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鬼滅の刃・名言集〜鬼舞辻無惨編〜傍若無人な独裁者の裏に見える人間臭さとは
「私の顔色は悪く見えるか?私の顔は青白いか?病弱に見えるか?長く生きられないように見えるか?死にそうに見えるか?」、「違う違う違う違う。私は限りなく完璧に近い生物だ」
引用:animeanime.jp
単行本2巻 第14話 【鬼舞辻の癇癪・幻惑の血の香り】
この名言は、鬼舞辻無惨の初登場シーンでの1コマです。少々長めの名言ではあるものの、鬼舞辻無惨の凶暴性がよく表現されています。
鬼舞辻無惨とは鬼の始祖であり、全ての鬼は鬼舞辻無惨の血を分け与える事で、増え続けています。まさに鬼殺隊の標的であり、鬼舞辻無惨の殲滅自体が鬼殺隊の最終目標でもあります。実は無惨は数百年前に初期の鬼殺隊最強の剣士、継国縁壱に負け、命かながら敗走しています。継国縁壱は鬼殺隊の剣士が使用する身体能力を向上させる呼吸法の始祖であり、日の呼吸を使用します。現在鬼殺隊員達が使用する全ての呼吸法はこの日の呼吸から派生したものでした。鬼殺隊の剣士の戦力向上にも一役買い、鬼舞辻無惨との直接対決では自身が人よりも強く創られたのは無惨を倒す為だと己の宿命を瞬時に理解します。絶命寸前の無惨は追い詰められた後、体を分散させて縁壱が生きる時代からの逃亡を図ります。鬼は基本的に人さえ喰っていれば寿命という概念が無く、負傷したとしてもすぐに完治してしまう事に対して人間には当然寿命があり、負傷した傷の治癒にも時間を要する事から、無惨は縁壱が死ぬまで身を潜める事を画策するのです。このことから無惨は生きる事への執着心が非常に強く、自身を追っている鬼殺隊を鬱陶しく感じており、自身の直属の配下である十二鬼月には鬼殺隊の要である産屋敷一族と一番の戦闘力である柱の討伐を指示しています。
この名言は、主人公である竈門炭治郎が東京の浅草にて人間として潜入している鬼舞辻無惨と初めて邂逅した後に発せられます。炭治郎はもともと鼻が利き、相手の匂いから感情を読み取れるほどの特殊能力を持っています。多くの人間を鬼に変貌させる鬼舞辻無惨は炭治郎の家族を殺める際に自身の匂いを残していました。鼻の利く炭治郎は町中で、自分の家族を殺した鬼の匂いを感じ取り追跡をします。そこで炭治郎は無惨が人間として生活をし、所帯を持っている事に激しい怒りと動揺を感じます。鬼殺隊員に気づかれた事に焦り無惨は自ら騒動を起こしその場を切り抜けますが、その際炭治郎の耳飾りに目を留めます。花札模様の耳飾りはかつて自分を死に追いやった継国縁壱が着けていたものと同じだったのです。直感的に炭治郎に対して憎悪と怒りを感じた無惨はその後、炭治郎に対して数々の追っ手を放つようになります。物語のメインストーリーに触れるシーンであり、全編を通して、鬼殺隊と鬼舞辻無惨率いる鬼との関係性や炭治郎と無惨の因縁の始まりとも言えるシーンとなります。
街中での騒動の後、足早に裏道を歩く際に、酒に酔った輩に絡まれるシーンからこの名言は生まれます。常人離れした力で輩を一蹴した後、残された人間に対して、自身が人間世界に溶け込んでおり、且つ鬼の始祖として完璧な存在であるという事を話します。無惨の人間性は、高圧的で道理にかなっていない印象が強く残りますが、自身の命を数百年狙っている鬼殺隊の存在や、自身を追い詰めた継国縁壱という存在に神経質になっており、猜疑心の強い人物像が描かれています。
引用:animeanime.jp
「黙れ、何も違わない。私は何も間違えない。全ての決定権は私にあり、私の言う事は絶対である。お前に拒否する権利はない。私が正しいと言った事が正しいのだ。お前は私に指図した。死に値する。」
単行本6巻 第52話 【冷酷無情】に登場するまたしても長めの名言になります。
