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14

Mar

鳥山明先生全作品集!ドラゴンボール、Dr.スランプ、ドラクエは社会現象に


(画像引用 : Amazon)

2024年3月1日、68歳という若さでこの世にバイバイを告げ天国へ旅立った鳥山明先生。
全世界で愛され、現在も圧倒的に支持され続けている『ドラゴンボール』をはじめとした数々の実績を簡潔ではありますが作品毎に纏めました。

Dr.スランプ


(画像引用 : Amazon)

1978年、週刊少年ジャンプの新人賞として募集していた月例ヤングジャンプ賞へ『アワワワールド』を投稿し、漫画家としての第一歩を踏み出した鳥山明先生。
入賞こそしなかったものの、その後投稿した『謎のレインジャック』が編集の鳥嶋和彦さんの目に留まり、鳥嶋さんのもとで修行を重ねたのち週刊少年ジャンプ1978年52号にて読み切り作品『ワンダーアイランド』を発表、プロデビューを果たしました。
しかしアンケート結果は芳しくなかったようで、その後も精力的に短編を発表するも中々連載には繋がらなかったようです。

そんな試行錯誤の中で生まれたのが、初の連載作品となった『Dr.スランプ』です。

鳥山明先生は元々ギャグ漫画家で、トボけたキャラが素っ頓狂な事を言ったりしたりするのを他のキャラが全力でツッコむ……といった作風でした。
中年のオッサンや爺さんを好んで描き、このDr.スランプも当初はオッサン顔の発明家・則巻千兵衛を主人公とする構想で準備していたようです。
一方でキャッチーな漫画をと考えていた鳥嶋さんは、その千兵衛が造った少女型アンドロイドの則巻アラレを主人公にするよう進言し、試しに読み切りで発表した女性主人公の漫画『ギャル刑事トマト』がアンケート3位と好評を博した事からアラレを主人公にする事が決まりました。

1980年5・6合併号より連載を開始したDr.スランプは、平和で一風変わった住民が多いペンギン村を舞台に、住民たちが繰り広げるドタバタ劇をライトなノリで描いた基本一話完結の日常コメディ
規格外のパワーを持つ一方で人間の常識を知らないアラレを中心に、住民や村を訪れる変人たちが巻き起こす騒動がストーリーのメインを担っています。
当時はギャグ漫画にも恋愛要素を入れる作品が多かったものの、本作は鳥山先生の意向でそういった要素は殆どありません。

今でこそ女性型アンドロイドは漫画やアニメの主人公として珍しくはない設定ですが、当時としてはかなり斬新。
少年漫画に登場するヒロインや女主人公は優等生かマドンナが大半を占める時代にあって、アラレちゃんは型破りな主人公として人気を博し、更にガッちゃん、Dr.マシリト、スッパマン、ニコチャン大王&家来といった名物キャラも次々と誕生した事で作品も瞬く間に大ヒットとなりました。
当時『ドラえもん』が保有していたコミックスの初版部数記録(120万部)を遥かに上回る初版220万部を記録し、最終的な累計発行部数は3500万部を突破しています。

1981年には『Dr.スランプ アラレちゃん』のタイトルでテレビアニメ化を果たしています。
今でこそジャンプの人気作がアニメ化するのはごく自然な流れですが、当時の少年向けアニメは『機動戦士ガンダム』などオリジナルのロボットアニメが主流で、当時の編集部がアニメ化に消極的だった事もありジャンプ作品のアニメ化は実に7年半ぶりでした。
本作の成否で今後のジャンプの方針が決まる、と言っても過言ではないほどの重責を担っていたのです。

このように、決してヒットして当然といった土壌がない状態で始まった『Dr.スランプ アラレちゃん』ですが、初回放送で17.7%を記録すると2回目で23.2%と急上昇し、以降ずっと20%以上をマーク。
挨拶の「んちゃ」「バイちゃ」をはじめ「キーン」「ほよよ」「かっくいー」といったアラレ独自の言葉が子供を中心に流行語となった事で勢いは加速し、1981年12月16日放送の第34話「地獄の使者チビルくん」では最高視聴率36.9%を記録しました。

本作が社会現象アニメとなった事でジャンプ編集部はアニメ化に対し積極的になり、その後多数のヒット作を輩出した事でジャンプは揺るぎない帝国を築き、黄金期を迎える事になります。
そういう意味でも、Dr.スランプは現在のジャンプの礎となった作品の一つと言えるでしょう。

