉たちを導きたいという意欲を持っていたものの、実現できてはいません。
他者を導くには、単に知識や教養を積んでいるだけではなく、その人物と向き合って適切な方向を一緒に模索し、時には強引にでも手を引くくらいの力強さ必要ですが、五月にはまだそれだけの能力と自信が備わっていなかったのです。
そんな五月が教師の道を目指すと決断できたのは、彼女なりに「どうすれば教師になれるのか」という道筋が、おぼろげながらも見えたからだと思われます。
そこに風太郎の影響が多大にあったのは想像に難くありません。
家庭教師という立場で、性格がまるで違う五つ子それぞれと向き合い、時間も労力も惜しまずに役目を果たそうとする風太郎の姿を見て、五月は他者の導き方を学ぶと同時に、その尊さをあらためて実感し、母の跡を継ぐ決心が固まったのでしょう。
73話「新川中島」で五月は、五つ子に時間を割いた結果学年1位の座から転落した風太郎よりも、新たに学年1位となった武田祐輔(たけだ ゆうすけ)の方が家庭教師に相応しいと言い放った父に対し、「私が三年生で一番の成績を取ります!」と返しました。
「風太郎は家庭教師に相応しくない」「学年1位しか信用できない」とする父に対する反抗として、とっさに口に出た言葉だと思われますが、恐らくそれだけではありません。
「風太郎から勉強を教わって教師を目指す道を歩み始めた自分には、それくらいの意気込みがある」という意思表示を父に見せたのでしょう。
もちろん、2年生の時点で赤点常連の彼女が3年で学年1位になれる可能性はほとんどありませんが、「風太郎に教えてもらったことでこんなに自信を持てるようになった」と父に認識させるには十分な言葉。
多少わかり難くはありますが、五月なりの風太郎に対するフォローと、彼女の現状報告を兼ねた言葉だったのでしょう。
五月と風太郎の関係は一花、二乃、三玖のような恋愛感情がベースのものではありませんが、まるで師弟関係のような特別な絆を感じさせるものになりつつあります。
その関係性もまた、五月にしかない魅力と言えます。