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Feb
大人向けのアニメとは「大人になった気になれるアニメ」? 大人のアニメを真面目に考えてみた
子供にはわからない? ハードボイルドな生き様を描いたアニメ
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「ハードボイルド」という言葉が、大人向けの作品を紹介する際に良く使われます。
元々は、人間離れした推理力の探偵や現実離れしたトリックを扱ったミステリに対するアンチテーゼとして普及したジャンルとのこと。
今で言うと「なろう系が流行りすぎたことへの反発から、主人公が無双せず堅実に生きる異世界モノが流行った」みたいなものでしょうか。
その生い立ちはともかく、ハードボイルドから連想されるのは「冷徹」「無口」「余裕」「完璧主義」といった要素を持つ主人公です。
ゴルゴ13のようなイメージですね。
そういった主人公に共感を覚えるようなら、自分が大人になったと感じることができるかもしれません。
例えば、子供の頃に『カウボーイビバップ』を観てあまり馴染めなかったなら、大人になった今もう一度観直してみることをおすすめします。
当時漠然とカッコ良いと思ってはいたけど共感まではできなかった……という人も、あらためてスパイクの生き様に触れてみると、きっと違った感じ方をするでしょう。
『蟲師』や『紅の豚』も同様です。
近年の作品では『ノー・ガンズ・ライフ』も該当します。
頭が拳銃とかなり異質ですが、渋味を感じさせる主人公です。
カッコ良い女性に共感したいなら、『BLACK LAGOON』は外せません。
本作のレヴィは短気で金にうるさいので、ハードボイルドのイメージとは真逆ですが、その生き様に大人を感じさせる女性キャラです。
複雑? 哲学? 難解なストーリーのアニメ
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評判が良いから観てみたアニメが良くわからないストーリーで、あまり面白く感じられなかった……といった経験は、多くのアニメファンが一度はしていますよね。
その中には、通ぶったアニメファンが持ち上げていたけど経年と共に評価が下がった作品も少なからずありますが、そうでないアニメもたくさんあります。
高い評価を得る一方で、複雑で難解という声もあがっていた『電脳コイル』はその典型です。
大ヒットアニメではありませんが、現在も多くの人がこのアニメを名作と位置付けています。
大人になって観直してみることで、当時理解できなかったストーリーが見えてくるかもしれません。
逆に大人になっても理解が難しそうなのが『輪るピングドラム』。
幾原邦彦監督の常人離れしたセンスがフィルターになっていて、主題がなかなか掴めないところがある作品です。
ただ、幾原監督はその後『ユリ熊嵐』『さらざんまい』と新たな作品を発表し続けていて、それらのアニメに触れる内に少しずつ見方がわかってきたという人もいるでしょう。
そんな今、あらためてピンドラを観直してみると、当時とは全く違うフィーリングで作品にのめり込める可能性が高いです。
そうなれば、大人になった自分を嫌でも実感できるでしょう。
大人になって初めて身に染みる社会派アニメ
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社会人になったから社会派のアニメが馴染む、なんてことは決してありません。
ただ、社会派を気取っている作品ではなく、実際に社会問題に切り込みつつエンターテイメントとして成立させているアニメについては、大人になって初めてストーリーや設定が身に染みるものです。
スペースデブリ(宇宙ごみ)を題材にした『プラネテス』は、ストーリーが難解ではなかった分、却ってストーリーの背景にあまり目を向けず観ていた人も多いと思われます。
この作品はJAXA協力のもと、原作者の幸村誠先生、設定考証を担当した小倉信也さんによって非常に細かい部分まで考証が行き届いているので、あらためて観直すことで新たな発見がたくさんあるタイプのアニメですね。
既に世界的な評価を得ている作品ですが、『攻殻機動隊』シリーズもこの範疇でしょう。
有名だからこそ、なんとなくで観ていた人も多いはず。
美しい映像で描かれた近年のシリーズも見応えがありますが、1995年公開の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は今尚色褪せない名作です。
お金と欲望をテーマにした『C』も、社会人になってから観ると違う角度のストーリーが見えて来ます。
まとめ
昔は「アニメは大人になったら卒業しなさい」と言われていましたが、今はむしろアニメで大人になったことを実感する時代。
そういうアニメがたくさんあることを、とても幸せに感じます。