コミックスは単行本(ジャンプコミックス)全18巻、愛蔵版全9巻、文庫版全9巻、完全版全15巻を発売。
文庫版はデジタルでもリリースされています。

ドラゴンボール


(画像引用 : Amazon)

爆発的なヒットとなったDr.スランプは1984年に完結を迎えましたが、アニメはその後も放送を継続。
そして連載終了から僅か3ヶ月後に新たな連載作品を引っさげてジャンプに戻って来ました。

これはDr.スランプのアイデアが尽きかけて連載を終了させたかった鳥山先生に対し、ジャンプ側が「3ヶ月後に新連載を始める事」を条件として出した為。
こうして異例のスピードで始まったのが『ドラゴンボール』でした。

7つ集めればどんな願いでも叶えてくれる「ドラゴンボール」を探す為、山奥に住む尻尾の映えた少年・孫悟空と世界的大企業カプセルコーポレーションの社長令嬢ブルマが世界中を旅する冒険ファンタジー。
強さを求める悟空は幾度となく強敵たちと戦い、いつしか世界を救うほどの存在となり、やがて彼の出自が地球人ではなくサイヤ人という宇宙の戦闘民族だと明らかになって、宇宙規模の猛者達と激戦を繰り広げていく……などと説明する必要がないくらい全世界で知られている超有名作品です。

「Dr.スランプの鳥山明の新作」という事で、連載開始当初から大きな注目を集めた本作ですが、実は人気が安定するまで少し時間がかかりました。
初期は悟空が常識知らずの野生児として描かれ、やや共感や憧れを抱き難いキャラだった事が大きな要因と思われます。

しかし悟空が「強くなって強い奴と戦いたい」と目標を明確にし、世界一を決める天下一武道会に出場した事で一気にキャラが定まり、人気も安定。
アンケート結果で決まる掲載順も常に最上位をキープし続けました。
後年語られる事が比較的少ない少年編の時点で、既にドラゴンボールはジャンプの看板作品になっていたのです。

そしてサイヤ人編に突入して以降は、日本の少年の生活はドラゴンボールを中心に回っていると言っても過言ではないくらい皆が夢中になり、毎週ジャンプに掲載される本作の展開に一喜一憂しました。
二度目の天下一武道会が始まった1987年13号から連載が完結する1995年25号まで、掲載順が5位未満だったのは4度だけ(全部6位)。
黄金期のジャンプにあって殆どの回でアンケート1位を記録し、圧倒的な王者として君臨し続けました。

この作品の凄い所は幾ら挙げてもキリがないほど沢山ありますが、特に凄まじいと感じるのは、週刊連載で常に話題の中心を担うほど即効性の高いエンタメ作品でありながら連載終了後も数十年にわたって愛され続けている持続性も持ち合わせている点です。

即効性の高いエンタメというのは、例えばメインキャラが命を落としたり絶望的なほど強い敵が登場して勝ち筋が見えなかったりと、この後どんな展開になるのか予測できない、続きを早く読みたいと思わせる力です。
週刊連載の作品には少なからず必要な要素ですが、こういう展開を続ければ何処かで無理が生じ、矛盾や納得し辛い箇所も出て来ます。
多少そういった部分があっても面白さが勝れば連載中は問題ありませんが、連載が終わってライブ感がなくなった時、どうしても完成度の低さが目立ち評価も落ちてしまいがちです。

ドラゴンボールに関しても、鳥山先生曰く「行き当たりばったりで描いていた事が多い」との事で、実際ツッコミどころは決して少なくありません。
しかし本作の場合、それを補って余りある魅力が幾つもあります。

まず画力
1980年代~90年代の作品でありながら未だバトル漫画の最高峰と言われる所以は、その圧倒的な描写の凄さに尽きます。
バトル漫画としての表現力、構成力、テンポがズバ抜けていたのは勿論の事、それでいて見やすく「キャラがどう動き何をしたのか」が感覚的に一瞬でわかるほど解像度が高いバトル描写になっていて、未だ他の追随を許しません。