このシーンでは、物語の最終局面で炭治郎や鬼殺隊の柱と無惨が率いる上弦の鬼達との決戦が繰り広げられる無限城が初めて作中に出てくるシーンでもあります。無限城は上弦の肆である鳴女という鬼の操る血鬼術であり、無限城の中は鳴女の創造する鬼の根城となっています。構造や重力、上下左右などの平衡感覚は鳴女の奏でる琵琶の音色に合わせて変化させる事が出来ます。無惨は自身の視野に入る範囲内であれば鬼の思考や記憶を共有する能力を持っています。その為、鳴女の血気術は無惨を鬼殺隊から匿う役割も担っている事が分かります。作中でも鳴女の直接的な戦闘シーンはほとんどなく、この特殊な血鬼術によって上弦の地位を確立している事が分かります。
この名言は、鬼の頭目である鬼舞辻無惨が5名の下弦の鬼に対しての高圧的なやり取りの一部となります。無限城には、なぜか下弦の鬼のみ集められ、下弦の鬼の昨今の戦果について無惨は下弦の鬼たちに対して激しく問いただします。鬼舞辻無惨の直属の配下である上弦の鬼と下弦の鬼の違いは、鬼狩りの柱の討伐数や鬼舞辻無惨への貢献度などによってランク分けされていると考えてもらえればわかりやすいでしょう。一番強い十二鬼月は上弦の壱で数字が小さい方がより位が高くなります。逆に一番弱い十二鬼月は下弦の陸になり、欠員が出た場合は補充される仕組みとなっています。見た目にも違いがあり、下弦の鬼は片目に数字が刻まれている事に対して、上弦の鬼は両目に数字と位が刻まれています。実力差に関しては上弦の鬼たちは百年以上入れ替わりが無く、下弦の鬼との実力差は非常に大きいのが現実です。もともと鬼の強さは、人間だった頃の強さと無惨から与えられた血の量に比例する事が大きい為、余程の戦果を挙げるか、主人に気に入られる事で十二鬼月内での地位を確立する必要があります。
満足したやり取りもできず、戦果も挙げられない下弦の鬼を殲滅し解散するつもりで、部下と接している鬼舞辻無惨は現代の社会におけると正論ばかりで攻めてくるパワハラ上司に近いものがあるかもしれません。無惨は下弦の鬼を4名殺し、全滅をさせようとしますが、最後に残った下弦の壱・魘夢の異常性を気に入り、自らの血を分け与え更なる力に目覚めさせます。気分で部下の扱いを変えてしまう無惨の気まぐれさと正論責めのやり取りの圧力は鬼舞辻無惨の非道さや人間性が描かれています。
引用:pinimg.com
「黙れ」
単行本16巻 第137話 【不滅】
最後に登場する名言は非常に短いものですが、使われているシーンがこの物語の最終局面に突入するキッカケとなる重要なシーンで用いられている事から選出致しました。
余命が幾ばくも無い、鬼殺隊党首・産屋敷輝哉の元に鬼舞辻無惨が襲来。数百年以上続くお互いの因縁の相手との直接対面のシーンとなります。すでに床に伏した状態で、妻の産屋敷あまねに支えられながらお館様は無惨に語り掛けます。もともとお館さの声は相手を穏やかな気持ちにさせる声色の持ち主で、宿敵である鬼舞辻無惨にも効果を表します。お館様と無惨のやり取りでは、それぞれの想いについて言葉を交わします。その中で、お館様は鬼舞辻無惨の鬼という存在の核心をつくような発言をします。人の想いが繋がる事で永久不滅の真理を説くお館様に対して、自身こそが不滅の象徴であると主張する鬼舞辻無惨。鬼の始祖であることから、無惨が死ねば全ての鬼が死滅する事を言い当てた際に、無惨が反射的に言い放つセリフがこの「黙れ」になります。普段は冷酷非道で動揺する事が少ない鬼舞辻無惨もお館様のこの核心をついたセリフに思わず感情をあらわにして反論します。
話し終えいざ鬼舞辻無惨が、お館様を手に掛けようとした時に屋敷ごと爆破して無惨の再生を遅らせるべく身を挺して時間稼ぎをします。
無惨の猜疑心が強く神経質な一面と、鬼殺隊党首であるお館様の組織としての長としての器の違いが垣間見えるシーンとなっております。