貴族令嬢セレンの憂鬱

出典 : ©サトウとシオ・SBクリエイティブ／ラスダン製作委員会 : 「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」TVアニメ公式サイト

ロイドを運命の相手と認識して以降、セレンの言動は基本常軌を逸しています。
彼との精神的な距離が縮まった事実など一切なく、知り合って間もない顔見知りの段階にもかかわらず、他人から関係性を聞かれると「相思相愛」と断言。
意中のロイドと会った際には躊躇なく抱きつき「ロイド様ロイド様ロイド様ロイド様」と名前を連呼し、ロイドを戸惑わせていました。

そんな彼女を女性傭兵のリホ・フラビンは「初めて見た者を親と思うコガモのような心境でロイドを運命の人だと思い込み今に至る」と表現します。
言い得て妙です。

この件からもわかるように、セレンは「世間知らず」＋「思い込みの激しい性格」＋「愛情に飢えた環境」によって、他人との距離感が訳のわからないことになっている節があります。
そしてそれは、父親との関係にも影響が及んでいるようです。

前述したように、セレンの父親は彼女が呪われた当初、懸命に呪いを解こうと努力しました。
しかしそれは叶わず、家の評判が落ちる状況に陥ったこともあり、セレンが軍人になるよう半ば強制的に王都へ向かわせました。
支援も行っていなかったため、セレンからすれば見捨てられたような感覚だったでしょう。

そんな父ロビンと、セレンは再会を果たします。
ホテル「レイヨウカク」に呼び出され、渋々向かった先にいた父は、ベルトの外れた実の娘の顔を一瞥し、すぐに視線を外しました。

彼がセレンを呼び出した目的は、お見合いをさせるため。
軍人に出したのはあくまでベルトを外すためであり、それが達成された今は顔に傷が付くデメリットしかなく、早々に身を固めなさい……という言い分でした。

セレンはそんな父の魂胆を「壊れたモノがまだ商品の形を保っている間に売り払ってしまおう」と解釈します。
それでも、かつてベルトの呪いを解くため奔走した頃の父の姿が忘れられず、セレンはお見合いを受けることにしました。
ロイドに対する常軌を逸した愛情とは裏腹に、貴族令嬢としてのセレンは今尚、呪縛に囚われていたのです。

そのお見合いの最中、レイヨウカクではモンスター「トレント」の違法栽培が行われていたと判明。
トレントの暴走に巻き込まれ、父は命の危機に瀕します。
するとセレンは迷いなく、父を助けるため単身で救出に向かいました。

愛されていないかもしれない、嫌われているかもしれない。
でも親子の関係はそんな簡単には割り切れない。
セレンは一心不乱に、自分をどう思っているのかわからない父を助けようとしました。

そして、父の本心を知ります。

彼は「アザミ王国にとんでもないストーカーがいる」という噂を聞き、娘にもしものことがあったらと懸念し、早急にお見合いの話を進めたようです。
ベルト姫の噂は広く知れ渡っているため、貰い手がないかもしれないという焦りもあったのでしょう。
視線を合わせなかったのも、素顔の彼女とはあまりにも久々の再会だったため、どう喋っていいかわからなかったから……だったとのこと。
愛情は確かにあったのです。

ベルトの呪いに苦しめられ続けたセレンは、ここでようやく真の意味で解放されました。

なお、噂になっていた「とんでもないストーカー」とはセレンの事だった模様。

ヤバいタイプのヤンデレとは？

出典 : Amazon.co.jp

ヤンデレキャラにはいろんなタイプがいますが、一般的に最もヤバいとされるのは、意中の相手と結ばれるためなら手段を選ばない『未来日記』の我妻由乃や『ハッピーシュガーライフ』の松坂さとうのようなタイプです。
この手のヤンデレは他害を意に介さず、犯罪行為すら平気で行います。
いわゆるサイコパスですね。

演出的な意味でヤバいとされるのは、『ひぐらしのなく頃に』の各ヒロインのように急にスイッチが入り、暴言を吐き修羅の如き形相で怒りを露わにする豹変タイプ。
『僕のヒーローアカデミア』トガヒミコのように日常から常軌を逸した言動や表情を見せている常時ヤンデレタイプも、それはそれでヤバいとされています。

セレンはこれらのヤンデレキャラと比べると、そこまでのクドさはありません。
ただマイルドヤンデレと言えるほど穏やかではなく、特に恋愛絡みの思い込み具合は相当なもの。
あくまでコメディ的な範疇のヤンデレですが、その中では上のランクのヤンデレといった印象です。

まとめ

セレンはちょうどいいヤンデレです。
クドすぎず、かといって薄くもなく、見ていて楽しめるラインを越えない範囲で暴走するヤンデレキャラですね。
ガチのヤンデレ好きには少し物足りないかもしれませんが、一番広範囲に愛されるヤンデレキャラは、このセレンくらいの感じだと思います！