月がきれい

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2017年春に放送された、feel.制作によるオリジナルアニメ。
『Angel Beats！』『Persona4 the ANIMATION』の岸誠二監督が指揮を執り、『そらのおとしもの』『orange』の柿原優子さんがシリーズ構成、『君の膵臓をたべたい』の装画で知られるイラストレーター・マンガ家のloundrawさんがキャラクター原案を担当。
キャラクターデザインは『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』『暗殺教室』の森田和明さんが務めています。

feel.は2012年辺りまで過激な描写が多い恋愛アニメを多く扱っていましたが、2013年以降はそういった作品は減少傾向にあり、コメディ色の強いアニメを良く作っています。
そんな中、突然生み出されたこの『月がきれい』は、feel.にとって初めてとなるオリジナルアニメであり、これまでの印象とは大きく異なるストレートな恋愛アニメでした。

本作は、小説家志望の主人公・安曇小太郎（あずみ こたろう）と陸上部の女子・水野茜（みずの あかね）の出会い、告白、すれ違い、そして結末まで描いた物語。
ここまで純粋に1組のカップルの恋愛を描いたアニメはそうないというくらいにド直球な恋愛アニメです。

なお、本作を制作する経緯として『たまこラブストーリー』の影響があったことがインタビューで語られています。
上質な恋愛アニメは、のちの上質な恋愛アニメの呼び水となっているんですね。

Just Because！

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2017年秋に放送された、小林敦監督・PINE JAM制作によるオリジナルアニメ。
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のタイトルでアニメ化されたラノベ『青春ブタ野郎シリーズ』や『さくら荘のペットな彼女』の筆者・鴨志田一さんがシリーズ構成、『月曜日のたわわ』の作者・比村奇石さんがキャラクター原案を担当しています。

ラノベ、マンガでヒット作を生み出したクリエイター陣が複数参加する豪華スタッフによって制作された本作は、高校3年生の3学期という異例の時期に転校し、4年ぶりに神奈川へと戻ってきた主人公・泉瑛太（いずみ えいた）と、彼が中学時代に想いを寄せていた女子・夏目美緒（なつめ みお）を中心とした恋物語。
この2人だけでなく、瑛太の中学時代の親友・相馬陽斗（そうま はると）と森川葉月（もりかわ はづき）の関係、瑛太に興味を抱く小宮恵那（こみや えな）など、他の面々の恋愛事情も描いた青春群青劇でもあります。

本作の特色は、ゆったりとした雰囲気で高校生活最後の3ヶ月間を描いていること。
限られた時間の中でかつての思い人とどう接するか悩む瑛太の焦りや、自分と向き合っていく恵那の心模様を、かなりしっとりと表現しています。
シチュエーションとしては急ぎ足になるところなのに、物語自体は穏やかに進行していくこのギャップが、独特の空気感を醸し出しているのではないでしょうか。

恋は雨上がりのように

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2018年冬に放送された、WIT STUDIO制作によるアニメ。
『映画 ドラえもん』『宇宙兄弟』の渡辺歩監督が指揮を執り、『あまんちゅ！』『フレームアームズ・ガール』の赤尾でこさんがシリーズ構成、『君に届け』の柴田由香さんがキャラクターデザインを担当。
原作は眉月じゅん先生が月刊!スピリッツおよびビッグコミックスピリッツで2018年まで連載していた同名のマンガ作品です。

感情表現が苦手で、周囲からはクールに見えるものの実際には優しい女子高生・橘あきら（たちばな あきら）が片思いの相手に頑張って好意を伝えようとする姿を描いたアニメ。
その片思い相手は、彼女がアルバイトとして働いているはファミレス「cafeレストラン ガーデン元住吉店」の店長・近藤正己（こんどう まさみ）。
なんと45歳のオッサンです。

しかしこの店長、周囲からは冴えないと思われているものの、実際には中々の人物。
かつて陸上部で活躍していたものの大怪我によって競技を続けられなくなり失意の中にいたあきらを立ち直らせるなど、素敵な一面を持った男性なのです。

最終的には原作・アニメ共に2人の恋の行方を明確には描かず、店長の一言をきっかけにあきらが陸上への復帰を目指す……という形で物語は終わりを迎えますが、その評価は原作とアニメで明暗が分かれました。
物語の本筋としては変わらないのですが、3ヶ月という短い期間の付き合いだったアニメ組と比較し、4年近く原作を読んできた読者としては「結末をしっかり書いて欲しかった」「もう少しわかりやすい描写が欲しかった」という思いがあったのかもしれません。

最終回は賛否両論だったものの、そのほろ苦く爽やかな余韻は他の恋愛アニメとは一味違い、独自の雰囲気を醸し出しています。

多田くんは恋をしない

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2018年春に放送された、動画工房制作によるオリジナルアニメ。
山崎みつえ監督、シリーズ構成の中村能子さん、キャラクターデザイナーの谷口淳一郎さん等『月刊少女野崎くん』の制作チームによって作られました。

両親を事故で失い、祖父の珈琲店で手伝いをしながら写真部での活動に精を出す男子高校生・多田光良（ただ みつよし）と、ラルセンブルクというヨーロッパの国の次期女王であるテレサ・ワーグナーの恋を描いた物語。
中盤まではタイトル通り光良の恋愛感情は表面化されていませんが、終盤にはハッキリと描かれています。
そのため一部で「タイトル詐欺では……？」とも言われていますが、これは槇原敬之さんの名曲「もう恋なんてしない」の歌詞のようなものと考えた方がいいでしょう。

さながら『ローマの休日』のような設定で、しかもこのタイトルなので、最終回はビターエンドになる可能性が高いとも言われていましたが、結果的には完全なハッピーエンド。
そういう意味ではリアルタイムで視聴していた方が盛り上がったかもしれませんが、終盤の切ない展開は例え結末を知っていても胸がキュンとなること間違いなしです。

まとめ

ラブコメアニメと恋愛アニメの境界は曖昧ですけど、今回ご紹介した作品は全て「恋愛」をメインに描いているアニメで、ラブコメとは少し違った作風になっていると思います。
それぞれに良さがありますが、恋愛アニメの良さはなんといっても恋愛の良い面も悪い面も両方描写しているところで、キツい展開は必ずあるものの、そこを乗り越えた時の感動はとても大きく、そしていつまでも心に残ります。
ぜひ自分に合った恋愛アニメを探してみてください！