ケンカするほど仲が良い

【9/8更新】
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球詠の作者、マウンテンプクイチ先生は過去に数作の百合作品を手がけている漫画家で、いずれも高い評価を得ています。
いわば生粋の百合漫画家です。
そのため、球詠でも百合を匂わせる関係性、描写が幾つかありますが……本作は野球漫画ということもあり、表現自体は控えめです。

菫と稜の関係も、百合と断言できるほどの濃い描写はありませんが、典型的な「ケンカするほど仲が良い」の関係と言えます。

堅実さを信条とする菫と、派手好きな稜ではプレイスタイルが真逆のため、稜の雑なプレーを菫が注意して稜がそれに反発する……といった形でよく言い合いになっています。
ミーティングの際にマネージャーの川口芳乃（かわぐち よしの）が言ったことを理解しておらず、稜が無謀な発言をした際、菫が胸ぐらを掴んで正すというシーンもありました。

もっとも、言い合いにしても注意にしても、殺伐とした雰囲気になることはなく、ケンカが尾を引くこともありません。
稜がダイビングの際に怪我したのを本人より先に気付いた菫が手当をしてあげたり、並んで喋りながらストレッチをしたり、試合後にプレーについて話し込んだりと、なんだかんだで仲良しという印象です。
紹介文に「腐れ縁」という言葉が使われているように、お互いのことをよく理解し合っている関係性と言えます。

2人のモデルは？

【1/5更新】
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菫のモデルは、東北楽天ゴールデンイーグルス所属の藤田一也選手だと思われます。

藤田選手は2004年のドラフトで横浜ベイスターズに指名され、プロ入りを果たします。
しかし横浜ではなかなかレギュラーになれず、二塁、三塁、遊撃と複数のポジションを守れるユーティリティとしての役割が主でした。
2009年には規定打席まであと少しというところまで出場したものの、翌年は新外国人の加入で再び控えに回され、2012年のシーズン途中にトレードで楽天へと移籍することになります。

そこでも暫くは守備固めとしての起用でしたが、レギュラー選手の離脱もあってスタメン起用が増え、以降はセカンドのレギュラーに定着。
移籍2年目には副キャプテンに任命され、ベストナインおよびゴールデングラブ賞を受賞するなど、楽天初のシーズン優勝、そして日本一に大きく貢献しました。

藤田選手の最大の特徴は安定した守備。
全盛時は守備範囲の広さと確実性を備えた完璧な守備職人で、同業者からも非常に高い評価を得ていました。
ベテランになってからは範囲こそ狭まったものの、技術は健在で、その堅実な守備はチームに安心感を与えています。

打撃面でも安定感が売りで、突出した数字こそ残していないものの、常に打率.270前後を期待できる選手。
状況に応じバントや進塁打でランナーを進める役割も見事にこなしていました。

菫は右投げ右打ちで、藤田選手は右投げ左打ちなので、完全に一致する訳ではありませんが、丁寧なプレーを好む菫と堅実なプレーでチームを牽引する藤田選手には確かな共通点があります。

一方、稜のモデルは元福岡ソフトバンクホークスで元メジャーリーガーの川崎宗則選手で間違いないでしょう。
「イチローが好き過ぎるあまりメジャーまで追いかけた人」という印象が強い川崎選手ですが、元々はプロ野球の歴史上でもトップクラスのプリティフェイスと走攻守三拍子揃った実力を兼ね備えた超人気選手。
NPB通算.292のハイアベレージヒッターで盗塁や三塁打も多く、日本代表にも複数回選ばれるなど、国内トップクラスの遊撃手として絶大な人気を誇っていました。

そして同時に、ムードメーカーとしての一面も有名ですね。
メジャーにおいて極端なくらい陽気に振る舞っていたのは多くの人が知るところですが、日本時代も投手への声がけやベンチでの声出しを積極的に行っていて、その姿勢とメンタリティはホークスの松田宣浩選手に継承されています。

派手なプレーを好む稜は、華のある川崎選手の要素を取り入れたキャラと言えるでしょう。

モデルとなった2人の選手が同じチームで二遊間を組んだ経験はありませんが、もしこの両者が現実で組んでいたら、菫と稜のような名コンビになっていたかもしれませんね。

まとめ

この2人の関係性は『ゆるゆり』の櫻子と向日葵に近いですね。
ガサツな子としっかり者のコンビは、百合作品では鉄板の1つ。
見ていて思わずほっこりします。

作中ではそこまで目立った活躍のシーンがない2人ですが、二遊間はチームの守備を支えるとても重要なポジション。
彼女たちの成長なくして、新越谷高校の快進撃はないと言っても過言ではないでしょう。
今後、2人を掘り下げた長編エピソードが描かれることを期待しましょう！