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【この音とまれ!】アニメ化決定! 和楽器に魂を燃やす“ワケあり”な男女の青春群像劇【ネタバレ】 #この音とまれ
ジャンプスクエア連載の人気マンガ『この音とまれ!』のテレビアニメ化が決定したのを記念して、この作品についてまとめてみました!
和楽器の1つ「箏」を題材にした、今最も熱くてエモい青春群像劇の魅力について徹底解剖します!
ワケありな男女が和楽器で全国を目指す青春モノ
出展 : Amazon.co.jp
『この音とまれ!』は、ジャンプスクエアでアミュー先生が連載するマンガ作品です。
琴ではなく「箏(こと)」という和楽器を扱う時瀬高校箏曲部(そうきょくぶ)の活動を描いた物語で、2018年7月にテレビアニメ化が発表されました。
この作品の魅力は、青春群像劇および部活モノとしての完成度の高さにあります。
本作における主人公は、元不良少年で箏職人の祖父に育てられた久遠愛(くどお ちか)と、彼の1学年上で箏曲部部長の倉田武蔵(くらた たけぞう)の2人ですが、エピソードによってはそれ以外のキャラの視点でも描かれています。
各々が箏に関わるそれぞれの事情を抱え、時に自分を偽り、時に相手と自分を傷付けながら、それでも「全国1位」を目指し全員で懸命に取り組む箏曲部部員の姿が丁寧に描写されていて、とても感情移入しやすいのが大きなポイントです。
部活モノとしては少年マンガの王道を征く作品ですが、マンガの全体像はむしろ少女マンガチックなところも、強烈な個性となっています。
経験者ならではの詳細な描写
出展 : Amazon.co.jp
作者のアミュー先生は3歳から箏をやっていて、また身内(母親、姉)も箏曲部で指導を行っており、本作を執筆する際には協力を仰いでいるとのこと(1巻あとがきより)。
なので、箏に関する作中での描写や演奏に関しては詳細な描写が行われています。
説明臭くならないような配慮がなされているので、読んでいて自然と箏がどんな楽器でどんな練習をしているのかが入って来ます。
そして本作を語る上で欠かせないのが、作中に登場するオリジナルの箏曲を実際に制作していること。
しかもアミュー先生の身内が作曲しているという、かなり珍しい試みが行われています。
更にそれらの楽曲を収録したCDがリリースされ、和楽器のインストゥルメンタルCDとしては異例のヒットを記録。
第72回文化庁芸術祭賞のレコード部門優秀賞を受賞しています。
友情、信頼、恋愛……心地よく構築される人間関係
箏に関する描写の丁寧さ、正確さから本作を「専門性の強い音楽マンガ」と捉えることも十分に可能ですが、実は『この音とまれ!』最大の特徴はキャラクターとその人間関係です。
両親から見捨てられた自分を育ててくれた祖父のため、彼が創設した箏曲部に入る決意をした久遠。
先輩たちが果たせなかった全国大会への夢を1人で背負い、箏曲部存続のため取り組んでいた武蔵。
挙動も発言も不良そのものだった久遠の入部を当初は認められなかった武蔵ですが、彼の事情と人となりを知り、2人は箏曲部の仲間として認め合う先輩と後輩になります。
そんな箏曲部に、2人の女子生徒が加わります。
鳳月会の当代家元の娘で、箏に関し天賦の才を持つも母とのすれ違いから破門となった鳳月さとわ(ほうづき さとわ)。
過去に1人の女子によって彼氏も友達も失い、その憂さを晴らすかのように箏曲部の人間関係を恐そうと目論んだ来栖妃呂(くるす ひろ)。
当初は箏曲部に対しあまり良い感情を抱いていなかった2人ですが、真剣に箏と向き合う他の部員に心を溶かされ、鳳月は久遠に、妃呂は武蔵にそれぞれ惹かれていきます。
そして久遠の友達で、彼の為に箏曲部へと入部した足立実康(あだち さねやす)、水原光太(みずはら こうた)、堺通孝(さかい みちたか)の3人も、当初は脇役かと思われるポジションから一転、メインキャラとして箏曲部になくてはならない存在となっていきます。
登場時とその後で人物像や人間関係が大きく変動していくのも、本作の魅力の1つです。