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29

Nov

『がっこうぐらし』『ヒナまつり』『あそびあそばせ』『彼方のアストラ』……ネット人気が高いアニメの円盤があまり売れないのはなぜ?

出典 : Amazon.co.jp

ネット上で多くの人が称賛し、アンケートでも上位にランクインしていながら、円盤売上は伸び悩んでしまった作品についてまとめました!
どうして売れなかったのか、どういう作品がこういった傾向に陥っているのかを徹底検証します!

『がっこうぐらし!』の円盤が伸びなかった理由

出典 : Amazon.co.jp

近年、Blu-ray+DVD(円盤)の売上だけではアニメのヒットを測れない時代に突入したと言われています。
実際、Netflixビリビリ動画といった海外でも観られるプラットフォームで人気作になれば、円盤売上があまり高くなくても続編が制作されるようになりました。
アニメが利益を生み出す媒体のカテゴリーが広がっているのは確かです。

とはいえ、国内人気のバロメーターとしては今も尚、円盤売上が大きなウエイトを占めているのも確か。
そして、円盤売上が不調だった作品は多くのアニメファンから「あまり成功しなかったアニメ」と認識されている点も変わっていません。

にもかかわらず、ネット上で高評価を獲得し、各種アンケートでも上位に入った作品にもかかわらず、円盤が売れない……という捻れ現象は毎年、毎クール散見されます。
例えば、2015年夏に放送された『がっこうぐらし!』は、放送開始直後から大きな話題性を生み、第1話はニコニコ動画で350万再生を記録。
アニメイトタイムズの「2015年印象に残ったアニメアンケート【男性編】」で1位になるなど、内容も十分に評価されていましたが、円盤売上は2500枚程度とあまり振るいませんでした。

ただし、アニメ化自体が失敗だった訳ではありません。
アニメ第1話放送後に原作コミックス全巻が驚異的な勢いで売上を伸ばし、ウイークリーランキングでも大幅ランクアップ
特に1巻は前週比で10倍のセールスを記録するなど、アニメ放送効果はかなり顕著に出ていました。

「原作コミックスが全巻売れまくる」という現象は滅多に起きるものではなく、きらら系でいえば『ごちうさ』『ゆるキャン』クラスの大ヒット作品に限られます
当然、がっこうぐらしもそのレベルの円盤売上になることが期待されましたが、結果的には平均的なきららアニメの売上に留まり、実写映画化はされたもののアニメ2期の制作は行われませんでした。

このがっこうぐらしのケースは、「アニメ化は成功したけど円盤は売れなかった」というジャンプアニメでよく起こる現象です。
『暗殺教室』『約束のネバーランド』などがそうですね。

これらの作品に共通しているのは、「キャラ萌え要素が弱い」という点です。
男性向け、女性向けを問わず、円盤売上が好調な作品の多くは、キャラがアイドルのような人気を得ているケース
「このキャラになら貢ぎたい!」と思わせるようなキャラがいるかどうか、そういう作風か否かが円盤売上には大きく影響してきます。

ジャンプアニメでも、『銀魂』『黒子のバスケ』『To Loveる』といったキャラ人気の高い作品は円盤売上が好調です。
逆に、キャラよりもテーマ性やストーリーが目立つ作品は、原作コミックスが売れてもアニメ円盤はあまり売れないといった状況になりやすいですね。

がっこうぐらしもこの例に漏れず、きらら系では異例ともいえるストーリーや設定が前景に立つ作品です。
本作を想起する際、キャラよりもまず「きらら系なのにホラー」「急に世界が変わった」といった、設定の特異さや仕掛けの方を思い浮かべる人が多いかと思われます。
そういった作品は、円盤売上では期待ほど伸びない印象です。

漫画の場合は比較的安価ということもあり、「自分の趣味嗜好とは違っても面白いと思った」「今後に期待できそう」といった心境でも購入に踏み切れます。
しかしアニメ円盤はかなり高額な上、既に一度視聴している場合が大半なので、自分の趣味とは違う作品を購入することはそうそうありません。
よって、意外性だけでは購買欲に繋がりにくいのです。

第1話のインパクトが強すぎて、2話以降失速したと言われがちながっこうぐらしですが、円盤売上が期待ほどではなかった原因は他にもあると推察されます。

ギャグ・コメディは飽きられやすい?

