千明の魅力は「思いやりと責任感」

出展 : Amazon.co.jp

テンションが高く欲望に忠実な千明は、一見すると子供っぽい印象を受けるキャラですよね。
しかし実際にはメインキャラの中で最も大人なキャラなのです。

それが顕著に表れているシーンとして、1期9話「なでしこナビと湯けむりの夜」で風邪を引いたなでしこのお見舞いに来た際の一幕が挙げられます。

千明はなでしこへのお見舞いの品として「ほうとう」を持参します。
普通は病気のお見舞いといえば果物が定番ですが、なでしこが食べたことがないと事前に聞いていたため、ほうとうを選択したようです。

ここで重要なのは、千明がちゃんとなでしこの話を聞き、覚えていたこと。
千明のように口が達者な人間は自分の発言ばかりに注力し、他人の話をあまり聞かないタイプが多く、日常会話の中の何気ない一言など覚えようともしないもの。
しかし彼女はなでしこの言葉をしっかりと耳に入れ、そして心に留めていたのです。

些細なことのようですが、これは自分中心の考えを持った人間にはできないこと。
千明の大人な一面が垣間見えるシーンです。

更にこの場面ではその後、千明の作ったほうとうを食べてみたいというなでしこのリクエストに応え、経験のないほうとう作りに挑みます。
当初はなでしこだけに作る予定だったのでパッケージ裏に書いてある作り方を見て適当に作ろうとしていましたが、心ならずも各務原一家全員に振る舞うことになったため、予定を変更してネットにアップされているプロのレシピを見て本格的なほうとうを作ることになりました。

各務原一家は静岡から山梨へと引っ越してきたばかり。
対する千明は「梨っ子」を自称する山梨県民。
山梨県民の誇りにかけて郷土料理であるほうとうを「マズい」と思われてはいけない……そんな義務感が生じたのでしょう。

全体的にコミカルに描かれたシーンではありますが、何気に千明の責任感の強さと真面目さが現れた名場面です。

また、1期10話「旅下手さんとキャンプ会議」で、なでしこと共にしまりんをグルキャンに誘う場面からも、千明の部長としての責任感を感じ取ることができます。
このシーンでしまりんを誘おうと提案したのは、千明ではなくなでしこでした。
しまりんとの関係性を考慮しても、千明ではなくなでしこが誘った方がしまりんの了承する可能性は高いと考えられ、なでしこからしまりんに話をするのが自然です。

しかし実際には、千明がしまりんを誘っていました。
一体どうして千明だったのでしょう？

元々このグルキャンは野クルが計画していたクリスマスキャンプ。
そこに部外者であるしまりんを誘う以上は、なでしこではなく部長の千明が話をするのが筋という判断だったのではないでしょうか。

享楽的な行動が目立つものの、実は責任感の塊で経済観念もしっかりした大人の女。
それが千明の本当の姿であり、彼女の魅力なのです。

イヌ子との関係

出展 : Amazon.co.jp

誰に対しても人見知りせず、人懐っこい印象さえある千明ですが、なでしこが野クルへの入会を希望した際には断ろうとしていました。
一応「ただでさえ部室が狭いのにこれ以上部員が増えると余計狭くなる」という理由があってのことでしたが、アウトドアのサークルでは部室を使う機会はそれほどなく、あまりピンと来る理由ではありません。
イヌ子と2人で作った野クルに部外者が加わるという現実に対し、思わず拒絶反応が出てしまったのではないでしょうか。

そう思い至る理由は呼び名にあります。

千明は基本、親しくなった相手は名前で呼んでいます。
アニメ1期の段階では、しまりんと斉藤恵那（さいとう えな）に関してはそれぞれ「しまりん」「斉藤」と呼んでいましたが、一緒にキャンプをして距離を縮めたことでその後は「リン」「恵那」と呼ぶようになりました。

にも拘わらず、イヌ子だけは名前のあおいではなく愛称で呼び続けています。
イヌ子の方も「あき」と愛称で呼んでいるので、それに合わせているのかもしれませんが、いずれにせよ千明とイヌ子の関係性は何か特別なものを感じさせますね。

まとめ

千明がもし遠慮なく相手の懐にズガズカ入り込むような性格だったら、ゆるキャンがここまでの人気作にはならなかったような気がします。
なでしこや千明のような明るい子であっても、相手のことを常に尊重し、パーソナルスペースを侵すような真似をしないからこそ、この作品には他にはない独特の雰囲気があるのではないでしょうか。
つまり、千明はもっと評価されて良いキャラなんです！