次にアイディア
本作は意外性のある展開だけでなく「かめはめ波」「戦闘力」「界王拳&元気玉」「スーパーサイヤ人」「フュージョン」など斬新かつ子供でも瞬時に理解できるアイディアを次から次に生み出す事で毎週ワクワクさせてくれました。
これらは単にその時その時楽しめるだけでなく、考察や想像力をかき立てる要素でもある為、当時子供だった世代が大人になってからも「このキャラのあの頃は戦闘力○○だ」とか「○○と○○がフュージョンしたらどうなるか」など存分に語れるだけの持続性があるのです。

そしてキャラクター
登場時は憎らしいキャラも鳥山ワールドに馴染んでくると徐々に愛嬌が生まれ、皆憎めないキャラになっていきました。
逆に悟空は大人になってシニカルな物言いもするようになったり、良い子ちゃんだった悟飯が慢心したり、それぞれのキャラに思わずツッコミを入れたくなるような部分があり、どれだけ語ってもまた語りたくなるような奥行きのあるキャラ達になっています。

他にも様々な要因があって、ドラゴンボールは即効性と持続性の両方を備えた歴史的名作となりました。
全世界累計発行部数2億6000万部という数字ですら、この作品の価値を伝えるほんの一部の指標に過ぎません。

コミックスは単行本(ジャンプコミックス)全42巻、完全版全34巻を発売。
単行本は2009年にタイトルロゴや背表紙を一新した新装重版が発売され、以降はデジタル版もこちらで統一されています。

鳥山明のヘタッピマンガ研究所


(画像引用 : Amazon)

フレッシュジャンプ1982年10月号~1984年3月号で連載された漫画講座。
鳥山先生は自画像をガスマスクを装着したロボットで描いていますが、その鳥山先生とヘタッピ君というキャラの2人で漫画の描き方をレクチャーする漫画になっています。

鳥山先生と言えば、現在でも画力が凄い漫画家の筆頭として名前が挙がるなど業界最高峰の実力者。
そんな鳥山先生が自ら漫画の描き方を解説するという、かなり贅沢な漫画です。
デジタルが主流になった現代の漫画家にも十分参考になる内容になっています。

コミックスは全1巻で発売されていて、デジタル版も購入可能です。
単行本では「ヘタッピマンガ研究所」全13話、西村まさのり先生がカットを手掛けより詳しく解説する「トリヤママンガスクール」、読者が投稿したマンガを取り上げアドバイスや批評を行う「ヘタッピマンガレポート」、Dr.スランプのアラレ、ガッちゃん、千兵衛、きの子、スッパマンの描き方を鳥山先生自ら紹介する「おまけ編」で構成されています。

ちなみに原作はさくまあきらさんが担当しています。
さくまさんと言えば『桃太郎電鉄』の生みの親として知られていますが、1982~1995年には週刊少年ジャンプの読者投稿コーナー「ジャンプ放送局」の構成も務めていて、当時はこの名物コーナーの人として有名でした。

COWA!


(画像引用 : Amazon)

ドラゴンボール連載終了後、連載の過酷さもあって鳥山先生は漫画の長期連載を行わなくなりました。
そんな鳥山先生に週刊少年ジャンプの編集長となった鳥嶋さんが依頼した事で、半年間の短期集中連載を条件に執筆されたのが『COWA!』です。

1997年48号~1998年15号に掲載された本作は、コアラ男の父と吸血鬼の母を持つハーフのオバケ・パイフーを主人公として描いたホラーコメディ。
ホラーと言っても怖さは全くなく、人間とオバケが共存する「こうもり岬」を舞台にパイフーら住民たちのほんわかした日常をユルく描いた、絵本や童話を思わせるような内容です。

掲載当初こそ「あのドラゴンボールの鳥山先生の次回作!」と注目されましたが、ドラゴンボールとはかなり作風が異なり当時のジャンプとしても異色の漫画だった為、それほど話題にはならず割とひっそり終了しました。
しかし後年になって「すべての作品の中でいちばん大スキなマンガであります」とコメントしているように、鳥山先生のやりたい事が詰まった作品なのは間違いありません。
鳥山先生の従来からの作家性を確認できる漫画と言えます。

コミックスは全1巻。
デジタル版も購入可能です。

カジカ


(画像引用 : Amazon)

