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桜木花道、坂田銀時、ルフィ……一番人気になる主人公の条件とは?
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漫画やアニメの人気投票で、主人公が1位になるケースは意外と少ないですよね。でも中には堂々と人気No.1に輝く主人公もいます。
そこで、一体どんな主人公が支持されるのかを徹底検証!
トップの人気を維持し続ける主人公を例に、その秘密に迫ります!
有名作品の主人公は意外と人気No.1になれない?
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主人公とは物語の中心人物であり、読者や視聴者が最も感情移入する対象になりやすいキャラです。
当然出番も一番多く、見せ場もたくさんあるので、カッコ良く描かれるシーンに困ることはありません。
一方、主人公には「主人公補正」なるものがあるのも、純然たる事実です。
特にバトルやスポーツを題材とした作品では、ストーリーの関係上主人公が勝つことは必須というケースが多く、主人公のバトルや試合は勝敗が最初からわかっていてつまらない……と感じる人も多いようです。
また、主人公ではなくヒロインがメインとなる恋愛ものに関しては、主人公の立ち位置は大きく異なります。
物語の中心人物ではあっても、作品の中心人物とは言えないのが常。
恋愛もので主人公が人気1位になることは滅多にありません。
こういった事情もあり、現実には主人公が1番人気であり続ける作品は意外と少なく、その事実も漫画・アニメファンの間では半ば定説と化しています。
では、実際のところ本当に主人公はNo.1になれていないのか、公式で人気投票を行った有名作品が多い週刊少年ジャンプの人気作で確認してみましょう。
まずは国民的作品『ドラゴンボール』。
本作の主人公といえば、漫画・アニメ界でもトップクラスの知名度を誇る孫悟空(そん ごくう)です。
ただしブウ編の序盤だけは息子の悟飯(ごはん)が主人公を務めていました。
ドラゴンボールの少年ジャンプ誌上での人気投票は、1993年(セル編終盤)、1995年(ブウ編終盤)の2回行われており、1回目は悟飯が1位、2回目は悟空が1位でした。
セル編は悟空が心臓の病気のため途中離脱し、出番が少なかったことも響いていたと思われますが、当時は悟空以上に少年悟飯の人気が凄まじく、だからこそ主人公交代も実現したと思われます。
しかし、いざ主人公になった途端、悟飯人気は一気に落ち着いてしまい、2回目の投票では6位に終わっています。
熱狂的なファンが多い冨樫義博先生の『幽遊白書』『HUNTER×HUNTER』は、主人公が一度も1位を取れていないことで有名です。
『キン肉マン』も同様で、他の超人が入れ替わりで1位を取っている中、スグルはどうしてもトップに立てていません。
最初は1位でも、連載が進むにつれ陥落する主人公も多くいます。
『キャプテン翼』の大空翼(おおぞら つばさ)は、週刊少年ジャンプ連載時には1位を取っていましたが、その後は岬太郎に1位を譲っています。
『黒子のバスケ』の黒子テツヤ(くろこ てつや)も、第2回までは1位でしたが、3回目で赤司征十郎に抜かれました。
『BLEACH』は3回目まで主人公の黒崎一護(くろさき いちご)がトップでしたが、第4回で3位に転落。
『僕のヒーローアカデミア』のデクは1回目だけ1位で、2回目以降は頂点に届いていません。
『NARUTO』は7回行われた人気投票で3回1位を獲得。
しかしトータルの票数ではカカシ先生に遅れを取っています。
このように、多くの人気作で主人公が人気No.1を他のキャラに奪われています。
悟飯の例が顕著ですが、主人公は出番が多い分粗が目立ち、ファンの見る目が厳しくなるのかもしれません。
ただし、何度人気投票を行っても1位を取り続ける絶対王者の主人公もいます。
『ワンピース』のルフィは、公式で行われた6回の人気投票全てで1位を獲得。
『銀魂』の坂田銀時(さかた ぎんとき)も最後まで1位を譲らず、ルフィ同様6連覇を成し遂げました。
また、『スラムダンク』桜木花道も行われた人気投票全てで1位でした。
彼らのようにずっと1位をキープできる主人公はごく僅か。
他の主人公とは一体何が違うのでしょうか?
未完成な主人公ほど好かれる?
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『ワンピース』『銀魂』『スラムダンク』に共通しているのは、主人公だけが人気なのではなく、他のメインキャラも凄まじい人気を誇っている点です。
ワンピはゾロとサンジ、銀魂は土方・沖田・高杉、スラムダンクは流川と三井……というように、2~3位あたりもほぼ固定化されています。
ミもフタもない言い方をすれば、油断すれば1位を取られてしまう危機感があるため、ファンの結束が自然と固くなるという側面もあるのでしょう。
ただし、それを抜きにしても、この3作品は主人公の人気が際立っている印象です。
彼らにそれだけの魅力があるのは言うまでもないでしょう。
好きになる要素が多くて濃いからこそ、多くのファンから慕われ続けているのは間違いありません。
ただし、それ以外にも銀時とルフィには共通点があります。
圧倒的な魅力に加え、適度に嫌われる要素もあることです。
ルフィは典型的な「どうにかなる」タイプで、お調子者の楽観主義者。
銀時は「キメる時にはキメる」タイプの主人公で、その分普段はだらしなくて口も悪く下ネタも言い放題の狼藉者。
どちらも優等生とは程遠く、しかし情に厚くて己の信念を決して曲げない意志の強さを持ち合わせており、そのギャップが多くの人を惹き付け、同時に引かれてもいます。
好まれる主人公の多くは、彼らのような善と悪の両方を兼ね備えた人物。
プラスとマイナス、両方の面が強く打ち出されているからこそ、そこに人間味が生まれ、関心を生み出すのです。
プラスばかりが強調された人物は、あまり共感は得られません。
桜木花道も同様です。
彼が単に「元不良だけど才能ある選手」で、最終的に完璧な選手になっていたら、魅力的な主人公にはなれなかったでしょう。
圧倒的な才能がある一方であまり得点力はない選手であり続けたからこそ、そこに人間味を感じた人は多かったはずです。
この人間味という要素は、連載が進むにつれて次第に減っていくことが多く、特にバトルものの主人公は強くなればなるほど達観するようになって、作品によってはつまらないキャラになってしまうケースもあります。
しかし銀時、ルフィ、花道はかなりの長期連載になっても、まだ「こいつは何かやらかす」という期待感が消えません。
それだけ彼らが人間的に未完成である証拠ですが、これこそが主人公の魅力でもあるのです。