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5

Mar

【たとえとどかぬ糸だとしても】兄嫁への切ない片思いを描いた百合物語

知られていた片思い

出展 : Amazon.co.jp

本作の百合描写は、肉体的な接触に関してはごく僅か(一方的なキスくらい)。
言及されるエピソードの多くはウタのモノローグが中心で、主に精神面に特化しています。

百合の関係が頻発する世界観ではないものの、周囲からの理解がない、白い目で見られるといった描写はほぼ皆無。
メインがウタの片思いで、その対象となる薫瑠が既婚者のため、女性同士の恋愛を色濃く描くタイプの作品ではありません。

しかし、読み進めるとその前提が覆される瞬間が訪れます。
コミックス3巻の最後に収録されたエピソードにおける、薫瑠の述懐です。

それまでの薫瑠は、ウタをとても大事にしており、ウタの想いなど知る由もなくごく普通の義姉と義妹として接している……と思われていました。
ですが、そのエピソードのラストで彼女はこう心の中で呟きます。

「私は私を好きな女の子と暮らしている」

彼女はウタの気持ちに気付いていたのです。
この述懐の瞬間、『とど糸』は「兄嫁に片思いする義妹の物語」から「兄嫁に片思いする義妹とそれに気付いている義姉の物語」へと姿を変え、より複雑で深みのある百合作品となりました。

まとめ

次世代の百合姫を担う作品の1つとして期待されている本作。
茨の道を歩むウタちゃんが報われて欲しいと思う反面、報われるのもそれはそれで痛々しい未来が待っていそうで辛い……そんな切ない物語です。
「百合の片思い」が好きな人なら確実にハマる作品だと思うので、ぜひチェックしてみてください!

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