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【鬼獄の夜】オススメホラー漫画を解説・切り離せない?ジャンル要素の叡智とホラーの不思議な関係
登場人物プロフィール
立花牡丹 (たちばな・ぼたん)
19歳の専門学校生で青柳鷹介、赤坂晴馬、藤崎茜とは幼なじみです。牡丹は彼らと贄取塚へと迷い込んでしまいます。鷹介と付き合って1年になるが処女でしたが、贄取塚での惨劇の中で鷹介と結ばれました。
青柳鷹介 (あおやぎ・ようすけ)
19歳の大学生。優等生タイプで陽介がいないと何もできないという牡丹を愛しています。自動車が事故を起こした際に行方不明となりますが、贄取塚で牡丹を助けるために奔走して生き残る道を探します。
赤坂晴馬 (あかさか・ はるま)
19歳会社員。お調子者だが犯されそうになった牡丹と茜を守ろうとして顔無し鬼に殺されました。オカルトライターの姉の影響でオカルト方面に明るく、死後に姉の赤坂美空の枕元へ現れます。
赤坂美空 (あかさか・みそら)
職業はオカルトライターで霊感が強く、死んだ晴馬に呼ばれて、黄瀬大地と灰原良太郎と贄鳥塚を訪れました。贄取塚での経験から灰原と愛し合うようになります。
藤崎茜 (ふじさき・あかね)
19歳短大生。顔無し鬼に襲われる牡丹を見捨てようとするなど、牡丹と鷹介の関係に納得がいっていない様子です。贄取塚から脱出しようとした際、顔無し鬼に捕まって殺されました。
顔無し鬼(かおなしおに)
「贄取塚の顔無し鬼」と呼ばれる女と人肉が好きな鬼。一つ目の鳥よけ模様が書かれた布で、顔面を覆っていて顔があるのかはわかりません。怪力を持っているため、人間では太刀打ちできない存在として贄取塚を徘徊しています。
柴 太一 (しば たいち)
顔無し鬼を祭る神社の神主を務めている男。銃を持って歩き回りながら、顔無し鬼が人を襲うのを眺めて悦に浸るサディストでもあります。
異界との境界
ホラーと叡智というシチュエーションは昔から多かったものの、TL漫画としての女性キャラとしての可愛さと、ホラーとしての魅力を両立できているところがこの作品の魅力。
絵柄がしっかりと書き分けられているので女性キャラの叡智なシーンを現実(生)だとするならば、顔無し鬼やクリーチャーは異世界(死)の住人という感じで区別されています。そのため世界観に入り込みやすいのが面白さのポイントです。
少女と顔なし鬼が同じコマにいるシーンは、生と死を分かつ異界との境界なのでしょう。
叡智な目に合う女の子が可愛い。
当然なのですが叡智なシーンが可愛くなければキャラ推しが出来ないという欠点があります。この作品で顔無し鬼に追い詰められて牡丹たちが叡智な目に遭ってしまうシーンや百合シーンなども含めて、かわいそうなところが可愛いのは読んでいてドキドキするところなのだと思います。
気の強い美空が太一に責められる描写はギャップがあって良いシーンです。
女の情念という恐ろしさ
男性向けのホラー作品にはあまり描かれないことなのですが、牡丹を見捨てようとした茜の女性としての気持ちが描かれているのは面白いところです。女性同士の嫉妬や男性を取り合う様子は、ひょっとしたら顔無し鬼よりも恐ろしいもので、一番恐ろしいものは生きている人間なのではないでしょうか。
まとめ
「まんがMee」でWeb連載されているホラーとTL要素を盛り込んだエロティックホラーの「鬼獄の夜」をご紹介してきました。話が進行するにつれて鬼やクリーチャーというホラー要素よりも、それに関わっていく人間の恐ろしさが増えてくるところに面白さがあるのがこの作品の魅力なのでしょう。
恐怖に出会ったときに種の保存という生存本能が刺激されるからでしょうか、贄取塚で美空が灰原と結ばれていくように人はホラーと叡智を求めていくのでしょう。そんなホラーと叡智を両立しているところがこの作品の見どころなのだと思います。