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【鬼滅の刃】我妻善逸はなぜ人気?ヘタレだけど強くて面白い奇跡のキャラ【解説・考察】
我妻善逸という奇跡のキャラ
我妻善逸はヘタレた性格のサブキャラクターでありながら、週刊少年ジャンプ誌上で行われた『鬼滅の刃』の人気投票で一位を取ったこともある奇跡的なキャラクター。
性格に難があって女の子が大好きで臆病な所があり、顔芸と言動が騒がしい少年です。
しかし善逸には欠点を帳消しにする明るい面白さと、戦闘時に気絶して強くなるというギャップのある魅力があります。
『鬼滅の刃』は週刊少年ジャンプに連載されていた吾峠呼世晴先生原作のアニメ作品として2019年にTVアニメ一期が放映され、2020年には劇場版『無限列車編』が公開されました。
この記事では2021年12月5日より『遊郭編』がフジテレビ系列で放送される前に、善逸というキャラクターについて解説しながら、人気となっている部分について考察していきます。
漫画版最終巻までのネタバレがありますのでご注意ください。
善逸を構成するポイントとなる要素
善逸というキャラクターが人気な理由は、次のような要素があるのではないかと仮説を立ててみました。
・善逸のキャラクター自体に独特な面白さがある。
・奇矯(ききょう)な性格や言動があっても意外と強いのでギャップがある。
・不器用さに悩んだ過去があっても、それを乗り越えていく。
それぞれのテーマについて一つずつ考察を進めていきましょう。
キャラクターが既に面白い
プロフィール
我妻善逸(あがつま ・ぜんいつ)
声優:下野紘
年齢:16歳
誕生日:9月3日
羽織:鱗文様(うろこもんよう)
特技:耳が良いので音を聞き分けることが出来て、人が何を考えているのかわかる。
呼吸:雷の呼吸「壱ノ型・霹靂一閃」
育手:桑島慈悟郎(くわじま・じごろう)で、愛称は「じいちゃん」
鎹(かすがい):雀(チュン太郎)
善逸の持つ意外性の面白さ
『鬼滅の刃』はシリアスな展開が多く、別作品のキャラクターのような明るさを持つ、善逸という登場人物がいることでストーリーにメリハリが生まれています。
以前から週刊少年ジャンプ公式の人気投票では、集計時期によっては主人公よりもサブキャラが人気となることがありました。実例となる作品とキャラクターは、次のように挙げられますのでご紹介しましょう。
【実例】
・HUNTER×HUNTER:キルア・クラピカ
・テニスの王子様:不二周助
・僕のヒーローアカデミア:爆豪勝己
・ボボボーボ・ボーボボ:首領パッチ
・めだかボックス:球磨川禊
他・・・。
サブキャラが人気となる理由を考えてみると、主人公よりもイケメンだったり、強かったり、面白かったりと要因は様々です。そして、善逸には性格と強さのギャップがあり、意外性があるのが面白いところです。
残念系ヒーローな性格
善逸は自分の能力や過去にコンプレックスを持っていることから、マイナス方向に思考が振り切っているのに、何故か元気で女の子にちやほやされたい壊れた性格の持ち主です。
アニメ一期では響凱(きょうがい)の屋敷や那田蜘蛛山では、怯えながらも雷の呼吸で鬼を討伐する場面が描かれました。
善逸は基本的にすぐ泣き出すなどヘタレた言動が多く、顔芸やテンパりまくった行動から残念さが悪目立ちしています。
しかし、炭治郎が響凱を倒した後に襧豆子が入った箱を伊之助から身を挺して守るなど、優しい一面もある残念系ヒーローとしてのカッコよさを見せる善逸。
自分を弱いと思い込んでいるのに、気絶したら本領を発揮するという2面性から、ギャグキャラと意外な強さが上手くかみ合っているのが善逸の魅力となるのでしょう。
統一感のあるキャラ造形
善逸のキャラクターデザインは大正時代なのに、オレンジの羽織に金髪という特異な風貌をしています。元々は黒髪でしたが雷に撃たれたことで金髪になったという逸話があり、普通なら死んでしまう内容は善逸のギャグキャラとしての本領が発揮されているエピソードでした。
イメージカラーがオレンジ一色で統一感がある事と、羽織のデザインが鱗文様なのもよく練られたデザインです。
モチーフ:鱗と雷
羽織の鱗文様は古来より様々な国で使われていることと、魔よけのお守りとして着物の柄になっていることなどから採用されたデザインだと考えられ、鱗をモチーフにしていることと善逸の「雷の呼吸」には関連がありそうです。
鱗文様から連想されるのは蛇のウロコで、太陽の光などを反射することから、日本では千年以上前の文献では蛇は虹や鏡と関連付けられています。
このことから、農業と天気が密接な関係を持っているとして、現代では蛇神と雷神を結びつけて研究されるなど縁が深いものです。
また、海外でもギリシャ神話では医聖と呼ばれたアスクレピオスにちなんで、蛇と雷(ゼウス神)が関連付けられたエピソードがある事など、世界のあちこちに蛇と雷にまつわる神話や説話があるのは面白いですね。
声優・下野紘がハマり役
漫画版以上にアニメ版『鬼滅の刃』善逸のキャラクターの魅力を跳ね上げたのは、声優の下野紘さんの演技の功績が大きいと考えられます。
善逸のコメディ要素を違和感なく表現できるのは、ファンから「汚い高音(誉め言葉)」と定評のある独特の声を持つ下野さんだからハマった役なのでしょう。
下野さんの主演作には『バカとテストと召喚獣』の吉井明久役があります。この作品ではギャグ系ラブコメの主人公の特徴あるキャラクター、勉強はバカだけど人として大事な優しさを持っている難しいキャラを好演していました。
『鬼滅の刃』では善逸の性格の残念さと優しさや、いざというときの強さを見事に表現しています。