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【シン・ウルトラマン】旧作品の伏線回収がすごい!全怪獣元ネタ12選 徹底解説!!(内容ネタバレ)
2022年5月13日から公開された『シン・ウルトラマン』。わずか8日で観客動員数100万人を突破した超話題作であり、日本映画史に残るであろう名作です。
シン・ウルトラマンはシン・ゴジラと違い、原作のストーリーを踏襲した展開となっているのが特徴で、あまりの情報量の多さに全ての禍威獣(かいじゅう)を把握しきれない方もいると思われます。
この記事では『ウルトラQ』を全作視聴済みである筆者が禍威獣の元ネタを徹底解説いたします。
ぜひ最後まで読んでください!
①ゴメス(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
ゴメスは『ウルトラQ』に登場したウルトラシリーズ初の怪獣です。体高10mほどと、今思うとそんなに大型ではない怪獣ですが、シン・ウルトラマンのゴメスはかなり巨大化しており、映像から推測するに体高80mはあるように見えます。
自衛隊の総力戦により撃破されたそうですが、ウルトラQに登場したゴメスはリトラという原始怪鳥と戦ったことで共倒れになりました。人間が入り込む余地がなく、怪獣同士の総力戦で絶命したという、怪獣の超常さを物語るエピソードです。
シン・ウルトラマンに登場したゴメスはシン・ゴジラと体型がそっくりで、シン・ゴジラと同じように『巨大不明生物』と呼称されますがこれは元々ゴメスはゴジラのスーツを改造して造られた怪獣だからです。
ゴメスはウルトラQ以降もウルトラマンシリーズに登場し、最近では2020年に『ウルトラマンZ』に登場。しかしそのときも体高18mとさほど大きくはありませんでした。
②マンモスフラワー(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
巨大不明生物第2号『マンモスフラワー』の元ネタは、ウルトラQの4話に登場した、ジュラ紀の吸血植物『マンモスフラワー』です。
正式名称は『ジュラン』といい、地中にあった休眠状態の球根が環境の変化で活動を再開したといわれています。
怪獣に比べると地味に思えるかもしれませんが、生きた人間を根で縛り上げて吸血し、花粉は人々を呼吸困難に陥らせるという恐ろしい植物で、ウルトラQではその様子がCG一切なしで描かれています。
③ペギラ(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
巨大不明生物第3号『ペギラ』もウルトラQで登場した怪獣です。ペギラはウルトラQの5話と14話で登場しました。
南極に生息している怪獣で、5話では南極観測隊を襲撃しますが、南極の苔から採取できる『ペギミンH』という物質が弱点であることが分かり、それを撃ち込まれどこかへ飛び去ります。
14話は5話の一年後の話であり、東京に襲来したペギラが東京を氷の世界に変えてしまいます。
14話のタイトルは『東京氷河期』であり、シン・ウルトラマンでも同様のテロップが出ましたね!
ペギラが東京を氷漬けにしたのは、自身が吐く光線の力でしょう。この光線はマイナス130℃の反重力冷凍光線であり、物体を凍らせるだけでなく一時的に宙に浮かせる効果もあります。
ウルトラQ 14話ではペギミンHを搭載したセスナの特攻を喰らって飛び去りますが、シン・ウルトラマンのペギラは女性生物学者が発見した弱点を突かれて駆除されたとのこと。
この女性生物学者は主要登場人物の船縁 由美(ふなべり ゆみ)かもしれませんね!
