【原作ネタバレ】気になる物語の行方

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都庁展望室エレベーターとパンドラ

アナザーを可視化できるようになった新に舞い込んだ次の仕事は「都庁の展望台へ向かうエレベーターに乗ると別世界に繋がる」というネットの真相究明と解決。
新と榊は原因を突き詰めるために実際にエレベーターに乗ってみることにする。
ーーーそうして彼らが導かれる先は「パンドラ」が具現化した女性の元。
彼女の言い分は「うっかりパンドラの箱を開けてしまい、世界に「失恋の悲しみ」をばらまいてしまったため、該当者がエレベーターに乗り込んだ際に一時異世界に閉じ込めて失恋の悲しみを奪い、帰している」という。
新の説得によりパンドラは都庁展望台エレベーターから手を引くこととなるが、新は、パンドラが言った「榊が抱える大きな喪失感」に関心を引かれることとなる。

榊の大きな喪失感とは？彼の隠された10年間

パンドラが告げた「榊の大きな喪失感」。
それは榊が過去にアナザーのせいで姉を失った過去を指している。
両親を早くで亡くした榊と姉：詩織（しおり）は養護施設で育ち、榊は唯一の肉親である詩織のことを心から慕っていた。
しかし、まだ榊が幼いうちに詩織はアナザーによって攫われてしまう。
アナザー関係の事件をただの子供でしかない榊がどうこうできる訳も無く、彼は抗いようのない現実に打ちのめされ、天涯孤独のホストとして金を稼いでいた…。
そんなところに課長である仙田に声をかけられて、今現在の夜間地域交流課に所属したという経緯があるのだ。
榊は未だ未解決のアナザー事件：姉の誘拐の真相を長年追い求めている。
ーーーそうしてようやく見えた解決の糸口が新の「砂の耳」と、新に固執する「ウェウェコヨトル」である。

アザゼルという悪魔

榊の姉：詩織を攫い、また数多くの女子生徒誘拐事件を引き起こしているのが悪魔のアザゼル。
彼は悪魔でありながら人間の娘と恋に落ちた過去があった。
しかし人間と悪魔の恋愛は禁忌であり、すでに亡くなってしまった娘を蘇らせるため、アザゼルは彼女の魂を入れる器を作ろうと攫った少女たちの部位を奪っているのだ。
指を、目を、内臓を…限りなく娘の元の体に合致するように何百年もかけて器を作り上げるアザゼルは新たちに阻止されるまで罪を重ねていく。
ーーー結果、アザゼルは依り代を完成させた。彼は長きに渡る悲願、娘の蘇生に成功するのだ。
しかしながら、蘇った娘は自分の肉体ではない「他者の集合体」を気持ちが悪いと拒絶し、アザゼルさえも否定した。これによりアザゼルは自らの手で娘を壊すのだった。

ウェウェコヨトルが安倍晴明を慕うわけ

最初は敵か味方かわからない立ち位置で登場するウェウェコヨトルだが、新が安倍晴明同様、彼を「琥珀」という名で呼ぶことにより一気に懐くこととなる。
もともと彼は安倍晴明と旧知の仲にあり、名を与えられながら他の使い魔と違い、ウェウェコヨトルは名で縛られることはなかった。
ウェウェコヨトルを「黒い狐」と可愛がっていた安倍晴明は、ウェウェコヨトルが実の兄神：ケツァルコアトルに殺されそうなところを助けた過去がある。
このためウェウェコヨトルは恩義を感じ安倍晴明を慕い、ひいては生き写しのような新を気に入っているのである。
ちなみに「砂の耳」は1000年後に再び現れるだろうケツァルコアトルからウェウェコヨトルを守るために安倍晴明が意図して後世に引き継いだ能力である。

狩野一悟と宮古新と蚕神

先でも述べたように、アナザーを「害虫」と見る悟と、言葉が通じるのなら話し合いで解決しようとする新は根本的に相いれない。
しかし東京オリンピックに向けて旧国立競技場の工事を進めるため、工事の邪魔となるアナザーの卵（その実態は蚕であり、「蚕神」のために糸を作る担い手たちだった）の対策を迫られる２人。
根本の考えの違いをお互いに受け入れられない彼らはそれぞれ全く別々の糸口で解決に急ぐこととなる。
ーーー結果、狩野一は蚕神の逆鱗に触れ多くのアナザー対策職員と共に殺されかけることになる。
そんな中、アナザーに寄り添う形をとってきた新の考えが功を奏し、「蚕神」を説得し「天狗」の力を借りることで問題は収束を見せたのである。

まとめ

さていかがだっただろうか。数多くの妖怪や異形のものを題材にしたアニメや漫画が溢れる中、『真夜中のオカルト公務員』はまた違った人ならざるものとの距離感や、ミステリーやファンタジー性を見せてくれる。歴史が好きな方は安倍晴明の知られざる史実に触れる機会にもなるだろう。ぜひ2019年春からの放送を心待ちにして欲しい。