出典 : Amazon.co.jp

円盤が比較的売れにくいジャンルとして、コメディが挙げられます。
コメディといっても、恋愛要素が強いラブコメや、性的な表現が多いエロコメといったジャンルであれば高セールスを記録する作品はたくさんありますが、ギャグが前面に出た作品はヒットし辛いという印象です。

特に2018年はそれが顕著に現れた年と言えます。

春に放送された『ヒナまつり』、夏放送の『あそびあそばせ』は共にコメディ路線でギャグを主体としたアニメですが、キャラもかなり強く、萌え要素は十分にあります。
内容の評価も高く、「AT-Xアニメランキング 2018」ではヒナまつりが6位、あそびあそばせが9位にそれぞれランクイン。
「5ch民が選んだベストアニメランキング2018」ではあそびあそばせが6位、ヒナまつりが8位に入っており、『SSSS.GRIDMAN』や『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』といったヒット作に並んで堂々上位入りを果たしています。

にもかかわらず、これらのアニメの円盤売上は1000枚前後に留まっており、原作コミックスの販促には一定の効果があったものの、評価ほどの実績は得られませんでした。
キャラ萌え要素があっても、それ以上にギャグが前面に出た作品の場合、視聴者の手が円盤にまで中々伸びないようです。

似たような現象はドラマ・映画と主題歌にも起こっています。
バラエティ色が強いドラマやコメディ映画は主題歌が比較的売れにくく、シリアスな方が売れやすい傾向にあります。
肩の力を抜いて観る作品は気分的に観やすい反面、感情移入はし難く、その作品にのめり込むまでは至らないのかもしれません。

ただし、ギャグ主体のアニメが必ずしも売れない訳ではありません。
2019年に放送された『ダンベル何キロ持てる?』はキャラもかなり立っていますが、基本はギャグ路線の作品で、そんな本作が一定のヒットを記録したのは記憶に新しいところです。

ただ、同時にこの作品の売上推移がギャグ・コメディ路線の難しさを物語ってもいます。

『ダンベル』の第1巻は初週に約3500枚の売上を記録。
同クールの人気作『まちカドまぞく』の初週セールスを上回っていました。
しかし2巻は約2000枚にダウンしており、当初の勢いを持続することができていません。

2015年放送の『監獄学園』も同様です。

原作コミックスは累計発行部数1200万部以上の大ヒット作で、監督は『ガルパン』『SHIROBAKO』のヒットで勢いに乗る水島努さん
当然のように期待値は高く、放送前の前評判は上々。
放送中に実施されたアニメ!アニメ!のアンケート「2015年7月から放送されたアニメ番組で視聴している作品は?」では2位にランクインしており、「2chベストアニメランキング2015」で3位に入るなどネット上では内容も高く評価されました。

そして、第1巻の円盤売上は約6800枚を記録。
2期も視野に入る数字でしたが……2巻以降は3000~4000枚に落ち込み、粘りを見せられませんでした。

その究極系が『おそ松さん』です。
本作はギャグ路線にもかかわらず、六つ子のキャラが女性に猛烈な勢いで支持され爆発的なヒットを記録し、大きなブームを生み出しました。
そのため、しばらく勢いが持続するかと思われましたが……2期放送の頃には勢いが失速し、劇場版公開の際に行った「666666人に届け!キャンペーン」も達成には至りませんでした。(それでも十分ヒットしましたが)

ギャグ主体のアニメに対する評価は熱しやすく冷めやすい傾向にあり、ファンの熱を保つのが難しい印象です。

「笑う」という感情表現は嫌なことを忘れたりストレスを発散させたりと、気分を一変させる作用が生じます。
そのため、作品としては楽しかったし面白かったけど、観終わった後には気持ちが落ち着き、冷静になってしまっている……という心理的な動きがあるのかもしれません。

一方で「可愛くて萌える」「カッコ良くて悶える」という感情は持続性が高く、なかなか冷めないもの。
放送が終わったあとも、その気持ちが残りやすいと思われます。
テレビで動物ものが不変的な人気を博しているのも、男性アイドルのCDが長年売れ続けるのも、そのためでしょう。

こういった理由から、ギャグ・コメディ路線の作品は円盤が売れにくいと考えられます。

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