④ラルゲユウス(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
敵性大型生物第4号 飛翔禍威獣『ラルゲユウス』の元ネタはウルトラQ 12話『鳥を見た』に登場するラルゲユウスです。
ここから敵性大型生物、禍威獣という呼称が使われるようになりましたね。
ウルトラQでは通常は文鳥のようなサイズと見た目ですが、空腹になると主に夜に巨大化して暴れ回るという災害級の怪獣でした。
動物園で動物たちを食い荒らし、警察署で監禁されますが、巨大化して警察署や街を破壊しどこかへ飛び去ります。暴風を表す特撮が素晴らしく、人智が及ばない怪獣の力を見せつけた名エピソードでした。
シン・ウルトラマンのラルゲユウスも駆除されずに消息不明となり、現代のレーダー技術でも発見できないことから、劇中でステルス能力が示唆されていましたね。
ちなみにシン・ウルトラマンでは城と一緒に映っていましたが、原作でも城と共に映ります(何城かは判別できません)
⑤カイゲル(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
敵性大型生物第5号 溶解禍威獣『カイゲル』のモデルはウルトラQ 24話に登場したゴーガです。
制作前の話ですが、ゴーガは元々はカイゲルという名前でした。
サザエのような殻を持つカタツムリのような怪獣で、目から出す溶解液が武器なのですが、ウルトラQのそれは光線にしか見えません(笑)
貝殻をドリルのように回転させて地中を掘り進むことも可能ですが、最後は自衛隊の火炎放射により倒されました。
シン・ウルトラマンのカイゲルは『禍特対と自衛隊の共同作戦によって駆除された』そうです。ちなみに禍特対の初出動がこのカイゲルでした。
⑥パゴス(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
『パゴス』は敵性大型生物第6号 放射性物質捕食禍威獣です。
元はウルトラQ 18話『虹の卵』に登場する地底怪獣。放射性物質を常食し、輸送中の濃縮ウランを欲して出現しました。
原子力発電所がある新産業都市で暴れ回りますが、最後は体細胞を風化させる『ネオニュートロン液』が内臓されたミサイルを撃たれ、体が割れた岩石のようになって死亡しました。
ルックスにあまりトゲトゲしさがありませんが、口から分子構造破壊光線を吐く強敵。
2019年に放映された『ウルトラマンタイガ』では悪意のない怪獣として登場するも、ウルトラマンと激闘を繰り広げました。
シン・ウルトラマンのパゴスは頭部が骸骨のようになっていて恐ろしさを醸します。
放射性物質を宿すため退治に苦労したらしいですが、映像を見る限り同じ倒し方だったのかもしれません。
ちなみに『ウルトラマンタイガ』のパゴスも体が石化して砕けるように落命しました。
⑦ネロンガ(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
いよいよ本編の禍威獣を紹介していきます。禍威獣第7号『ネロンガ』ですが、ウルトラマン第三話に登場した『ネロンガ』をアレンジした禍威獣です。
ネロンガの放電はシン・ウルトラマンに一切効きませんでしたが、それは原作でも同じです。昭和のウルトラマンは腰に両手を当てた状態で放電を食らいましたが、痛くも痒くもありませんでした。
旧ネロンガは膝蹴りで鼻先の角を折られたあと、シン・ウルトラマンの個体と同じようにスペシウム光線で倒されます。
ネロンガは比較的多くウルトラマンシリーズに登場し、近年の『ウルトラマンZ』では透明化して攻撃を仕掛けるも、武術に精通しているウルトラマンZに気配で居所を探られ、光線を食らって敗北します。
⑧ガボラ(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
禍威獣第8号『ガボラ』。パゴスと同じく放射性物質を捕食し、地中を移動します。
元はウルトラマン9話に登場した怪獣でしたが、シン・ウルトラマンでは頭部を防御するヒレを閉じると、頭部がドリル回転するという、お前それどうなってるのというツッコミ不可避の生体をしています。
実は旧作のパゴス、ネロンガ、ガボラは同じスーツを改良して作られており、シン・ウルトラマンではそれを元ネタに、彼らが『同一の種によって作られた生体兵器』という設定になりました。
CGモデルもパゴス、ネロンガと同様ですが、予算の関係でこうなったという裏話もあります。
旧作でも口から放射性の光線を吐きますが、ウルトラマンにヒレを千切られ、投げ技で絶命しました。
シン・ウルトラマンでは額へのワンパンチでウルトラマンに倒され、『ヒレで弱点の頭部を守っている』という旧作の設定が活かされることとなりました。
⑨ザラブ星人(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
シン・ウルトラマンで、ガボラが退治されたすぐ後に登場したのがザラブ星人です。
実はザラブ星人のシーンは旧作のオマージュがかなり多く含まれています。
- 帽子とコートを着ての初登場
- 闇に光る眼
- 車のシフトレバーに手を載せた瞬間に入るサウンド・エフェクト
- 人間になったウルトラマンと運転席で2人きり
- 手のひらを相手に向けて気絶させる技
- ニセウルトラマンになったときに、手に人を持っていること
- ビルに落下したことで解ける変身
- 夜の空中戦
ちなみに旧ザラブ星人が登場したのは、ウルトラマン18話『遊星から来た兄弟』です。
18話には「地球の諸君とも兄弟同士」というザラブ星人のセリフがあるのですが、『ザラブ』という名前自体が brother(兄弟)のアナグラムになっています。
⑩メフィラス星人(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
