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Jan
ツッコミどころが多すぎる?!金田一少年の事件簿外伝・犯人たちの事件簿の魅力まとめ
出典 : Amazon.co.jp
最近ネットで話題になり140万部の売り上げを誇る人気作品『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』。
原作を知らなくても笑える、原作を読みたくなるスピンオフと評判!
タイトル通り、『金田一少年の事件簿』に登場する犯人たちを主役にした漫画です。
本編では悲惨な動機で血を吐くような思いで犯行を重ねる犯人たち。
だからこそ、ギャグ漫画である本作では、動機にはほとんど触れることなく、トリックに注目した構成になっています。
しかし『金田一少年の事件簿』という漫画、動機を省いてしまえば実はかなりシュールでツッコミどころがあるんです。
【金田一名物怪人裏事情】
完全犯罪しようとしたら名探偵が来ちゃった件① pic.twitter.com/lvGzRq3ZXC
— 船津紳平@犯人たちの事件簿7巻発売中 (@fnt_shinpei) March 21, 2019
『金田一少年の事件簿』に登場する“怪人”と呼ばれる人物たち。
その正体は、最後に罪を被せるために架空の人物やその土地の都市伝説に出てくる恐ろしい人物を模して変装した犯人たち。
『金田一少年の事件簿』『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』共に最初の事件である“オペラ座館殺人事件”では、歌月という怪人が登場します。
顔に包帯を巻いた謎の旅行客として登場した彼は、事件がおき部屋を訪ねるとその姿はないという疑惑の人物です。
このような仕込みをしようと思えば、まず最初に「顔を包帯でぐるぐる巻きにした状態でホテルにチェックイン出来るか」という問題をクリアしないといけません。
ミステリーのお約束では不審な格好の人物はそういうものとしてスルーされますが、よく考えたらただの不審者です。
下手したら通報されます。
そして不審者丸出しの格好で人前に出るのはもちろん恥ずかしく、精神的にもツラいものがあります。
それでも完全犯罪の為です。犯人たちは羞恥心を押し殺して怪人になるのです。
【トリックにまつわる苦労を描く】
金田一のトリック、準備が大変過ぎる説 #犯人たちの事件簿 pic.twitter.com/OfbDjK5DW7
— 船津紳平@犯人たちの事件簿7巻発売中 (@fnt_shinpei) March 24, 2019
当然ですがミステリーのトリックと言うものは、実行しようとするとなり大変です。
『金田一少年の事件簿』本編ではセリフの1つで流されるようなものですら、かなりの労力が要求されます。
例えば“蝋人形城殺人事件”では、城にミステリーツアー参加者たちの姿をした蝋人形が用意されていました。
ですがオリジナルの蝋人形となると入手段階からしてハードルが高いです。
しかも犯行に使うものですから、足がつくような入手経路はアウトです。
じゃあどうすれば良いのかと考えた結果、犯人は蝋人形を頑張って自作します。
この蝋人形はトリックの関係上、雑な作りで一目で人形だとわかる方が望ましいのでクオリティは要求されません。
が、そうだとしてもかなりの難易度です。
また“悲恋湖殺人事件”では犯人が偽のニュースを流しました。
本編の推理シーンでは一言で片付けられていますが、実際に素人がニュースのように読もうとしても違和感が出てしまいます。
だから、犯人は一から学びます。
ちなみにこの犯人は、吊り橋炎上装置なるものも独学で作っています。
かなりの根性ですね。
【体力も演技力も要求されるトリック】
ああ…熱はかったら38.3℃…。もっとフィジカルを鍛えなくては…明日病院行こう… pic.twitter.com/EQvJOOG9L3
— 船津紳平@犯人たちの事件簿7巻発売中 (@fnt_shinpei) April 6, 2018
さて『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』では、本編の犯行時に特にトリックなどが提示されていないシーンは力押しだと解釈されます。
どうにかやったんだろうとしか言えない部分は、基本フィジカルでゴリ推すシステムです。
例えば“銀幕の殺人鬼”で「天井からフィルムに被害者を絡めて吊るした」というシーンがあるのですが、トリックはないのでフィジカルのみです。
しかしこの事件の犯人は被害者よりも年下の女子。
小柄な女の子が、自分より重い男を吊るすなんて、相当な身体能力がないと出来ません。
それでも計画的犯行ならまだマシな方でしょう。
衝動的なものの場合何の準備もないまま、無茶な事をする羽目になります。
“タロット山荘殺人事件”の犯人は東大出身のエリート。
しかし、いくら賢くても「中年男性を風車に簡単に吊るす方法」は思い付きません。
それでも人生がかかっている以上やるしかありません。
過酷だとか言っている場合ではないのです。
そして犯人たち自画自賛も凄いです。
特に演技力については自分で絶賛してきます。
追い込まれているからこそ、妙にポジティブで何かを達成すれば自分で誉める犯人たちの姿には愛しさすら覚えます。
体力を使い果たし、成功すれば自分で自分を誉めてテンションを上げながら頑張る犯人たち。
もしかしたらこの漫画は最後の頼りは自分の肉体と精神だという、生きる上で大切なことを教えてくれている作品なのかもしれません。