『COWA!』同様、短期集中連載を前提に週刊少年ジャンプ1998年32号~44号にて掲載された漫画。
文明がなくなり荒廃しながらも乗り物や銃器が僅かに残った世界を舞台に、不思議な力を持つカワ族の少年カジカが幼い頃にキツネから受けた「キツネ人間になる」という呪いを解く為、1000の命を救う旅をしている様を描いたファンタジー作品です。

前作『COWA!』はDr.スランプに近い作風でしたが、本作はドラゴンボールの少年編に近い作風。
鳥山先生が「『ドラゴンボール』の反動でとても地味な作品ではありますが、ボクはこういうのがスキなのであります」とコメントしているように決して派手な内容ではありませんが、ドラゴンボールの序盤を好きな人なら楽しめる漫画だと思います。

コミックスは全1巻。
デジタル版も購入可能です。

SAND LAND


(画像引用 : Amazon)

週刊少年ジャンプ2000年23号~36・37合併号に掲載。
鳥山先生はライブ感を大事にする為にストーリーをガチガチに固めず描くタイプの漫画家と公言していますが、本作に関しては結末までしっかり決めた上で執筆を行ったと明かされています。

カジカとは異なる世界の物語ですが、こちらは更に荒廃し殆どが砂漠となった世界が舞台。
川まで涸渇したった一つの水源を国王が独占している為、国民は常に乾きに喘いでいる状態です。

本作には人間だけでなく魔物も登場しますが、それぞれに主人公がいます。

魔物側の主人公は大魔王サタンの息子ベルゼブブ。
人間側の主人公は61歳の保安官ラオ。
本作は人間の行いが世界の荒廃をもたらしており、魔物が必ずしも悪という訳ではなく、この二人が協力しながら水源「幻の泉」を探す旅を描いています。

作風としては過去二作の短編連載と比べシリアス寄りで、絵もかなり描き込んでおり見応え十分。
堅物な初老の人間と未熟な魔物の王子という組み合わせは如何にも鳥山先生らしく、「『COWA!』と並んでお気に入り」とのコメント通り本作も鳥山先生の嗜好がたっぷりと詰まっています。

短い冒険譚なので、これまでの短編同様に連載当時は話題になる前にもう終わっていたという感じでしたが、2023年に劇場アニメ化された事で知名度が上昇。
現在は鳥山作品の短編としては最も有名な漫画になっています。

コミックスは単行本(ジャンプコミックス)全1巻、完全版全1巻。
コミックスはデジタル版も発売されています。

銀河パトロール ジャコ


(画像引用 : Amazon)

週刊少年ジャンプの創刊45周年記念として2013年33号~44号にて連載。
連載自体が13年ぶりという事もありますが、何と言っても本作は全編デジタルでの作画となっている為、これまでの作品とは全く違う絵になっていて連載当時はファンを大いに困惑させました。

そういう意味では問題作とも言えるこの『銀河パトロール ジャコ』ですが、内容はまさに短編で見せる鳥山先生らしさが全開。
これまでの短編連載で最もコミカルで、ドラゴンボールの魔人ブウ編で描いたグレートサイヤマンのエピソードに近い作風です。

本作の主人公はタイトルにも出ているジャコ(本名ジャコ・ティリメンテンピボッシ)。
銀河パトロールの隊員として地球へやって来た彼が、時空工学博士でタイムマシンの研究をしている老人・大盛徳之進の住む地球の小さな島に不時着し、故障した宇宙船の修理に奔走する物語が描かれています。

10話までは過去の短編同様に派手ではないけれど小気味良いテンポで進み、無事問題も解決しましたが……最後に描かれた「+1話」で少し風向きが変わります。
後日談としてジャコ達のその後が描かれていますが、その最中に遥か遠方の地へ空から謎の物体が落下。
それはなんと、幼い悟空を乗せた丸型ポッドでした。

その後、悟空は孫悟飯(悟空の育ての親の方)に拾われます。
またジャコ達が宇宙船修理の為に駆け回っていた時に出会った少女・タイツがカプセルコーポレーションの令嬢と判明。
実はこの子はブルマの姉だったのです。

その後も幼い頃のブルマが登場するなど、ドラゴンボールファンにとってサプライズな最終話となりました。

更に単行本では巻末におまけストーリー「DRAGON BALL- 放たれた運命の子供」を掲載。
こちらは原作では殆ど描かれていなかった悟空が地球に送り込まれる前のエピソードで、悟空の父バーダックだけでなく母のギネが初めて描かれ、ファンを歓喜させました。
ドラゴンボールの世界と同一である事から、ジャコは劇場版『ドラゴンボールZ 復活の「F」』や『ドラゴンボール超』にも登場しています。

