ファーザー・アロング/万里なお

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タイムスリップものなのですが、ちょっと設定が複雑。
幼い頃に大好きな父仙太郎を亡くした宝ですが、本当の父親に会わせたいと20歳目前で告げられます。
今まで父親と思っていた人が違うと聞かされショックのまま家を飛び出した宝は車に轢かれタイムスリップをします。
そこで出会ったのが「仙太郎」と名乗るドラァグクィーン。
タイムスリップした先は宝の母親や仙太郎が若い頃の時代だったのです。
宝はそこで、仙太郎や母親たちの複雑な三角関係を知ることになり、宝の協力もあってその3各関係を変えていくというお話。
仙太郎と母親ともう一人の登場人物であるジョーの三角関係がじれったいし切なくてどんどん読み進んでしまうことができる作品でした。
宝の健気さ受けに思わず泣いてしまいました。

おやすみなさい、また明日/凪良ゆう

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記憶障害の青年と臆病な小説家の純愛ものです。
自分の一番の理解者であると感じていた朔太郎から衝撃の告白を受ける小説家のつぐみ。
この作品、本編も切なくて、大好きな作品なのですが、作家さんが評価されなくてもいいから書きたかったというショートストーリーがさらに最高です。
こちらを読むと余計に泣けます。
本編に描かれなかった2人の時間について書かれているこのショートストーリーなんですが、本当尊い時間だったんだなと実感できるもので、このショートストーリーだけでも読みたい作品と感じてしまいます！
物語というと想像のお話なのですが、この物語はだれにでも起こりうることですごくリアルに描かれていてそこもすごく共感できます。
後遺症で記憶喪失がすすんでいくという過程がすごくリアルです。
忘れられる切なさと忘れる切なさ両方本当に切なくて涙が止まりませんでした。

心を半分残したままでいる/砂原糖子

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こちらも記憶喪失ものです。
静良井真文は記憶障害を起こしやすく一年半以上前の記憶がない。
そのため、日々のことを日記に書き留めているのだが、そこに書かれている自分の恋人Mという人物を探し始めることとなる。
ある日喫茶店のマスターである中上と親しくなった真文はしだいに中上に惹かれていくのですが、中上のことを自分の恋人Mではないかという考えを持ち始めます。
あまり詳しく語ってしまうと読む楽しさが無くなってしまうと思うので多くを語りたくないのですが、中上が「辛い」と言ったときに涙が止まりませんでした。
中上の辛抱強さと真文の恋心。
この2つがこんなに切ないなんて思いもよらなかったです。
ハッピーエンドが好きな方は苦手な作品かもしれませんが号泣必死な作品です。

茜色デイズ/夏乃穂足

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大学時代、親友である倉田英慈への恋心を自覚した鮎川直也。
だけど、英慈には恋人がいるため、自分の気持ちを押し殺し、大学卒業後もずっと友達としての付き合いを続けています。
片思いは苦しいけど、英慈と友達でいられればいいと感じていた直也でした。
だけど、大学時代インフルエンザにかかり高熱で朦朧となっている英慈に直也は抱かれていたのです。
このことはもちろん英慈は知らないのです。
それでも、この一度きりの関係を胸に秘めずっと英慈と友達の関係を続けていく直也。
だからこそ英慈が元カノとヨリが戻りそうになったときや英慈の恋愛関係を側で聞いていて胸が締め付けられる思いをしている直也の気持ちがすごく切なくて、でも今の友達関係を続けていくことは直也自身が望んでいることでもあるからそこがまた、切ない。
すれ違いが余計に2人の関係を拗らせたりとまぁ、焦らされまくる作品です。
最後に英慈視点で描かれるショートストーリーがあるのですが、これを読むとさらに胸を締め付けられる思いになること間違いないです。

鍵のかたち/きたざわ尋子

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将来を期待されている建築士の有賀雅人は、建築士志望の高校生北実浩と電車の中で偶然知り合う。
その後お互い自然に惹かれ合い付き合うことになったのですが、雅人の父親に2人の関係が知られたことにより一度は別れを決断します。
しかし、その4年後2人は再会を果たすのです。
再会したらまた、何も問題なく付き合いだす2人を読めるのだと思っていましたが、お互いすれ違いまくってなかなかうまくいかない関係を続けます。
高校生なのに雅人のことを思って身を引く実浩の気持ちが純粋で切ないなと感じます。
さらに、再会してからもすれ違ってしまう2人の関係が本当に切ない。
でも最後には幸せになれると信じてずっと読み進められる作品です。

続きます⇩