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19

Jul

【かぐや様は告らせたい】四宮かぐやのお可愛い要素まとめ+社会性仮面(ペルソナ)について #かぐや様は告らせたい

ペルソナによる疑似多重人格

かぐやを語る上で欠かせない要素として、「氷かぐや」「アホかぐや」「幼かぐや」といった脳内における別人格の存在があります。
便宜上「別人格」という言葉を用いましたが、厳密には132話(単行本では142話)で解説されているように、別人格ではなく「社会性仮面(ペルソナ)」ですね。
この別人格とペルソナは通常、共通項する部分が多い反面、非常に大きな隔たりがありますが……かぐやの場合は例外的で、同一に近いものになっています。

人気RPGのタイトルとしてもお馴染みのペルソナですが、心理学においてこの言葉は「人間の持つ外的側面」を指しています。
一言で言ってしまえば「キャラの使い分け」です。
本来は尊大で偉そうな人間が教師や上司の前では良い子ぶる、普段はガサツな性格の女子がイケメンの前ではしおらしくする……といったものですね。

これは特別なことではありません
人間なら誰しも成長過程において空気を読む必要性を学び、その場に応じて態度や言葉遣いを変えます。
思春期を迎えた人間であれば、誰もがペルソナを生み出しているものです。

一方、多重人格とは重度の解離性障害である「解離性同一性障害」によって生じる症状です。

解離性障害とは精神障害の一種で、「自分が自分である」という自身の同一性が感覚的に失われている状態を指します。
通常、人間は「自分は自分」という事を呼吸するように自然に認識していますが、その認識が無意識下で失われ、その結果自分の本来所有している「自分がここにいる感覚」「記憶」などを認識できなくなるのです。
よく「自分を見失う」という表現が使われますが、これは「緊張や興奮などの理由で本来こうあるべき自分とは違う行動をとっている」という状態であり、解離性障害とは異なります。

解離性同一性障害の場合は自分そのもの、すなわち「人格」の認識が消失し、しかし人格がなければ生きてはいけないため新しい人格が芽ばえます
この結果、人格が複数存在している「多重人格」という状態になるのです。

解離性障害の原因は、「耐えがたい苦痛に対する防衛反応」という説が最も有力視されています。
虐待などの強い苦痛を受け続けた人が、自分という存在から離脱し他人事のようにしてしまうことで、自分の苦痛ではないようにする……といった感じです。

これらの説明だけでは、ペルソナとは作為的に作っているキャラで、多重人格とは外的要因によって仕方なく生み出されたキャラと判断されてしまいそうですが、実際にはそう単純ではありません。
ペルソナには、無意識下で「周囲に合わせないと」と感じ、いつのまにか定着していたキャラも含まれます。

例えば、当初はキラキラした夢と希望を抱き、暑苦しいくらい正義感に溢れ、自分の理想を喜々として語っていた新入社員が、ブラック企業に入社して社畜と化し、疲弊と摩耗の果てに夢も希望もない暗い人間になってしまったケースはどうでしょう?
普通ならこれをペルソナとは言いませんよね。

しかしこういったケースも、よくよく話を聞いてみたら内情は「周りの社員が冷めた目で自分を見るから、仕方なく自分を抑えている内に理想を語るのが馬鹿馬鹿しく思えてきた」という心の動きだったりするもの。
この場合は処世術の一環と言えなくもなく、すると現在の暗い状態はペルソナと見なすことができます。
自分が意図せずとも仮面を被っているなんてザラにあるのです。

前置きが長くなりましたが、かぐやのペルソナもまた、自分の意思に反して生まれた可能性が濃厚です。

かぐやは脳内における法廷「頭脳(内)戦」においてそれぞれのペルソナが会話をしていましたが、こういったことは多重人格では起こりません
多重人格はそれぞれの人格が別人として存在しているからです。(ただし軽度の場合は自分と別人格が完全に分離せず曖昧な状態のため、お互いの人格を認識できる場合もあります)
別人なので、脳内を共有することは当然できません
かぐやの場合、それぞれのペルソナに関して自分自身が統括しているからこそ脳内法廷が可能なので、作中の説明通り多重人格とは一線を画しています。

しかし同時に「彼女の受けた教育プロセスは極めて厳格であり、そういった環境は自身の心を守る為に強固なペルソナを生み出す事が多い」「彼女の人生に深く根付いた仮面は、時に別人格と思えるほどに強固であった」とも表現されているように、かぐやのペルソナは多重人格にかなり近い状態と思われます。
つまり、「多重人格が生まれる経緯でペルソナを生み出した」という訳です。

幼い頃から多くの習い事と勉強を両立させ、友達と遊んだり娯楽に興じたりできない厳しい環境で育ち、しかも父親の雁庵(がんあん)との関係が冷え切っている状況でかぐやが心を壊さず自分を保つには、「苦痛を受けている自分」から逃れるため、“別の自分”を生み出す必要があったのでしょう。
通常はこれを意識的には行えないので解離性同一性障害になるのですが、かぐやはそのプロセスを理解し、苦痛を和らげるため自らの意思で別人格を生み出したと推察されます。
だからこそ定義上はペルソナですが、実質的には多重人格と非常に近いのです。

131話における氷かぐやの出現が顕著ですが、かぐやは自分のペルソナを完全に制御しきれていない様子が窺えます。
これは、彼女のペルソナが多重人格にかなり近いからこそ起こる現象です。

ペルソナは誰でもある程度制御できますが、多重人格は制御できません。
できないから疾患なのです。
かぐやのケースでは、自分のペルソナをちゃんと制御できていないため未熟な印象を受けますが、実は普通のペルソナよりも遥かに自己防衛力が高い「別人格並のペルソナ」を生み出したからこそ制御できないのです。

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