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Sep
【Sonny Boy】令和時代の漂流教室はそれだけの物語?世界観と主要登場人物をまとめて解説・考察
キャラクターと能力
基本的に異世界転生の異能系バトルものではないので、異次元世界でケンカレベルの諍いはありますが、明確なバトル展開はありませんでした。7話で長良が訪れた世界「バベル」の建築現場では漂流者が異次元の生物に喰われる描写がありましたが、その後復活していたので漂流者たちは不滅の存在なのでしょう。
SonnyBoyはSF青春群像劇なので、主人公を始めとした主要な登場人物について、簡単に紹介していきましょう。
長良(ながら)
声優:市川蒼
能力:【観測者】自分の周囲をテレポーテーションさせる超能力で、異次元の別世界に移動できる能力と考えられていたが、観測することに因って世界を作り出す能力だった。
備考:達観しているのかあまり周囲に関心を示さない少年で瑞穂達と行動を共にすることが多い。自分の能力が漂流を引き起こしていることを知らされて戸惑う。
希(のぞみ)
声優:大西沙織
能力:【コンパス】空に見える一点の光をどこからでも見ることが出来る能力で、当初は現実への出口だと考えられていた。それは希にしか見ることが出来ない。
備考:帰国子女で性格はさばさばしている。活発だがたまに何を考えているかわからないところがある不思議な少女。長良達と行動を共にする。
瑞穂(みずほ)
声優:悠木碧
能力:【ニャマゾン】望んだものならなんでも3匹のネコが持ってきてくれる便利な能力で、不可思議な能力を持つアイテムも出現させることが出来る。
備考:マイペースで気分屋なお嬢様。祖母の飼っていた猫たち(とら・げん・さくら)をトートバッグに入れて持ち運んでいたので、猫たちごと漂流に巻き込まれた。
朝風(あさかぜ)
声優:小林千晃
能力:【スローライト】重力をコントロールできる念動力系統の超能力者。空を飛んだり、物体を破壊したりできる。
備考:短気で自己中心的なところがあり、漂流で手に入れた能力に溺れて力任せな問題解決をしようとするクセもある。サバイバルにおいてみんなから頼られる存在でもある。
ラジダニ
声優:後藤ヒロキ
能力:【ポケコン】プログラムを実世界に反映させられる能力の持ち主。ホワイトボードにデータを出現させるなど解析性能が高い。
備考:異次元そのものや漂流現象の解明などに尽力する頭脳明晰な少年。長良の能力こそ現実への帰還の鍵だと考えて、長良と一緒に行動することが多い。
明星(ほし)
声優:内藤有海
能力:【Hope】イメージを具現化して出現させることが出来る。現実への旅で船を出現させるなど、汎用性が高い。
備考:謎の声「ヴォイス」の声を聞き、漂流に関して事前に知識を与えられていた優等生。漂流の結末が決まっていると語り、少年少女たちが異次元の世界での生活を続けるように仕向ける。
前半6話:神が振ったサイコロ
前半6話は難解で不条理な世界観を演出するだけに終わってしまっているので、作品の雰囲気を掴むので精一杯だと思います。見たことのない映像に新鮮さはあるのですが、面白さの本質が分からず戸惑いを感じる作品です。
6話ラストで異次元に対するラジダニの見解「神が振ったサイコロ」というセリフが明かされたことで、物語は転機を迎えます。そこで、この物語のテーマが初めてわかる構成になっているのが面白いところです。
不確定性原理と観測者
「神が振ったサイコロ」の元となっているのは、おそらくアインシュタインの言葉「神はサイコロを振らない」です。長良の能力は差し詰めシュレディンガーの猫の暗喩と考えられます。このことから「観測者」が認識することで異次元の世界が作られていく意味が理解できるようになります。
「観測者」の能力とは、無限に存在する可能性を長良が観測することで異次元に出現させる能力なのでしょう。
後半7話以降:新しい世界へ
登場人物たちは白糸第二中学高の生徒たちであり、現実から逃避しがちな長良の能力「観測者」によって漂流していました。帰るべき現実というものは長良達にはなく、現実の長良達は既に白糸第二中学を卒業していたので、漂流していた生徒たちはそれぞれの未知の世界の道へと旅立ちます。
彼らは自分が現実世界で選ばれなかった未来の可能性であることに気付いたのでしょう。長良の「観測者」が見ていたのは「過去・現在・未来」の白糸第二中学生徒の持っていた可能性で生徒たちは長良の観測によって生まれた存在なのかもしれません。
新しい世界へと旅立つ仲間たちを見送った長良はそれでも現実というものに向き合うために、二ツ星の口癖「それだけだ」と可能性を求めて新たな世界を巡る決意をします。
まとめ
長良の能力となっているのが量子力学を元にしているとするのならば、昨今流行りのファンタジーでも異世界転生でもない新しい舞台で語られる令和時代のSFアニメ作品となります。
SonnyBoyが思春期の少年少女が持っていた、現実とはかけ離れた夢想を出現させた世界を描いているので、公式が「SF青春群像劇」というジャンルを標榜しているのはうなずけました。
まだ希の死の真相や、長良の能力が発現して何故漂流することになったのかなど回収されていない伏線があるので、後半の展開に期待がかかります。長良が観測の果てに何を見つけるのかがエンディングへの道標となるのでしょう。