コミックスは全1巻で、通常版に加え少しサイズの大きな特装版も発売。
通常版はデジタル版も購入可能です。

ネコマジン


(画像引用 : Amazon)

週刊少年ジャンプおよび月刊少年ジャンプで1999~2005年の期間に不定期掲載された作品。
ネコと魔人ブウ(善)を合せたような生物ネコマジンが騒動を巻き起こしたり巻き込まれたりするギャグ漫画です。

これまでのギャグ寄りの短編以上にノリが軽く、「ねこはめ波」というかめはめ波に酷似した技を出したり、原作には存在しないスーパーサイヤ人オニオやフリーザの息子クリーザが登場したりと、セルフパロディ要素を多分に詰め込んでいます。
ベジータも登場しますが、フリーザの部下の時代でありながらスーパーサイヤ人になるなど原作とは異なる描かれ方で、ドラゴンボールとは似て非なるパラレルワールドの世界である事が示唆されています。
最終的には悟空をはじめドラゴンボールの最終回後の面々が出てくるなど、結構やりたい放題です。

「ネコマジン 完全版」として書籍版を全1巻で発売。
デジタルではフルカラー版としてリリースされています。

鳥山明○作劇場&短編・合作


(画像引用 : Amazon)

「鳥山明○作劇場」は鳥山先生がジャンプ誌上などで発表した短編を纏めた作品集。
1983年にVOL.1(1巻)、1988年にVOL.2(2巻)、1997年にVOL.3(3巻)が発売されました。

VOL.1には『ワンダー・アイランド』『ワンダー・アイランド2』『ギャル刑事トマト』『POLA&ROID』『MAD MATIC』『CHOBIT』『CHOBIT2』を収録。
『ギャル刑事トマト』より後の作品はDr.スランプの連載と並行して書いた短編で、絵柄が劇的に変わっています。

絵柄以外にも作風の変化は如実で、初期は1ページに10コマくらい詰め込む作風でしたが、Dr.スランプを始めてからは見開きなど大コマを使う機会も増え、アメコミのような擬音を用い、構図に至っては驚くほど複雑化しています。
僅か2年の間でとてつもない進化を遂げている事が、このVOL.1でわかります。

そして、ある意味一番の目玉となっているのがおまけページの『これをかいていたころのわし』
各作品執筆時のエピソードをデフォルメ絵で描いている文字通りおまけの漫画ですが、アンケート結果が今一つだった作品を素直に「人気はいまいちであった」と記すなど、鳥山先生のお人柄が端的に表れているためファンの間では人気が高いコーナーとなりました。

VOL.2には『本日のハイライ島』『ESCAPE』『PINK』『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』『トンプー大冒険』『Mr.ホー』『剣之介さま』『SONCHOH』を収録。
PINKと剣之介さまは劇場アニメにもなった作品で、騎竜少年やトンプー大冒険はドラゴンボールのプロトタイプのような設定になっており、読み応え十分の内容です。
おまけページの「わたしはこうしてマンガ家になってしまった」はタイトルの通り鳥山先生が漫画家になるまでの経緯を直筆で書いています。

VOL.3には『豆次郎くん』『空丸くん日本晴れ』『貯金戦士CASHMAN』『DUB&PETER1』『GO!GO!ACKMAN』を収録。
いずれも『ドラゴンボール』連載後に書いた短編なので、各作品とも鳥山先生のパブリックイメージそのままの絵柄で描かれています。

貯金戦士CASHMANはVジャンプ創刊時の目玉作品として掲載され、Vジャンプフェスティバルでアニメも公開されました。
『GO!GO!ACKMAN』もVジャンプで発表された作品で、こちらは不定期連載という形で発表。
ゲーム化などのメディアミックスも行われました。

2003~2004年にはコンビニコミックとして再編集した鳥山明○作劇場「改」、2008年にはVOL.3までの内容を2冊に収め新作を追加した「鳥山明 満漢全席 壹」および「鳥山明 満漢全席 貮」を発売。
壹には『LADY RED』、貮には『宇宙人ペケ』が追加されています。

