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Sep
【魔女の旅々】イレイナは先輩の魔女キャラたちに勝てるのか? 徹底検証
ドライなようで主人公らしさも
あまり主人公魔女らしくないイレイナですが、その中でも特に際立っている性質が「必ずしも正義感がある訳ではない」という点です。
例えば魔女の旅々には、イレイナがふと立ち寄った国が、国王自ら偽造硬貨を大量に流通させた影響で異常に物価が高くなっていた……というエピソードがあります。
このような状況に遭遇した際、普通の魔法少女/魔女ものの主人公であれば当然憤り、国王にもの申すか、その真意を探ろうとするでしょう。
しかしイレイナの場合、金欠だったこともありますが、物価が高いのを良いことに占い師に扮し、ただの紐を「運命を引き寄せる魔法の紐」と称して売るなど(一応異性をあてがって運命の出会いを演出するなどフォローはしているものの)、詐欺行為に手を染めていました。
イレイナという人物は、決して正義の味方ではありません。
第三者のちょっとした中傷に対し、軽めとはいえ魔法で報復するなど、良くも悪くも自分の感情に素直で、他者に不利益を与えることに対し抵抗がありません。
そんな彼女の一面は、一言で言うとドライと表現できます。
決して積極的に他者を攻撃するタイプではありませんが、人として模範的でありたい、魔女という最高位にいるのだから立派な人間にならなければという気負いは全くなく、自分の力ではどうにもならない存在に対しては手出しをせず傍観するなど、無理してまで人助けはしないというスタンスを取っています。
このドライな面は、いわゆる一般的なイメージの「魔女」に近いかもしれません。
しかし一方で、彼女は薄情な魔女でもありません。
基本的に一生懸命な人は嫌いではないようで、そういう人たちが困っている場合、時間と労力を惜しまず助けようとします。
また、時折遭遇するどうしようもない悲劇に対しての反応も、ドライとは言い難いものです。
魔女の旅々を代表する人気エピソードの1つ「民なき国の王女」が顕著ですね。
このエピソードでイレイナは、滅んだ国に足を踏み入れ、そこで記憶喪失の王女ミラロゼと出会います。
ミラロゼは何も覚えていませんが、残された手紙には彼女が王女であること、そして現在の国の惨状を解決する唯一の方法が、外で暴れ回り国を滅ぼした怪物「ジャバリエ」を倒すこと……そう記されていました。
ミラロゼは王女でありつつ魔女でもあり、イレイナが一目で無理と判断するほど凶悪なジャバリエすら容易に討伐できる力を持っているとのこと。
イレイナはその手紙の内容は信憑性に欠けると判断し、最低限の手伝いだけして、戦いには加わらないと訴えました。
しかしイレイナは結局、ミラロゼと過ごしている内に情が移ったため、ジャバリエ討伐に手を貸そうとします。
なんだかんだで情に厚いところがあるのです。
そして、このエピソードは大半の読者が予想していなかったであろう結末を迎えます。
ジャバリエの正体はミラロゼの父親、つまり国王だったのです。
しかも、国王を怪物に変えたのは他ならぬミラロゼだったのです。
ミラロゼはかつて使用人と恋に落ちましたが、身分違いの恋に激昂した国王は使用人を無残に殺害し、ミラロゼのお腹の中の子供も殺させます。
その復讐のため、彼女は父親に自分の国を滅ぼさせ、最後に自分の手でジャバリエとなっていた父親を惨殺しました。
愛する者を根こそぎ奪われた苦しみを、父親にわからせるために。
そんな壮絶な一幕を見届けたイレイナは、出会った時の気さくだったミラロゼの面影がなくなってしまったことを悲しみ、けれど彼女と過ごした時間を忘れることもできず、切ない思いに駆られます。
その姿は、一般的な魔女のイメージとは程遠く、ドライとも言い難く、イレイナという人物の本質を如実に語っていました。
イレイナは、既存の魔法少女/魔女ものの主人公とは一線を画しています。
しかし邪道という訳でもなく、共感を覚える人や彼女を好きになるアニメファンはたくさんいるはず。
数多存在するアニメ界の魔女・魔法少女の主人公に埋もれることなく、その存在を際立たせる可能性は十分にあると思われます。
まとめ
普段の大人なイレイナも魅力的ですけど、過去の回想などで垣間見える本来の感情豊かなイレイナも可愛いですよね。
アニメでは本渡さんがどんなふうに演じてくれるのかも楽しみです!