8
Feb
女主人公を徹底解剖! なろうで急増している理由とは?
出典 : ©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会 : TVアニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」公式サイト
王道の少女漫画原作アニメから最新のなろう作品まで、様々な分野の女主人公を徹底解剖!
女主人公がアニメやなろうで増えてきた理由について、また主役が女性であることが各作品にどんな影響を与えているのか等を検証しました!
深夜アニメにおける女主人公の比率は?
出典 : Amazon.co.jp
多くの漫画やライトノベル、そしてアニメには明確な主人公が存在します。
そして、その主人公が男性か、それとも女性であるかはとても重要で、作品のカラーに多大な影響を与えます。
では、実際に女主人公のアニメは全体の何割くらいなのでしょうか?
2019年に放送された全ての深夜アニメを調べてみた結果、男主人公が60%、女主人公が40%でした。
女主人公のアニメが半分近くを占めているのです。
これは10年前の比率とほぼ変わっていません。
基本、主人公が男か女かはターゲットにする層によって決定します。
例えば10歳未満の女の子を主な視聴者層としている女児向けアニメや、女子に読まれるのを前提にした少女漫画の場合、10割に近い確率で主人公は女の子です。
逆に少年漫画の場合は男主人公が圧倒的に多く、ターゲットの同性を主人公にする作品が大半を占めています。
これは、作者および読者・視聴者が「主人公視点で物事を考える」ことに起因するものと思われます。
作者が主人公視点で物語を考えるのは当然のこと。
読者・視聴者に関しても、子供の場合は主人公に自己投影することは多々あります。
大人の場合は、主人公の考えや心理を客観的に考察・判断しますが、その場合やはり異性より同性の方が理解度・共感度が高くなるので、自然と同性の方が読みやすくなるものと推察されるのです。
例えば、より主人公視点になりやすい男性向けのエロゲーや女性向けの乙女ゲーは、大半の主人公は同性です。
この場合、男性向けの作品はアニメ化されても男が明確な主人公として描かれますが、女性向けのゲーム原作アニメの場合は女主人公と言えるほど明確に主役っぽくしないケースが多々あります。
それぞれ原作のユーザーの要望に沿った主人公像を表現しているようです。
とはいえ、必ずしも「主人公=ターゲットとなる層と同性」の作品ばかりではありません。
男性向けの作品でも、日常アニメに関しては女性主人公が多く見受けられます。
これは、きらら系に代表されるように登場人物全員が女性の作品も含まれるため、当然のことですね。
同じことが女性向けイケメンアニメにも言えます。
また、近年は女主人公の男性向け作品が増加傾向にあります。
昔はジャンプ作品の主人公はほとんど男でしたが、近年は『めだかボックス』『約束のネバーランド』『アクタージュ』など女主人公の作品も目立ち、しかも成功を収めています。
昔は少年漫画といえば子供が読むもので、子供は主人公に自己投影しやすいため、同性の主人公が鉄板でした。
しかし近年は読者層の年齢がかなり上がっているため、客観性をもって作品を読む人が増えており、異性の主人公でも抵抗なく読めるようになっていると思われます。
その結果、女主人公のヒット作が増え、アニメでも女主人公の作品が常に一定数以上生まれているのです。
女主人公は今やボーダーレス
出典 : Amazon.co.jp
昔は、女主人公のバトルアクションというと魔法少女もの、美少女戦隊ものといった女の子向けの作品にほぼ限定されていました。
男性向けバトルものに関しては、『機動警察パトレイバー』の泉野明(いずみ のあ)や『GS美神 極楽大作戦!!』の美神令子(みかみ れいこ)など何人かはいましたが、割合的には男主人公が圧倒的多数でした。
ただ、そういったジャンルによる偏りは年々なくなってきています。
例えば1990年代、『ジョジョの奇妙な冒険』の6部は女性の空条徐倫(くうじょう じょりーん)が主人公だったことで当時賛否両論を呼びました。
それまでの主人公が全員男だったこともありますが、やはりジョジョのようなバトルの多い作品で女性が主人公というのは、イメージが追いつかないところがあったようです。
しかし2000年代に入ると、その流れは少しずつ変わってきました。
その要因の1つにライトノベルの台頭があります。
1990年代に大ヒットした『スレイヤーズ!』および主人公リナ=インバースの影響もあり、2000年代のラノベは女性主人公のバトルものが比較的多く、『灼眼のシャナ』のアニメがヒットしたことで女主人公のファンタジーバトルアニメが一気に増加しました。
ダークファンタジーに代表される、殺伐とした世界観の作品に関してもそうですね。
昔は女性キャラが痛々しい姿を晒すアニメはあまり作られませんでしたが、2000年代には『CLAYMORE』『BLACK LAGOON』『BLOOD+』などが人気を博し、2011年放送の『魔法少女まどか☆マギカ』が爆発的にヒットしたことで、女主人公のダークファンタジー作品が一気に増えました。
このように、時代と共に女主人公のアニメは様々なジャンルで見られるようになりました。
「今まであまりなかったジャンルや組み合わせを狙う」というニッチ戦略も少なからずあったと思われます。
そのため、現在はかなりボーダーレスな状態です。