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Jul
王族も虜にする『スレイヤーズ』ってどんなアニメ? 簡単にまとめてみた
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令和の時代にまでトレンド入りを果たしたレジェンド作品『スレイヤーズ』を大特集!
そのトレンド入りの経緯や本作の内容および魅力、セールス実績、そして原作・アニメ・漫画のどれから入門するのが最適かをまとめました!
『スレイヤーズ』を巡って王族とケンカ!? その真相は……
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2021年6月下旬、突然トレンドの上位に『スレイヤーズ』というキーワードが浮上して来たのは記憶に新しいところ。
新刊の発売やアニメ新作の発表かと思いきや、その理由はなんと「スレイヤーズが原因で王族と摑み合いの喧嘩」という中々のパワーワードでした。
事の発端は、中東諸国で日本のポップカルチャーを広める活動を行っている鷹鳥屋明(たかとりや あきら)氏が、カタールテレビのスタッフの仲介でカタール王族の方と食事をすることになった時のこと。
中東で日本のアニメーションは人気が高いらしく、この王族の方も過去20年くらいのアニメを網羅するほどのアニメ好きだったそうです。
1985年生まれの鷹鳥氏と、それより少しだけ上の世代の王族の方は意気投合し、当初は和気藹々とアニメ談義に花を咲かせていたようですが……「スレイヤーズの2期と3期ではどちらが良い作品か」という議論になると両者ヒートアップ。
最終的に取っ組み合いのケンカになるほど白熱したと鷹鳥氏は語っています。
(ちなみに鷹鳥氏は2期『スレイヤーズNEXT』におけるゼルガディス、王族の方は3期『スレイヤーズTRY』のヴァルガーヴが推しだったようです)
もちろん、王族と一言で言っても王家の血を引く人はたくさんいて、この方がたまたま重度のアニメ好きだったという特殊な事例ではあります。
それでも大の大人、それも数多の享楽を知っているであろう外国の王族すら虜にしている作品なのは純然たる事実。
スレイヤーズとは一体、どのような作品なのでしょうか?
異世界ファンタジーの礎を築いた金字塔
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スレイヤーズは、第1回ファンタジア長編小説大賞で準入選に選ばれ、1989年に富士見ファンタジア文庫より刊行を開始したライトノベルおよびメディアミックス作品群です。
著者は神坂一先生、イラストレーターはあらいずみるい先生。
2000年発売の15巻で本編は一旦完結したものの、外伝作品はその後も続き、2018年からは本編も再開しています。
大まかなストーリーは「剣と魔法のファンタジー世界を舞台に、圧倒的な強さを誇る美少女天才魔道士リナ=インバースが仲間と共に世界中を旅し、世界を滅ぼそうと目論む魔族や様々なトラブルに立ち向かう」というお話。
当時既に人気を博していた『ドラゴンクエスト』に代表されるRPGのような世界観で繰り広げられるバトル、冒険、友情、謀略などを軽めの文体でテンポ良く描いた物語です。
これだけを見ると「なんだ、ごくありふれたラノベじゃないか」と思うかもしれません。
実際、こういった作品は現在、なろう系をはじめごまんとあります。
当然です。
この手の作品をありふれさせたのは、他ならぬスレイヤーズなのですから。
1989年当時、「ライトノベル」というジャンル名は普及しておらず、ライトな文体のファンタジー作品はそのまま「ファンタジー小説」と呼ばれていました。
1年前に刊行を開始した水野良先生の『ロードス島戦記』がヒットしていたものの、まだまだ小説の一ジャンルとして定着するには程遠い時期。
軽妙な文体でコメディを書く小説自体が極めて少なく、そういった作品はイロモノ扱いされていました。
そういう時代にあって、スレイヤーズは当時のティーン層に絶大な支持を集めます。
その原動力となったのは当然、内容の面白さやキャラの魅力に尽きますが、もう1つ極めて大きな要素があります。
小説に漫画やゲーム、そしてアニメの要素を加えるという、今では普通に行われていることを最初に導入したのが本作なのです。
当時、小説の表紙や挿絵は例え10代向けの作品であっても、油絵や水彩画のようなイラストが多数を占めていました。