ウルトラマンは怪獣が暴れて、それを退治するだけの単純なドラマではありません。知略を巡らせて地球を征服しにくる、倫理観の違う外星人もいます。
そのような異星からの侵略は『ウルトラセブン』で多く見られる特徴ですが、ウルトラマンでもありました。
旧メフィラス星人は地球人に、自らの意志で「地球をあなたにあげます」と言わせようとしました。
この作戦は失敗するのですが、巨大化してウルトラマンと戦ったときも、最終的に「宇宙人同士が戦っても仕方がない」といって地球を去っていきます。シン・ウルトラマンでもこの特徴は引き継がれ、メフィラス星人(演:山本耕司)は地球人に、自ら外星人のテクノロジーを求めるよう誘導します。そのテクノロジーとは地球人をウルトラマンのような巨大兵器にできる『ベータ―システム』でした。外星人の圧倒的な科学力を見せつけて、事を荒立てることなく地球を手にしようとしたのですが、ウルトラマンに阻止されたことで、巨大化してウルトラマンと対決します。しかし光の星からゾーフィが来たこと察すると、分が悪くなったことを悟り、地球から去ります。
ウルトラマンと決着をつけずに去っていくところも同じですね。ちなみにシン・ウルトラマンのメフィラス星人は外星人をおびき寄せるため、地球に眠っていた禍威獣たちを呼び起こした張本人です。旧作に比べてかなりスマートなデザインになりましたが、足の四角い凹凸が模様が同じなので、注目してみましょう。
⑪ゾーフィ(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
※名前が似ているので注意です。
ゾフィーは原作『ウルトラマン』に登場する、宇宙警備隊隊長です。いってみればウルトラマンの上司であり、兄のような存在。
相手に向かって伸ばした右腕から放たれる『M87光線』はウルトラ戦士が単独で放つ技では最強といわれます。
胸に小さな丸い突起があるのが特徴。
これは『スターマーク』といい、ウルトラの星における名誉勲章です。
対してシン・ウルトラマンに登場するのはゾーフィ。
ウルトラマンが銀と赤の巨人なのに対し、ゾーフィは金と黒のラインで、スターマークはありません。
ゾーフィは地球の裁定者として光の星から派遣されました。
『地球人がベータ―システムを利用することで、ウルトラマンのような巨大戦力になれる』ということを危険視し、人類抹殺のために天体制圧用最終兵器 ゼットンを起動します。
悪役といって差し支えないポジションになってしまったわけですが、これには元ネタがあります。
ウルトラマン放映当時の児童誌で、『ゼットンを操る悪い宇宙人ゾーフィ』というゾフィーの誤情報が載ってしまったのです。
他社より早くウルトラ図鑑を刊行したかったために、又聞きの情報で出版した結果です……。
しかし『シン・ウルトラマン』でそれをストーリーに組み込むことを、誰が予想したでしょうか?
ゾーフィは劇中でゼットンを起動するだけでなく、最後はウルトラマンと神永(主人公)の体を分離したりと、本来のゾフィーの役割も果たします。
⑫ゼットン(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
『最強のウルトラ怪獣』の名をほしいままにする強豪、ゼットン。
初代ウルトラマン最終回の登場怪獣にして、ウルトラマンを倒したという驚異的な実力の持ち主です。
以降のウルトラシリーズでも度々強敵として登場する人気怪獣ですが、シン・ウルトラマンでもラスボスとして登場。
正式名称は『天体制圧用最終兵器 ゼットン』であり、光の国が惑星系を吹き飛ばす際に使用する生体兵器です。
手のひらサイズのコマのように格納されていますが、ゾーフィにより大気圏外に降臨すると、その全長は数キロメートルにも及ぶほど。
各種迎撃用の大砲やバリヤーも備えていますが、ゼットンの真に恐ろしいところは、一兆℃の火球を放つことです。
ゼットンの主砲ともいえるこの技は、地球が一瞬で蒸発し、それどころか太陽系が消えてなくなる威力です。
実はこの『一兆℃の火球』というのは、昭和のウルトラマン放送当時からゼットンの技として設定されていたものでした。
今回シン・ウルトラマンでは、それを真面目に考察し、ストーリーに組み込んだのです。
シン・ウルトラマンでは、ゼットンの前にウルトラマンは敗北しました。
しかし地球人類が知恵を振り絞ったことにより、『変身後もう一度ベータ―カプセル(ウルトラマンの変身アイテム)を起動することによって、ゼットンを別次元へ飛ばす』という作戦が考案されます。
作戦は成功しますが、ウルトラマンもゼットンと共に別次元に転送されてしまうのでした……。
まとめ(シン・ウルトラマン怪獣ネタバレ)
ウルトラマンは助かりました。ゾーフィが別次元から救い出してくれたのです。
ゼットンを倒した地球人の知恵と生への渇望にゾーフィも心を打たれ、人類の抹殺は取りやめることをウルトラマンに話します。
「光の星へ帰ろう」と話すゾーフィですが、ウルトラマンは「私が帰ると、神永(一体化している人間)が死んでしまう。私の命を神永にあげてくれ」と言います。
ゾーフィはウルトラマンの願いを聞き入れます。そして神永が目を覚ますと、禍特対のメンバーが目の前で待っていました。
シン・ウルトラマンの主人公は”リピア”という名のウルトラマンです。
リピアは淡々とした外星人といった印象でしたが、物語の中で人間が好きになっていき、禍特対のメンバーたち、仲間がかけがえのないものだと気づきます。
そんな仲間と地球を守るために、命懸けでゼットンと戦う姿は、子供のころ僕たちが憧れたヒーローそのものではないでしょうか?
現在絶賛上映中ですので、気になる方は鑑賞してみることをおすすめいたします。
2時間弱があっという間ですよ!