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Mar

きららアニメを徹底考察! アニメが売れるきらら作品の条件とは?

きららアニメに求められている要素とは?

出典 : Amazon.co.jp

きららアニメの最も大きな特徴は、シリアス展開を求められていない点です。
上記のヒットアニメのほとんどは、ジャンルとしてはコメディに属します。
コメディ色が薄い作品はヒットには至っていません。

例えば、最もシリアス寄りのきららアニメである『がっこうぐらし』は、原作コミックスが発行部数250万部を記録しており、ごちうさやきんモザを圧倒しています。
しかしアニメ円盤売上は約2400枚で、逆にごちうさやきんモザが大きくリードしています。
また、NEW GAMEは2期に入ってシリアス路線に突入したことで、売上をやや大きめに落としました。

一方で、求められている要素は「強い個性・フレーズ」「濃過ぎない関係性」です。
前者はネット上でネタになる要素、後者は百合に傾き過ぎないバランスと言い換えてもいいでしょう。

多くの日常アニメはストーリーに考察要素がないので、ファン同士で盛り上がる話題といえば「ネタになる要素」です。
これは、ネガティブなものも含みます。
けいおんのムギ、ごちうさの千夜(ちや)、ゆるキャンの千明(ちあき)などがよく不人気キャラとして扱われネタにされていますが、そういったイジられキャラがいる作品は話題が尽きず、ファン同士で盛り上がりやすいと言えます。

強いフレーズの例は、けいおんの「うんたん」、きんモザの「鬼畜こけし」、NEW GAMEの「ぞい」などが該当します。
作品のアイコン的な役割を果たすこれらの言葉は、ファンに作品への愛着を持たせることにも繋がります。

また、ネタ要素は必ずしも作中のものである必要はありません。
まちカドまぞくは作中にない「シャミ子が悪いんだよ」「もんも」などといったセリフがネット上で盛んに用いられ、ファン同士で盛り上がっています。
ごちうさのチノによる「うるさいですね」、ひだまりのゆのっちの「お前ん中ではな」もそうですね。

こういった要素が生まれた作品はネット上で盛り上がりやすく、アニメを観ている時以外もその作品で楽しめます。
日常アニメの場合、この点がとても重要で、視聴者の日常の質を向上させるアニメほど売上は伸びます。
けいおんは作品そのものだけでなく音楽面でもそれを成功させたので、より大きなヒットになったと思われます。

濃過ぎない関係性も重要です。
関係性があまりに濃いと「百合描写が過剰になる」「そこにばかりスポットが当たりクドくなってしまう」「ファンの想像の余地を消してしまう」などの理由によって、ファン層を狭めてしまう恐れがあります。
百合好きには受けても、それ以外の層から敬遠されてしまうと、必然的に売上は伸び悩むことになるでしょう。

日常アニメは会話劇でもあるので、キャラ同士の関係性はとても重要です。
他の部分で変化に乏しい分野なので、各キャラの距離が縮まっていく過程を注視する人は必然的に増えます。

キャラの距離感で人気を博した作品といえばゆるキャンですね。
パーソナルスペースを大事にするソロキャン、友情と相互理解を深めるグルキャンを交互に描くことで、とてもバランスの取れた距離感になっていて、そんな関係性の各キャラによる薄くもクドくもない丁度良い会話劇が楽しめます。

ひだまりもこの点が優れた作品ですね。
ゆのっちと宮子(みやこ)、ヒロと沙英(さえ)は親友と呼べる間柄ですが、奔放な宮子、不器用な沙英の性格がベタベタした関係性にならなような抑止力を生んでいます。
これによって、丁度良い塩梅の日常譚になっています。

きんモザのシノとアリス、綾(あや)と陽子(ようこ)、アリスとカレンも同様です。
ごちうさのココアとチノ、リゼとシャロなどもそうですね。
ココアと千夜はベタベタ系の組み合わせですが、二人は別のお店で働く間柄のため、物理的な距離によって自然と抑制されています。

日常アニメに求められるキャラとは?

