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Feb
高橋留美子全作品をまとめてみた! るーみっくわーるどをあらためて振り返ろう
らんま1/2
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1987年、うる星とめぞんがほぼ同時期に終了したことで日本中が“るーみっくロス”に陥ります。
しかしその期間は本当にごく僅かでした。
同年、早くもサンデーで『らんま1/2』の新連載が始まったからです。
基本的な路線はうる星を踏襲したドタバタ系ラブコメですが、本作に登場するメインキャラの多くは主人公・早乙女乱馬(さおとめ らんま)に代表されるように独自の格闘術を持つ実力者で、恋愛と格闘の二つが物語の主軸になっています。
そして本作の最大の特徴はやはり、「水をかぶると女になって、お湯をかぶると男に戻る」という乱馬の体質。
男のような女キャラ、女のような男キャラはうる星の竜之介をはじめ当時の漫画でも度々登場していましたが、1人のキャラが作中で何度も性別を変えるという漫画はほとんど前例がなく、現在でもTSものといえばこの作品が真っ先に挙がるほど飛び抜けた知名度を誇っています。
あたるにハーレム願望があるものの、実際にはハーレムものではなかったうる星とは違い、本作は乱馬に言い寄る女性キャラが多く、ジャンルとしてはハーレム系に属します。
また、後半になると乱馬のナルシストな一面がより強調されるようになり、同じラブコメ路線でも少しテイストが変わってきます。
その変化は読者層にも現れていて、後半になるにつれ女性人気がアップしていったそうです。
結果、うる星以上に幅広い層に支持された本作は全38巻(新装版全38巻、スペシャル版全20巻)で5500万部を記録し、高橋先生の作品で最も大きなヒットになりました。
一方、1989年からスタートしたアニメについては、アニメ全体が以前ほど視聴率が取れなくなっていたため、最高視聴率16.1%に留まっています。
1ポンドの福音
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実はらんまよりも一足早く新作として週刊ヤングサンデーに掲載された作品。
ただし当時は前後編の読み切り作品で、シリーズ化したのはらんま連載開始の後になります。
不定期のシリーズ連載ですが、ストーリーは人魚シリーズよりも連続性が高いため、連載作品のリストに入っていることが多いですね。
ボクシングを題材とした漫画ですが、本格的なボクシング漫画ではなく、ボクサーなのにストイックさの欠片もない主人公の畑中耕作(はたなか こうさく)と、真面目で堅物なシスターアンジェラ(麻利絵)によるラブコメディが主軸。
通常のボクシング漫画は大抵主人公がほとんど勝って敗戦は稀ですが、耕作は作中で頻繁に負けており、その点も大きな特徴となっています。
全4巻とボリューム自体はコンパクトですが、不定期の掲載だったため、連載期間はなんと20年。
熱心な高橋先生のファンでも、完結するとは思っていなかったかもしれません。
るーみっく作品の中では地味な方なので、あまり売れていないと思われがちですが、4巻で230万部を発行している立派なヒット作です。
テレビアニメ化はされていませんが、1988年にOVA化、2008年にドラマ化を果たしています。
犬夜叉
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1996年にらんまの連載が終了し、さすがの高橋先生もやり尽くした感があったらしく、次回作の構想は練っていなかったそうです。
しかし、ヒット率100%の神様をサンデー編集部が放っておけるはずもなく、打ち合わせの中で「戦国時代を舞台としたスケールの大きな大河ドラマ」という形が生まれ、妖怪と人間の間に生まれた半妖・犬夜叉(いぬやしゃ)というキャラが誕生します。
そうやって生み出されていったのが、全56巻(ワイド版全30巻)という高橋先生の作品で最大のボリュームを誇る『犬夜叉』です。
過去のサンデー連載作品のうる星・らんまとは明らかに作風が異なり、一応ギャグやライトな描写は散りばめられているものの、ストーリーは一貫してシリアスな冒険活劇。
半妖・奈落(ならく)の策略によって、かつて愛し合っていた巫女・桔梗(ききょう)を失い、自身も封印された犬夜叉が、戦国時代にタイムスリップした桔梗の生まれ変わり・日暮かごめ(ひぐらし かごめ)によって封印を解かれたことで物語が始まります。
その後、彼女の体内から生まれ偶発的に各地へ飛び散ってしまった「あらゆる願いを叶える宝玉」四魂の玉を集めるため、かごめや道中で仲間になった弥勒(みろく)、珊瑚(さんご)らと共に旅をするストーリーが長期にわたって描かれました。
この作品の大きな特徴は、イケメン揃いの男性キャラ陣。
特に犬夜叉とその兄・殺生丸(せっしょうまる)は非常に人気が高く、2019年にNHKで実施された「全るーみっくアニメ大投票」キャラクター部門で犬夜叉が総合1位、殺生丸が3位に輝きました。
そういった理由から本作のファンは女性が圧倒的に多く、かなり熱烈な支持者が多かったようです。
テレビアニメは2004年に一旦終了し、その後2008年には連載が完結を迎えましたが、最後までアニメ化して欲しいという声が後を絶たず、それに応え2009~2010年に『犬夜叉 完結編』が放送されました。
累計発行部数は4500万部。
アニメの最高視聴率は17.9%を記録しています。