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【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】クロコダイン、ハドラー、フレイザード……敵キャラが愛される理由とは? 徹底検証
悪役の鑑! 最後まで悪を貫き通したフレイザード
出典 : © 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 © SQUARE ENIX CO., LTD. : ドラゴンクエスト ダイの大冒険 アニメ公式サイト
ダイたちの仲間となり奮闘したクロコダイン、最後はダイとポップを救い宿敵にしてライバルであるアバンの腕の中で清々しく散ったハドラーとは対照的に、最後まで典型的な悪として描かれたのが氷炎魔団長フレイザードです。
性格は極悪非道、常に好戦的で狡猾な姿勢を貫き、女性の顔を平気で黒焦げにするなど無慈悲な攻撃を繰り出す、まさに外道そのもの。
ダイ大には数多くの名言がありますが、ダイから「正々堂々と戦えないのか」と非難された際に言い放った「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…勝つのが好きなんだォォッ!!!」というセリフは、彼を象徴する言葉として現在も語り継がれています。
「純粋な悪ではなく自分なりの正義を持った敵」「歪んでいるが強い信念を持った敵」が増え過ぎた弊害で、近年は主人公たちに倒されることでカタルシスが生まれるような敵らしい敵が減ってきています。
そんな中にあって、フレイザードの何処を切り取っても悪でしかない存在感、炎と氷を併せ持った中二心を擽る性質とデザインは全てにおいてわかりやすく「ザ・敵キャラ」であり、ドラゴンボールのフリーザ同様に近年再評価されています。
連載当時はフレイザードに怒りを覚えていた子供たちが、大人になった現在「ここは戦場だ!殺し合いをするところだぜ 男も女も関係ねェ 強い奴が生きて弱い奴は死ぬんだよ!! 傷つくのがイヤなら戦場に出てくるんじゃねえ!!」と主張する彼に一定の理解と納得を示しているのは、時代の流れを感じさせますね。
正体を晒したことで共感を得たミストバーン
出典 : © 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 © SQUARE ENIX CO., LTD. : ドラゴンクエスト ダイの大冒険 アニメ公式サイト
六大軍団の中で最もミステリアスな存在だったミストバーンは、その秀逸なデザインや寡黙さが他の敵キャラとは一線を画し、当初から一部のファンに支持されていました。
底知れない存在感を発揮しつつ、一方で武人として一皮剥けたハドラーに一目置くなど、情のようなものを持ち合わせていたと判明し、中盤以降更に好感度はアップ。
しかしその一方で、得体が知れない分感情移入がし難くもあり、3回行われた公式人気投票では11位→12位→11位と一度もTOP10に入れませんでした。
そんなミストバーンの正体が判明したのはクライマックスの場面。
彼は長年、大魔王バーンの肉体を預かり取り憑いていた暗黒闘気の集合体だったのです。
ドラクエのモンスターで言えば「ガスト」と「あやしいかげ」に近いタイプですね。
肉体を持たない彼はコンプレックスを持っていましたが、同時に自分の肉体を鍛え強くなる者に対しては尊敬の念を抱いていました。
他人の身体に取り憑いて戦うという、終盤のボスにしては大物感のない正体でしたが……他者の身体を借りなければ強くなれない悲哀と、他者を羨む気持ちを素直に明かしたその潔さによって共感が生まれ、当初とは違った人気の獲得に至っています。
誰より神秘性に富んでいたキャラが、実は魔王軍の中で最も人間臭いキャラだったことに多くのファンが驚き、ダイ大の構成力の高さに舌を巻いたことでしょう。
まとめ
敵キャラを魅力的に見せるのは決して容易ではなく、それが出来ている作品は大抵人気作になっている気がします。
ダイ大もその中の1つで、本当にゲスなキャラからやむを得ない理由で人間と敵対しているキャラまで、実に様々なタイプの敵を描き分けているのが凄いです!
今人気投票をやったら上位の半分くらいが敵や元敵で埋まるかもしれませんね。