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【名探偵コナン】『業火の向日葵』は名作?駄作?怪盗キッド大活躍の劇場版第19作目をネタバレ込みで検証!
アクションの迫力
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『名探偵コナン』の劇場版は年々アクションがド派手になっていくことでも有名ですが、『業火の向日葵』も色々とぶっ飛んだアクションをかましています。
冒頭から次郎吉の記者会見に突如現れたキッドが警備員や周囲の人間を翻弄するように上へ下へと飛び回るアクションシーンがあり、かなりワクワクする出だしとなっています。
新一に変装したキッドが生身で飛行機から飛び降り、空中で舞うひまわりを掴んでいつもの白スーツ姿になるシーンはやはりかっこいいですし、他にもお札が舞い飛ぶ中キッドが登場するなど、ファンとしては大満足なアクションが盛り沢山です。
推理パートと犯人の動機の稚拙さ
犯人候補の描写
「小さくなっても頭脳は同じ。迷宮なしの名探偵。真実はいつもひとつ!」
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『業火の向日葵』でやや不満を感じてしまうのが、コナンの推理パートと犯人の動機です。ミステリーこそ『名探偵コナン』の持ち味なのに、そこを雑にされてしまったので評価も下がり気味なのでしょう。
あらすじで紹介したように、『業火の向日葵』には「7人のサムライ」が登場します。そのうちのひとりは小五郎ですが、あとの6人は学芸員や運送業者といった面々で、この中の誰かが黒幕なのだろうと視聴者に思わせるキャラクター達です。
ところが、この6人の描写がとにかく少なく、誰が怪しい怪しくないを視聴者に考えさせるヒントをまるで提示してくれません。
そのため、コナンも犯人がキッドではないとは思っているものの誰だか分かっておらず、終盤でようやく、それも推理に推理を重ねた結果ではなくわりと雑な理由で犯人を特定してしまいます。
だからこそ、犯人が6人の中のひとり・宮台なつみという学芸員だと判明しても全く意外性や衝撃がないのです。
犯人の動機
犯人候補の6人のキャラクターたちの描写がおざなりになったため、必然的に宮台の動機も薄っぺらく感じられます。
飛行機を爆破したり、次郎吉に発火性液体を送りつけたり、レイクロック美術館に火をつけたりと手段を選ばなかった宮台。その目的は二枚目と五枚目のひまわりの破壊です。
二枚目のひまわり、つまり次郎吉が落札したひまわりは、作中でオークション時にはゴッホが描いたものだと認められ、最終的に「芦屋のひまわり」であることが明かされましたが、それまでは贋作ではないかとされていた作品です。
そして五枚目のひまわりは、現在は真作であると証明されていますが、1997年の報道でフランスの画家エミール・シェフネッケルによる模作ではないかという疑惑が起こり、それ以降もたびたび贋作疑惑が持たれた作品。
二枚目は『業火の向日葵』オリジナル設定で、五枚目は史実に沿って、二作品とも贋作だと疑われたことがあることが共通点です。
宮台は、「二枚目と五枚目は贋作だ」と思い込み、その二枚がゴッホの作品と称されることが我慢ならず、破壊しようとしたのです。要するに二作品がゴッホによる真作だとする調査結果が解釈違いだったのでしょう。
ところが、宮台がそれほどまでにゴッホの作品を愛していた描写が全く無いため、動機に重みや狂気が感じられなくなっています。
また、肝心の推理がおざなりで、犯人糾弾のシーンもコナンが無線機越しに宮台の犯行を連ねただけの駆け足っぷりだったため、なぜ二枚目と五枚目だけ贋作だという思い込みにとらわれたのか、という部分が分かりにくくなっています。
二枚目については『業火の向日葵』を見ていれば分かるのですが、五枚目の贋作疑惑を知らなければ「なぜ急に五枚目?」と思ってしまう人がいるのも無理はありません。
史実を調べれば分かることですが、作中でも説明がほしかったところです。
時間の都合上脚本をかなり大幅に削って映像化されたようなので、こういった雑さはそこに起因すると思われます。