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【進撃の巨人 考察まとめ】12年の進撃を振り返る(あらすじ・ネタバレ解説)
④第57回壁外調査(進撃の巨人 考察まとめ)
トロスト区奪還作戦のあと、エレンは調査兵団に入隊することになる。しかしここでエレンのキャラがブレブレである。
まるで『新世紀 エヴァンゲリオン』の碇シンジくんのようになってしまった。
諌山先生も「梶裕貴さんの好演がエレンのキャラ形成に役立った」と話していたので、このころは、エレンを把握しきれていなかったのかもしれない。
しかし壁外調査は最高だった。特にアニメがすごい。
『進撃』は漫画とアニメ、どちらがいいかとたまに聞かれるが、第57回壁外調査に限っては完全にアニメだろう。
開放感のあるオープニングテーマ、長距離索敵陣形のスピーディーな展開、迫り来る女型の巨人のスリル。馬術と立体機動のコラボレーションは、やはり動画で見る方に軍配が上がる。
小野さん(エルヴィン)、神谷さん(リヴァイ)、朴さん(ハンジ)の演技にもしびれてしまう。
ペトラを始めとするリヴァイ班の面々が、次々に潰されていくのには驚愕だ。極限状態が続く様は山田悠介氏の小説を思わせる。
⑤ストヘス区強襲(進撃の巨人 考察まとめ)
ところ変わってアニ編かと思ったら、びっくり箱が用意されていた。『アニ=女型の巨人』を予測できた読者は何人いただろうか。
アニはいわゆるムエタイ・スタイルである。
打撃特化の構えで、ガードの位置が高く、前脚でリズムをとる。
得意技は蹴りのようだが、拳打も重く、肘の打撃も使えるだろう。
続いて、壁の中に巨人がいるという事実が明かされる。少しずつ謎が解明されていくのも『進撃』の魅力だ。
ハンジが地上50mでニック司祭の胸倉をつかむシーンだが、ここで『進撃』の世界では、太陽が西から登り東に沈むことが判明する。
ストへス区はウォール・シーナの東側に突出している区なのだがその左側……北東に太陽が沈んでいくように見える。
文字も逆さになっているし、なんと考察しがいのある作品か。
⑥ウォール・ローゼ崩壊調査、ウトガルド城(進撃の巨人 考察まとめ)
アニメ2nd seasonはここから始まる。
女型巨人との共謀を疑われていたため、104期生は私服で軟禁されていた。
ここで、獣の巨人が初登場。人語で兵士に話しかけるというまさかの展開のあと、コニーの母が巨人化した疑惑も持ち上がる。
ストへス区でエレンとアニが闘ったときには、無垢の巨人(無知性巨人)がいなかった。ウォール・シーナ内部だったからだ。
特に小型巨人が多く登場し、人間が生きたまま喰われるシーンもあり、続くウトガルド城でも小型巨人が襲ってくる。夜であることも手伝って、読者の恐怖感をかつてないほど煽る。
ここでは勇敢なライナーと、ユミルの出番が多い。
このときのには『ユミル×クリスタ』という二次創作が流行りまくったのだが……。
また、このとき無垢の巨人が夜でも動けた理由だが、後にハンジが推測したように月光をエネルギー源としているということが一つ。
⑦エレンVS鎧の巨人(進撃の巨人 考察まとめ)
ユミルが活躍しまくった後、ライナーとベルトルトが正体を明かす。『進撃』がかなり盛り上がった時期である。
諌山先生の画力が上がっており、鎧の巨人がほれぼれするほどマッシブになっている。1巻で痩せすぎていただけかもしれないが……。
反対に超大型巨人はベルトルトに寄せて描いたため、このシーンでは顔が優しくなっており、過去に壁を破壊したときのような威厳が感じられない。
エレンVS鎧の巨人は、見ごたえのある内容だ。
『THE・少年漫画』といった感じで、このとき進撃の巨人は『王道のバトル漫画になった』と言われたものだ。
立体機動を用いた巨人戦は世界観にこだわり、リアルに描いてきたにもかかわらず、巨人化すると一気に総合格闘技になるのが面白い。
