20
Feb
ライナー、ムスカ、夜神月……真面目なのにネタキャラ化した人に共通する魅力とは?
シリアスなポンコツさ
出典 : Amazon.co.jp
ネタキャラの大半は、実は有能です。
上記のムスカ、無惨、セフィロスはラスボス的存在ですし、ペテルギウスも魔女教創設者の1人で立派な強敵。
作中においては、むしろ実力者としての印象ばかりが目立ちます。
しかし反面、よくよく考察してみると行動に穴があったり、雰囲気で誤魔化しているけど実際はおかしなことを言っていたり……と、叩けば埃が出るのがネタキャラのお約束。
特に愛されるネタキャラは、打ち出の小槌のように次から次にポンコツな一面が出て来るのです。
ガンダム屈指の人気キャラであるシャア・アズナブルは、これに該当します。
主人公アムロ・レイの宿敵であり、「赤い彗星」の異名を得るに至った実績はまさに怪物級。
性格も冷徹で頭脳明晰、カリスマ性に富んだ作中屈指の強キャラ……なのは間違いないのですが、一方で作中での戦績はあまり芳しくなく、アムロと比べると成長面で遅れを取り、特にZでのクワトロ・バジーナ時代は情けない面が随所に見え隠れしていたため、時が経つにつれ「凄いけどどこかショボい」というイメージが生じてしまいました。
そして最終的には年下であるララァに母性を感じていたことがクローズアップされ、「バブみ」の代名詞的存在になってしまいます。
このケースが該当するネタキャラに共通しているのは、カリスマだったりクールだったりポンコツとは対極の存在であること。
そのギャップに魅力を感じる人は少なくありません。
「シリアスな笑い」というジャンルがありますが、彼らの場合「シリアスなポンコツ」だからこそ愛されているのでしょう。
そして、シリアスなポンコツの代表格として絶対に外せないのが『進撃の巨人』のライナーです。
当初は第104期訓練兵団のリーダー的存在で、優秀でありながら愛嬌もあり、憧れを抱かれるような存在として描かれていましたが……「鎧の巨人」としての本性を晒け出して以降はエレンから「本当に気持ち悪いよ」と罵られ、マーレの戦士としての自分と第104期訓練兵団の一員である自分との板挟みによって精神を病み、かつては落ちこぼれだったことが判明し、アニにはボコボコにされ、何度死にそうになっても生き残り、物語の終盤になっても一向に名誉挽回の機会がありません。
そんな彼が酷い目に遭うシーンが登場する度に、読者はライナーへの同情と愛をもって歓喜の声をあげています。
まさにネタキャラの鑑です。
安っぽくならないための品性
出典 : Amazon.co.jp
実はネタキャラにおいて最も重要で、最も多くのキャラに共通しているのは品性です。
品性を完全に欠いたキャラは、ネタキャラとして愛されることはありません。
内容が汚くても言葉遣いは丁寧だったり、紳士な一面を持っていたり、大抵のネタキャラはどこかに上品な部分を持っています。
品性というのは何も内面のことだけではありません。
顔も含まれます。
ライナーもその精悍な顔付きだけを見れば品性を感じさせ、もし彼の外見がもっと朴訥だったら、ここまで愛されることはなかったでしょう。
『デスノート』の夜神月(やがみ らいと)は、特にその点が顕著ですね。
彼は最終的にゲスの極みというところまで落ちてしまいますが、育ちは良く顔も正統派のイケメンで、そんな彼が煽りに弱く醜態を晒すからこそネタキャラとして成立しているのです。
これは女性キャラも同様です。
『ガールズ&パンツァー』の“ダー様”ことダージリンは若干高圧的な言動が散見されますが、彼女の品性はそれらを大きく軽減させますし、同時に風変わりな発言を引き立てています。
ネタキャラはよく作中の1シーンを切り取られ、ネット上で何度も晒されます。
コラを作られることも少なくありません。
もし品性のないキャラだとしたら、その数多の露出で少なからず不快に思われることもあるでしょうし、安っぽくなってしまいます。
そういった状況に耐え得るキャラだけが、ネタキャラとして長く愛され続けているのです。
まとめ
ネタキャラの存在はとても重要で、そういうキャラが誕生した作品は大抵のことを乗り越えられます。
ファンと作品(作者)の潤滑油のような存在と言っても過言じゃありません。
実質的な無敵キャラでもあります。
もちろん狙って生み出せるものではないだけに、いつどのタイミングでどの作品に誕生するかわからないのも面白いところ。
今後もライナー級のネタキャラの出現を期待したいですね!