この他、商業誌に掲載して単行本未収録の短編は『TOKIMECHA』『魔人村のBUBUL』『ハイギョのマヒマヒ』『ヒョータム』の4作。
また前述した投稿作品の2作に加え、同人誌に寄稿した『ROCKY』と画集「鳥山明 the world」に収録された『WOLF』も当然未収録です。

また、鳥山先生は他の漫画家との合作も何度か行っています。

ジャンプスクエア創刊記念の目玉企画として、鳥山先生が原作、桂正和先生が作画を手掛けた『さちえちゃんグー!!』を発表。
ヤングジャンプ創刊30周年記念の際には同じ形で『JIYA -ジヤ-』を短期集中連載しました。
これらの作品は単行本「カツラアキラ」に収録されています。

秋本治先生の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』連載30周年を記念して発売された「超こち亀」では、ドラゴンボールとこち亀のクロスオーバー作品『こちらナメック星ドラゴン公園前派出所』を発表。
フリーザが両さんの頑丈さに驚くシーンはネット上でも話題になりました。
2007年には尾田栄一郎先生の『ONE PIECE』とドラゴンボールのクロスオーバー作品『CROSS EPOCH』を発表、のちに週刊少年ジャンプ特別編集増刊「ONE PIECE 10th Treasures」に収録されました。

短編はどれも仰々しい作品ではなく、壮大な設定の割にストーリーは内輪でサクッと解決したり、オチが俗っぽかったりと全体的にアッサリ風味。
鳥山先生御本人が「短編や読み切りはどれも、好みである小さな世界とゆるいヒーローのなんでもない地味で平和な話ばかりを描いてきました。」とコメントしているように、これらの短編は全て先生の趣味嗜好が反映されていると言えるでしょう。

ちなみにアメコミ的な表現は初期以降も度々描いていますが、御本人は殆ど読んだ事がないようです。

ドラゴンクエスト、クロノ・トリガー&その他のゲーム


(画像引用 : Amazon)

鳥山先生は漫画だけでなくイラストやデザインでも活躍されていましたが、特に有名なのは国民的ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターデザインです。
1986年に発売された『ドラゴンクエスト』から2023年発売の『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』まで、全てのドラゴンクエストシリーズおよび関連作でパッケージイラストを手掛け、ナンバリングタイトルではキャラデザおよびモンスターデザインを担当。
特にスライムのデザインは画期的で、鳥山先生のデザインセンスによって本作の世界観が一気にポップになったのは間違いありません。

また、ドラクエの堀井雄二さんと『ファイナルファンタジー』の坂口博信さん、そして鳥山先生がタッグを組むドリームプロジェクトとして企画・販売された『クロノ・トリガー』も大きなハイライトの一つ。
本作で鳥山先生が描いたビジュアルは現在も「鳥山明の全盛期は?」というお題目で交わされる議論の再、頻繁にネット上を湧かせています。

その他『トバルNo.1』『トバル2』『ブルードラゴン』ではキャラデザ全般を担当。
また、ドラゴンボールのアニメやゲームシリーズのオリジナルキャラなどもキャラデザを担当していました。

イラスト集・絵本


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鳥山先生はこれまで「鳥山明 the world」「鳥山明 THE WORLD SPECIAL」「鳥山明の世界 AKIRA TORIYAMA EXHIBITION」「ドラゴンボール大全集 1巻 COMPLETE ILLUSTRATIONS」「ドラゴンボール超画集」「鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ」「ドラゴンクエストモンスターズ 鳥山明イラストレーションズ」「ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑」と8冊のイラスト集を発売しています。
この内「ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑」のみデジタル版がありますが、それ以外は紙媒体のみのため今後入手するのは困難になる事が予想されます。

また鳥山先生は一度だけ絵本を手掛けた事があり、『てんしのトッチオ』というタイトルで発売されています。
こちらもデジタル版はありません。

ちょっとだけかえってきたDr.スランプ


(画像引用 : Amazon)

Dr.スランプのその後を描いた後日談で、Vジャンプ1993年2月21日号~1996年9月号にて連載。
鳥山先生は原作・監修を担当し、脚本はアニメ版に脚本担当として参加していた小山高生さん、作画は『ドラゴンボールZ』のキャラクターデザインを担当していた中鶴勝祥さんがそれぞれ手掛けています。