出典 : Amazon.co.jp

日常アニメはキャラに対する萌えや好感が重要視される分野です。
そして、他のジャンルとは違ったキャラ像が求められているように感じられます。

まず「女性目線で好かれるキャラ」は基本的に求められていません。
きらら系雑誌の購読者層の男女比は9:1くらいで男性が圧倒的に多いので、アニメの視聴者層も必然的に男性に偏ります。
男性のアニメファンに好かれるキャラが求められるのは当然と言えるでしょう。

アニメだけでなくドラマなどの実写作品に関してもそうですが、基本的に人は同性の登場人物には有能さや芯の強さを、異性の登場人物には弱さやギャップを求める傾向が強いように思えます。
クールそうに見えるキャラが実は意外と愛嬌があったり、明るく強そうに見えるのに実は弱い部分を持っていたり……といったベタな魅力は大抵、同性ではなく異性のキャラに求めるもの。
少年漫画の女性キャラ、少女漫画の男性キャラにこういった性質が多いのもその為です。

よって、ほとんどが女性キャラでかつ男性ファンのきららアニメの場合も、ギャップやポンコツ要素のあるキャラが人気者になりやすいようです。
逆に万能系、おっとり系、クール特化のキャラはあまりウケが良くない印象ですね。
ビジュアルだとメガネキャラは苦戦してしまう傾向が強いです。

期待と裏切りのバランス

出典 : Amazon.co.jp

きらら作品は女性キャラがほとんどなので、恋愛感情やそれに近い関係性を描く場合はどうしても女性同士が多くなります。
現在きらら系の雑誌に連載されている多くの漫画において、程度の差はあれ「友情以上恋愛感情未満」の感情を同性に抱いている女性キャラが1人はいます。
きらら作品の売りの一つですね。

ただ、きららアニメに濃い百合を求めている人はそれほど多くはありません。
百合特化のきらら作品といえば『桜Trick』が金字塔を打ち立てましたが、この作品をもってしても円盤売上は2000枚強
比較的百合要素が濃い『スロウスタート』『はるかなレシーブ』1000~2000枚の範疇です。

では一切百合要素を排除したきらら作品が今後売れるかというと、それも難しいかもしれません。
既にきらら系には定型となっている要素が幾つかあり、百合要素はその中核を担っているからです。
つまり、読者が求めるものを通り越して「あって当然のもの」になっているのです。

『グラップラー刃牙』の有名なキャッチコピーで、名作の条件として様々な媒体で用いられている「予想を裏切り、期待を裏切らない」という言葉があります。
きららアニメに関しては、これは名作の条件にはなり得ません。
定型となっている要素を期待して作品に触れているという前提があるので、予想を裏切ることは期待を裏切ることに繋がってしまうのです。

重要なのは、期待と裏切りのバランスです。

既に成熟期・安定期に入っているきららアニメは、定型だけだとありきたりでマンネリと見なされ、定型から少し外れた要素を備えた作品がヒットしています。
まちカドまぞくの作者、伊藤いづも先生も連載当初は雑誌のカラーを遵守し、シャミ子に「ぽえー」などのきららっぽいセリフを言わせていたそうですが、6話(アニメ3話)にシャミ子がシャミ子らしさを確立させたのを契機に面白さが倍増しています。
実際、アニメでも3話以降明らかにアニメファンの反応も良くなり、感想の数も大幅に増えていました。

アニメが売れるきらら作品の条件も、また然り。
きんモザ・ごちうさのヒットで「きららアニメ」のイメージが確立され、その後たくさんの作品がアニメ化され過渡期が迫りつつある現在は、期待と裏切りのバランスに優れた作品が求められています。

まとめ

定型となっている要素が多いこともあって、きららアニメは極端な個性を持った作品は少なく、ヒット作とそれ以外の境界も曖昧です。
でも注意深く見ると、そこには確かな違いと差があります。
前述したことに加え、会話の内容がちょっとエキセントリックでエッジが効いていたり、アニメ監督の作品理解度が深くて気の利いたオリジナルのシーンやセリフをちょいちょい挟んで補強したり……と、細かい部分で質の高い作品がアニメでも成功している印象です。

とはいえ、アニメで成功しなかったきらら作品がダメかというと、決してそうではありません。
ゆゆ式やキルミーのように、良さがジワジワ浸透するタイプの作品も確かにあって、運やタイミングに恵まれなかっただけという作品もあります。

そういう意味では、売れるきららアニメとは「運とタイミングに恵まれた作品」……というのも1つの真実なのかもしれません。

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