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19

Jan

芸能界でもファン多し。コナンの青山剛昌先生も認める名探偵!「ミステリと言う勿れ」完全攻略! #ミステリと言う勿れ

魅力2:言葉が持つ意味

この漫画のタイトルは『ミステリと言う勿れ』ですが、ミステリ作品なのに、読者にタイトルでこのように読者に問いかけてきます。

このタイトルだけで、なんだか不思議な気持ちになるこの作品。

このように、この漫画は言葉の持つ意味っていうのを改めて考えさせられる作品です。

いわば哲学的な面がある。

作者の田村先生は「すみません。整がただただしゃべりまくる話です」とあとがきにかかれていますが、整のしゃべりがすごいんです。

1巻の1話目では殺人の容疑をかけられた整が、取り調べを受けるのです。

こんな状況でも、整は慌てることもなく、淡々と状況分析をし続けます。

例えば、今まで刑事が整のことを“”と呼んでいました。

しかし、ある時からいきなり整を“お前”と呼びだした。

そのわずかな違いすら整は聞き逃さないのです。

この違いで刑事がどれほど慌てているのかということに整は気が付きます。

というように、わずかな言葉の違いに反応し、そこから整は事件解決への道筋を作り上げていく。

言葉なんて意識していないので、けっこう本音が漏れてしまったりする部分なんでしょうね。

だからこそウソがない。

そんな言葉のわずかな違いを指摘されるからこそ面白いんです。

漫画ですが、言葉遊びや言葉の本質をとらえているので、小説を読んだ気持ちにすらなります。

この作品で述べられる整のおしゃべりの面白さを少し紹介したいと思います。

ネタバレを含みますので、注意してください

1巻の最初のエピソードで殺人事件の容疑をかけられた整。

ですが、この事件の犯人は整を取り調べていた薮鑑造という刑事が犯人でした。

藪は妻と子供を轢き逃げで亡くした過去があります。

事故当時は張り込み中だったために2人の死に目には立ち会いませんでした。

そして、今もひき逃げの犯人は捕まっていない。

しかし、藪は事故後も犯人を追っており、そこで寒河江という今回殺された大学生がひき逃げの犯人ではないかということを突き詰めます。

寒河江はお金持ちのボンボンで、親のお金で車を買ってもらい乗り回していた際に藪の奥さんと子供をひき殺してしまった。

その事実をお金で解決し、寒河江の父親が車も処分した。

そのため、藪は復讐として寒河江を殺した。

ここまで聞くと、人を殺すのはダメだとしても、藪に対して同情してしまう部分もありますよね。

でも、ここで事件を終わりにしないのがこの漫画の面白さ。

整のおしゃべりによって、これからどんでん返しがはじまるのです。

「復讐は楽しかったですか」

整が藪にこう問いかけるだけで空気感が変わります。

藪は刑事という仕事に命をかけており、家庭を顧みない人でした。

子供の行事にも何一つ参加しておらず、ひき逃げに会った時も仕事を優先し、死に目に会うのが怖くて立ち会わなかった。

刑事として藪の代わりはいくらでもいるのに、そこは無視して父親としてはなく刑事を優先した。

そのことについて整はこう告げます。

「それほど大事だった刑事という仕事を復讐のためなら捨てられるんですね。復讐のためなら時間を作れたんですか」

この一言で藪は逆上し、整につかみかかります。

この指摘が図星だったということです。

藪の中では仕事と復讐は同じベクトルであり、やりがいがあった、だから復讐のためには時間が作れた。

しかし、家庭の中で夫ということや父親ということにはやりがいを見いだせなかった藪。

だから家庭ではなく仕事に没頭していた。

そして、寒河江にも隠された事実がありました。

寒河江には当時逆らえない先輩がいました。

その先輩に車を貸せと言われ貸していた寒河江。

事故を起こしたのは寒河江の車でしたが、運転していたのは寒河江ではなくその先輩だった。

この隠された事実が暴かれた時に、寒河江は悪者だったのか、藪は家族を事故で奪われたかわいそうな遺族だったのか、このことが恐ろしく揺らぎました。

視点を変えるだけでここまで捉え方が変わる。

1発目のエピソードからこの漫画に引き込まれた瞬間でした。

この漫画の有名なセリフの一つがあるのですが、このセリフはこの漫画を良く表しているセリフだと思うものがあります。

この事件の取り調べの最中、青砥という刑事に「真実は一つなんだから」と言われる整。

青砥に対して整はこう言い返します。

「真実は一つじゃない。2つや3つでもない。真実は人の数だけあるんですよ、でも事実は一つです」

どうですか!言葉の持つ意味って面白いですよね!

こんな風に整はおしゃべりでいろいろな矛盾や疑問を「僕は常々考えていて…」という語り口で話し始めるのです。

私自身間違っている言葉も多く使っていたり、当たり前だと思っていたことがそうではないということに気が付かされたりと発見ばっかりさせられます。

整の視点って本当に面白いです。

登場人物たちも、整の考え方や視点に興味を持ち色んな相談を持ち込んでくるのですが、私も整が身近にいたら相談に乗ってもらいたいなと感じてしまいます。

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