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Jun
【のぞみぞ】『リズと青い鳥』考察2 みぞれは本当に希美のことを見ているのか?! #リズと青い鳥
みぞれにとっての希美とは?
一人ぼっちだったみぞれを吹奏楽の世界に誘い、友達になってくれた特別な存在。
希美とはみぞれの全てであり、笑い声も、話し方も、足音も、髪も、全部好き。
ずっと追いかけ続けてきた存在で、楽器を続けている理由も希美に見放されたくないがため、希美と一緒にいたいがため。
それでいながら、希美は一度みぞれに何も言わず部を辞めていて、「またいついなくなるかわからない」存在。
ずっと一緒にいたいけれど、いついなくなってしまうかわからない。
それ故、自分から突き放すことなんかできない。
だから、希美との会話が途切れればものすごく悲しいし、「また明日」と声をかけられれば少し安堵する。
希美と一緒にいられることがみぞれにとって何より大切。
物語のリズのセリフに合わせて言った「(ずっとずっと)そばにいて」。
それがみぞれの願い。
冒頭、音楽室で希美が言葉にした「早く本番で吹きたい」に対して、みぞれは後で一人になったときに「本番なんて一生来なくていい」と口にしています。
本番=最後のコンクール=引退、音楽だけが希美との繋がりだったみぞれにとってそれは、希美と一緒にいられなくなる、のと同じことを意味するものだったのでしょう。
迫りくるリミット
希美と「ずっとそばにいて」ほしいみぞれ。
しかし高校生活は永遠ではありません。彼女たちは高校3年生、卒業の年であり、コンクールも最後の年。そして当然卒業後の進路という現実があるのです。
白紙の進路調査票。みぞれはその答えを出せずにいました。
彼女の目的は希美と一緒にいること。どうすれば希美と一緒にいられるのか、わからなければ答えを出せるはずがありません。
みぞれにとっての希美は常に追い続ける存在、「希美が決めたことが私の決めたこと」、そう考えるみぞれには、希美に進路の話を切り出すことは難しかったのかもしれません。
体育のバスケットボールの場面、夏紀が放った入るかわからないロングシュートにみぞれは驚いたような表情を見せました。
シュートの結果は失敗、夏紀もみぞれと交代しようとするもののみぞれは交代したがらない。
もしかするとみぞれはこう思ったのかもしれません。
「夏紀と同じように、不確かなものに踏み込むこと、自分の持っているものを放り出すことなんてできない」と。
そんな中、希美の「私、この音大受けようかな」という発言にみぞれは目を輝かせ「私も」と追従しました。みぞれにとってこの言葉は縋りつきたいような言葉だったのでしょう。