アルミンが「下になってはダメだ、エレン!」などというのだが、お前詳しいなというツッコミをしたのは私だけではあるまい。シリアスが続いていたが、ここでニヤリとさせてくれる。
エレンが鎧の巨人の首を両足で絞めるのだが、この技は三角絞めという実際にある技だ。ボトムポジション(寝技のときの下の位置)の人が一気に逆転できる人気の技である。
フロントネックロック(ギロチンチョーク)でエレンは鎧を追いつめるのだが、訓練兵団は寝技を教えるのかという疑問が残る。
壁内人類は寝技というものを知っているのだろうか? マーレには寝技があって、空き時間にライナーがエレンに教えて遊んでいたのかもしれないが……ちなみに日本の自衛隊は寝技はやらない。制圧訓練は行うが……。
⑧エレン奪還作戦(進撃の巨人 考察まとめ)
アニメ season 2のクライマックスに当たる。
恐竜時代には巨大な恐竜が生きていくために、川魚の体長が8mだった時代もあったと聞く。同様に、巨人という生物が跋扈していたために、木はここまで大きくなったのではなかろうか。
樹上でのエレン、ユミル、ライナー、ベルトルトの会話だが、物語が完結した今、読み返すと違った面白さがあるシーンのひとつである。
その後追ってきた調査兵団から逃げるわけだが、クリスタを連れていくかどうかで仲違い。
ここでの会話は、『機動戦士ガンダム』の『富野節』ならぬ『諌山節』が全開である。こんな非常時に、回りくどい言い方で話すやついないでしょ(笑)
ガンダムの話ついでにもうひとつ。『進撃』のアニメのクオリティが高い理由のひとつにBGMの良さが挙げられるが、これは『機動戦士ガンダムUC』などで素晴らしい実績を残してきた澤野弘之さんが音楽を担当しているからである。
ライナーは鎧の巨人になって逃げるが、エルヴィンが大量の巨人を連れて来たせいで追いつかれる。
大勢の犠牲者を出しながらエレンを救出するが、今度はその無知性巨人たちに追い詰められ、ハンネスが目の前で喰われるという地獄のような光景に。
ここでエレンが『叫びの力』(始祖の巨人の力)を初めて行使する。
死を覚悟してエレンに告白するミカサは最高に美しく、『生身の人間と巨人』という対比がはっきり描かれるので、実写で見たかったという気持ちがある。
ちなみに私は樋口真嗣監督の実写版『進撃の巨人』を否定していない。
⑨王政奪還編(進撃の巨人 考察まとめ)
単行本13巻~17巻では現体制との戦いが描かれる。TVアニメ3期もこの『王政奪還編』からスタートだ。
戦う相手が同じ壁内人類に移行し、アルミンたちは手を汚してしまうわけだが、つまらないわけでもない。
巨人化という魔法を使わなくなったことで、諌山先生も筆が乗っていた気がする。饒舌なキャラクターが多いのだ。
それにしてもケニー・アッカーマンは口が悪い。結構大事なシーンにも登場しているのだが、こいつのせいで物語の複雑な部分への理解が薄まってしまう(笑)
特に”不戦の契り”に関してはよくわからないという人も多い気がする。
不戦の契りとは三重の壁の中に入ったときの始祖の巨人、カール・フリッツ王の願いである。
始祖の巨人は全ての巨人をコントロールできるが、カール・フリッツ以降の始祖の巨人の継承者はそれができなくなるという、一種の呪いである。
平和主義のカール・フリッツは、『巨人の力で他国に攻め込んでほしくない』という思想を持っていたのだ。
しかしエレン(王家以外の始祖の継承者)が巨人化した王族に触れると、不戦の契りを無視できるという事実が判明するわけだが……。
『ヨロイブラウン』の瓶が存在したことは『進撃』七不思議のひとつだが、消去法でいって、ライナーから採取したものをロッド・レイスが入手していたのだろう。
ロッド・レイスはタイバー家を通じて、これを入手したのではないだろうか。
ヴィリーの演説を聞く限り、タイバー家はレイス家に悪い印象は抱いていないようだし。
『王政奪還編』ではクリスタ・レンズ、もといヒストリア・レイスのウエイトが大きく、ここが今までと大きく違う。