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26

Jan

二律背反する心!間桐桜の魅力に迫る!【Fate/stay night [Heaven's Feel]】

間桐によって行われた「ネグレクト」

さてここで、誰よりも平凡な少女であることを望んだはずの桜が、なぜ最悪の人類悪となってしまったのか。
彼女の生い立ちについて説明していきたいと思います。

まず、彼女は生まれた時から「間桐」ではありませんでした。この事が彼女の人生を大きく分けたことは言うまでもありません。

「遠坂」の次女として生まれた桜は、生まれた時からその素養には恵まれていました。
幼くして強くて気高い姉と、厳格でありながら優秀な父と優しい母に望まれて性を受けた彼女は、平凡な日常を送っていましたが、魔術の素養に恵まれていたことにより人生が変わります。
「遠坂」家の跡取りには、同じく魔力の素養としては抜群で、尚且つ『遠坂』の魔術との相性の良かったがいたので、いくら優秀であっても桜は後継者としては不要でした。また、桜は「遠坂」の魔術との相性も悪かったため、凛がいては、なおのこと『遠坂』の後継者になれる可能性はありませんでした。
そんな時に「間桐」後継者問題に直面していました。父である時臣は桜の将来と魔術の繁栄のために、「間桐」に桜を養子に出すことを決めます。それが桜にどんなことを引き起こすかも知らず、彼女に「間桐桜」として第二の人生を与え、間も無くして命を落としました。せめて彼が生きていれば、どこかで気づくことが出来たのかもしれませんが・・・。

そうして、「間桐」に養子として迎えられた桜を待っていたのは、想像を絶する環境でした。

身体的な虐待、精神的な虐待、性的な虐待…自分を助けるために来てくれた叔父はゴミのように死に、可哀想な「間桐」の兄である慎二もまた自分を傷つける。
桜が苦しめば苦しむほど良い器になると喜ばれる環境の中で、桜は全てを諦めました。

鳥を透明な入れ物の中に入れると、空を飛ぶために、何度も何度も飛び立とうとしますが、透明な壁に阻まれてじきに飛ぶことを諦め、透明な入れ物がなくなっても飛ぶ意思を失いそこに止まるという現象があります。
初めから全てを諦める人間はどこにもいません。繰り返し、繰り返される理不尽の中で、飛ぶことを諦めてしまったのが桜なのです。

桜には既に個人の意思がありません。尊重されることのなかった意思は育たないまま成長しました。

優秀で、父から選ばれた姉が近くいたこともまた、父から選ばれなかった彼女を追い詰めることに拍車をかけました。比較する相手がいたことにより、桜は常に選ばれなかった子供としてそこにあり続けたのです。

そうしたフラストレーションの中から生まれたのが「黒桜」と呼ばれるもう一人の桜でした。

出典 : ©TYPE-MOON -ufotable- FSNPC ©TYPE-MOON : 劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song

こうして、複雑な人格形成を成さざるを得なかったのが、間桐桜と言う少女の正体です。

彼女はずっと救いを待っていました。最初は姉の。今は士郎の。
そして士郎もまた救われたい複雑な過去を持っています。
士郎は前回の聖杯戦争の中で唯一、偶然にも救われた命です。
自分だけが助けられたことに罪悪感を持っている彼は、誰かを救うことで自分の心を守っています。
救いを待ち続ける桜と、救うことでしか満たされることのない士郎の出会いは必然であり、それが二人がお互いが必要としあう何よりの理由です。

「ついに時代が桜に追いついた」

出典 : ©TYPE-MOON -ufotable- FSNPC ©TYPE-MOON : 劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」Ⅲ.spring song

生来の優しさと、誰からも大切にされたことがないことで、内包された怒りと。
どちらも桜の一面であり、全てひっくるめて愛しいと思う人もいれば、どうしても理解できない人もいるのが桜です。

筆者としましては、シナリオ原作者である奈須きのこさんが「ついに時代が桜に追いついた」と表現されたことがありますが、本当にその通りのキャラクターだと思うのでもっと多くの人から理解され、そしてハッピーエンドに向かって欲しいキャラクターでもあります。

間桐桜はお世辞にも人気キャラクターとは呼べない立ち位置に長年いました。
ずっと映像化されないままで来ていた[Heaven’s Feel]が今映像化された背景には、時代がようやく「ネグレクト」ーーー桜のような人、女性の存在を認め、社会問題として取り上げられたことによって、これまで社会的弱者として淘汰されてきた女性にも幸せになる権利があることを、時代が認め始めた。だからでこその、今、長年陽の目を見ることのなかった[Heaven’s Feel]の映像化なのだと考えられます。桜が受け入れられるような時代が訪れたのです。「ついに時代が桜に追いついた」ということです。

来たる2020年3月28年。Fateヒロインとして、令和初の完結に向けてーーー。

桜咲く季節の到来を、1ファンとして待ち遠しく思います。

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