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Jun
【のぞみぞ】『リズと青い鳥』考察2 みぞれは本当に希美のことを見ているのか?! #リズと青い鳥
思考の転換
みぞれの願いは「希美とずっと一緒にいること」でした。
希美から見放されたくないみぞれですが、ソロを上手く吹くことができない。
青い鳥を逃がしてやるリズの気持ちを理解できない。
自分の手で希美を解放するなんてできない。
そんなみぞれに新山先生はもし青い鳥の立場だったら?と問いかけます。
青い鳥もリズと同じ、一緒にいたい、という気持ちを持っていました。
むしろ最後まで一緒にいたいと口にしていたのは青い鳥の方でした。
「リズと一緒にいることが私の幸せ」と。
それでも青い鳥は飛び立ちました。
リズがそれを願ったから。
リズのことが大好きだから。
リズに幸せになってほしいと思っているから。
それが青い鳥の愛の在り方でした。
ただただ悲しい別れではなく、そこには相手を思いやる愛があった。
そのことにみぞれは気づいたのです。
みぞれの愛の在り方
これまでみぞれは希美と一緒にいること、に固執し続けていました。ずっと希美を追いかけて、そのために楽器も続けてきたのです。
ただ、それはみぞれだけの願望であり、現実を希美を見ているわけではなかったのです。
しかし、そんなみぞれの考えにも変化が出ました。
青い鳥の愛の在り方は、相手の幸せを願うこと。
もし、みぞれの考えが今までと変わらないのであれば、希美が音大以外の大学へ進学するなら、そこへついていけばいい。
しかし、みぞれは普通大学用の問題集を借りる希美を少し寂しそうな顔で見つめつつも、「オーボエを続ける」と宣言したのです。
ずっとに一緒にいたいのに、別々の道を進むことを決心した。それは何故でしょうか?
希美は言いました。「みぞれのオーボエが好き」と。
これはみぞれにとって希美からの「祝福」でもあり、同時に「呪い」でもあったでしょう。
希美の幸せを願えば、みぞれは希美が好きでいられるようオーボエを頑張って続ける。
だけどそれは、ずっと一緒にいる、というみぞれの願いと反する。
それでもみぞれは自分で選択をしました。今までとは違う選択を。
それは本当に辛いことですが、みぞれは飛び立った。希美のことが大好きだから。
それが今のみぞれの愛の在り方ということなのでしょう。
二人は劇中何度も何度もすれ違ってきたように、親友とは言え、互いに踏み込んで対話が出来ていたかというとそうではなかったにように思えます。
だけど、やっとここにきて初めてお互いをきちんと見ることができた。一歩踏み出し、新しい関係がスタートしたのかもしれません。
二人の行く道が違ったとしても、希美の言う通り、青い鳥は帰ってきたいと思えば帰ってこればいいですし、それに音楽がみぞれと希美の二人を繋いでくれたものであるということは変わりようのない真実なのです。