その中にあって、スレイヤーズはいわゆるアニメ塗りのイラストを使用。
これが好評を博したことで普及し、ラノベの常識となったのです。
ドラゴンボールをはじめとした漫画やアニメ、マリオやドラクエなどといったゲームに夢中だった子供たちにとって、小説という媒体は決して身近なものではありませんでしたが、「イラストはアニメ、文体は漫画、世界観はゲーム」のスレイヤーズは彼らの嗜好に刺さり、大ヒットへと繋がっていきました。
これらのことからわかるように、スレイヤーズは現代のラノベおよび異世界ファンタジーの礎を築いた作品と言えるでしょう。
魅力的なキャラたち
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革新的、先進的なアイディアで大きな注目を浴びたスレイヤーズですが、それだけでは長期的なヒット作にはなり得ません。
現在も多くのファンを抱えている本作ですが、その最大の要因はやはりキャラ。
キャラが魅力的な作品であれば、彼らの行く末を最後まで見守りたいと、ファンも長い間追いかけ続けるものです。
小柄で貧乳ながら、一撃で盗賊団を壊滅させるほどの強力な魔法を操り、様々な局面で主人公らしい活躍を見せる一方で、金にがめつく欲望に忠実で悪人に容赦のないリナ。
実直でお人好し、天然系ながら頑固でヒーロー気質に溢れたイケメン剣士ガウリイ=ガブリエフ。
当初は敵として現れ後に仲間となった、クールなツッコミ役の魔法剣士ゼルガディス=グレイワーズ。
王家の人間で、思い込みが激しく正義のためと暴走し続ける巨乳巫女アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
本作は、主にこの4人のパーティが主人公側のメインキャラとなります。
それぞれが様々な属性や個性を持った魅力的なキャラですが、それ以上にファンを惹き付けるのがこの4人のバランス。
四者四様の性格でありながら、奇跡的なバランスで成り立っている彼らの掛け合いは実に楽しく、道中もバトルも息がピッタリです。
また、リナとガウリイ、ゼルガディスとアメリアのカップリングも人気が高く、いわゆるカプ厨にとっても見応えのある作品と言えます。
そして、このメイン4人さえも凌ぐ人気を獲得しているのが、石田彰(いしだ あきら)さん演じる獣神官ゼロス。
魔王の腹心の側近という、立場的には中間管理職程度に過ぎないのですが、敵勢力のリナたちと仲良くしたり、かと思えば残虐な一面を見せたりと、ミステリアスなイケメンキャラとして大活躍し、多くの女性ファンを生みました。
シリーズ累計発行部数2000万部! アニメも大ヒット
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スレイヤーズの人気を最もわかりやすく伝えられるのは、やはり売上の数字でしょう。
本作のシリーズ累計発行部数は、2008年の段階で2000万部を記録。
これは2021年7月時点で、ラノベ歴代4位に該当します。
ライトノベル歴代シリーズ累計発行部数
*1位 3100万部 とある魔術の禁書目録
*2位 2600万部 ソードアート・オンライン
*3位 2500万部 転生したらスライムだった件
*4位 2000万部 スレイヤーズ
*4位 2000万部 魔法科高校の劣等生
*4位 2000万部 涼宮ハルヒシリーズ
*7位 1400万部 魔術士オーフェン
*8位 1300万部 薬屋のひとりごと
*9位 1200万部 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
10位 1100万部 フルメタル・パニック!
また、1995年よりアニメ化も行われ、5期まで制作されています。
1~3期は90年代の作品なので、正確な売上は記録として発表されていませんが、2008~2009年放送の4~5期が3000枚以上売れていたことを考えると、全盛時はその数倍、或いは10倍以上売れていた可能性があります。
リナを演じている林原めぐみ(はやしばら めぐみ)さんが歌った2期の主題歌「Give a reason」が大ヒットを記録するなど、関連商品も大ヒットしており、この年代を代表するアニメの1つに数えられています。
アニメ版は原作とは少し設定やストーリーが異なり、キャラにアレンジが加えられていたり、アニメオリジナルの展開やキャラが登場したりしていますが、渡部高志監督の指揮の下、エンタメに徹した質の高いアニメに仕上がっており、ファンの間でも評判は上々です。