17
Apr
女子高生が南極を目指すアニメ『宇宙よりも遠い場所』は笑いと感動の宝庫
最初は白い目で見られていた「女子高生が南極を目指す」
『宇宙よりも遠い場所』、通称“よりもい”は、4人の女子高生がそれぞれの苦悩や葛藤を抱えながら、共に支え合って南極を目指す物語です。
女子高生が南極に行くという非現実的な目的は、学校内において常に嘲笑の対象となっていました。
いわゆる苦境からのスタートです。
しかし彼女たちはそういったバカにする声に負けず、「今に見てろ」「ざまぁ見ろ」の精神で南極への道を切り開いていきます。
このカタルシスが、“よりもい”を語る上で欠かす事のできない魅力の一つだったと思われます。
「女子高生が南極を目指す」という目的を白眼視していたのは、作中のキャラだけの話ではありません。
『宇宙よりも遠い場所』の制作が発表されてから放送が始まるまで、アニメファンの中にも穿った目で本作を見ていた人がいるのではないでしょうか。
……すいません、私です。
オリジナルアニメなので、実際に始まってみないとどんな作品なのかはわかりませんでしたが、「いかにも奇を衒った設定だ」という冷めた視線を送ってしまいました。
けれどそれは第1話を観るまでの話。
軽快な掛け合いと感情を揺さぶる演出、そして各キャラクターの魅力に触れると、あっという間に“よりもい”の世界観に引き込まれ、夢中になっていました。
悩みながら前へ進む活き活きとしたキャラクターたち
『宇宙よりも遠い場所』という作品を通して描かれたものはたくさんあります。
目的へ向かって突き進む直向きさ、10代だからこその輝き、一歩踏み出す勇気の大切さ、なにくそという反骨心……どれも鮮やかに表現され、作品を彩っています。
その中でも特に強烈だったのが、メインキャラクターの描写です。
“よりもい”には4人のメインキャラクターがいます。
彼女たちは4人で南極を目指す事になりますが、実は全員が南極へ行く具体的な目的を持っているという訳ではありません。
というか、行き先が南極でなければならないのは、その中の1人だけです。
けれど、彼女たちは南極へ向かう事を誰一人疑問視せず、諦めもしませんでした。
その理由は「選択肢はずっとあったよ。でも選んだんだよここを。選んだんだよ自分で!」という作中の台詞が物語っています。
悩み、苦しみ、そして選んだ道なんです。
「女子高生が南極を目指す」のは、この作品の重要なテーマではありますが、根幹ではありません。
4人がそれぞれの理由、それぞれの決断で南極へ行く事を選び、そこで得た結論こそが『宇宙よりも遠い場所』の根っこだと私は思います。