1993年は久々にDr.スランプが日の目を見る年となり、本作の連載開始直後の3月には8年振りの映画作品となる『Dr.スランプ アラレちゃん んちゃ!ペンギン村はハレのち晴れ』も公開。
更に同年7月にはこの『ちょっとだけかえってきたDr.スランプ』を原作とした映画『Dr.スランプ アラレちゃん んちゃ!ペンギン村より愛をこめて』も公開されました。
そして翌1994年にも本作を原作とした映画『Dr.スランプ アラレちゃん ほよよ!!助けたサメに連れられて…』『Dr.スランプ アラレちゃん んちゃ!!わくわくハートの夏休み』が公開されています。

漫画版はフルカラーの単行本が全4巻で発売。
鳥山先生が直接描いた漫画ではないものの、鳥山作品を深く理解しているアニメスタッフが手掛けている為、ファンからも高い評価を得ています。

ドラゴンボールGT


(画像引用 : Amazon)

アニメ『ドラゴンボールZ』の放送終了後、1996~1997年に放送されたアニメオリジナル作品。
最終話から5年後の世界を舞台に、「究極のドラゴンボール」の力によって少年時代の姿になった悟空と成長したトランクス、悟飯とビーデルの娘パンの3人を中心にドラゴンボールを集める壮大な旅を描いています。

鳥山先生の直接的な関与はなく、タイトルの「GT」の考案、主要キャラクターのデザイン、作品の世界観を示す設定画(イメージボード)、初期プロットのチェック等を手掛けています。

原作者がストーリー面に関わっていないドラゴンボールという事でファンからの反感は根強く、タイトルのGTを「ごめんなさい鳥山先生」の略だとするデマが流れるほど。
一方で主題歌を当時大人気だったビーイングのミュージシャン達が手掛け人気を博し、特にOP曲「DAN DAN 心魅かれてく」は現在も人気の高い楽曲です。

ドクタースランプ


(画像引用 :『まんだらけ』公式サイト https://order.mandarake.co.jp/order/)

Dr.スランプの新企画が1997年よりスタートし、その先陣を切って1997年12月号より成田良美さん・小山高生さん脚本、山室直儀さん作画による漫画版の連載を開始。
その1ヶ月後より『ドラゴンボールGT』の次番組として、『アラレちゃん』からスタッフ・キャストを一新したアニメ版『ドクタースランプ』も放送を開始しました。

鳥山先生は漫画版への原作・監修としての参加だけでなく、アニメ版においてもキャラクター原案、キャラクターデザインの再設定、色設定などかなり深く関わっており、リバイバルではなく新たなDr.スランプの創造を謳った本企画に尽力。
『アラレちゃん』とはまた違った1990年代ならではのDr.スランプ像を確立しました。
ただ、当時は原作および『アラレちゃん』へのリスペクトからファンの反発も強く、『ドラゴンボールGT』同様に賛否両論といった評価となりました。

漫画版は長らくコミックス化はされていませんでしたが、2008年発売のDVD-BOX「SLUMP THE BOX 90’s」に特典として付属しています。
ただ、現在この商品を入手するのは相当困難と思われます。

ドラゴンボール超


(画像引用 : Amazon)

ドラゴンボールの完全新作テレビアニメとして企画された際にストーリー原案を担当。
本編の正統続編という形で放送され、とよたろう先生を作画担当とした漫画版もVジャンプにて連載がスタートしました。
アニメ放送終了後も漫画版は継続し、現在も続いています。

漫画版に関しては、鳥山先生はプロットおよびネームチェックという形で参加。
表記上は原作ですが、御自身でネームを切っている訳ではないので「ドラゴンボールの原作者として原案・監修を行っている」という表現がより正しいと思われます。
それでも大まかなストーリーは鳥山先生が決めているので、本作も鳥山先生の作品という事で間違いはありません。

2024年3月現在、22巻まで発売。

まとめ

予想もしなかった早過ぎるお別れに、世界中から鳥山先生への感謝と追悼のメッセージが寄せられています。
特にドラゴンボールで小中高を過ごした40代にとっては耐え難い喪失感で、思い出のど真ん中にポッカリ穴が開いたような気持ちを抱いた人が沢山いると思います。

鳥山明先生に謹んで哀悼の意を表し、素晴らしい作品を生んで下さった事に御礼申し上げます。
数え切れないほどのワクワクとドキドキをありがとうございました。

 

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