ヒロインは猫耳ロリ少女

出典 : Amazon.co.jp

本作の魅力は、主人公とヒロインの人間性および関係性です。

主人公である師匠は生前、ゲームとアニメとマンガが趣味のオタリーマンでした。
そのため、RPG的な世界観の異世界には早々に馴染み、物語はサクサク進んでいきます。
この辺りは異世界転生モノのお約束ですね。

しかし師匠には他の異世界作品とは違う大きな特徴があります。
剣なので性欲がありませんし、当然性的興奮もありません。
ただ生前の感覚は残っているらしく、フランが一緒にお風呂に入って自分を洗ってくれるというシチュエーションにはテンションが上がりまくります。

とはいえやはり剣なので、フランに対して異性として見ることはなく、彼女を娘のように可愛がるようになり、親バカ剣と化します。
その親バカっぷりも本作の見所の1つですが、何より彼が「フランのためにこの世界に来た」と自覚するシーンは感動的で、そんな2人の関係性も大きな魅力です。

そして本作最大の魅力は、フランの可愛さに尽きます。
黒猫族の少女である彼女はネコ耳もふもふな獣人で、見た目とってもキュート。
自分を救ってくれた師匠に絶大な信頼を寄せ、彼の方針や助言に従い次々とクエストを消化していき、水を得た魚のようにメキメキと強くなっていきます。

とても優しく朴訥とした性格なので、過剰にイキったり暴言を吐いたりすることもなく、強敵相手に苦戦しながらも勝利を収め、ギルドでの評価もみるみる上昇。
ギルドの受付嬢ネルやハーフエルフのランクA冒険者アマンダなど、様々な人々との交流を通し、人間的にも少しずつ成長していきます。
師匠よりも主人公らしい人生を歩んでおり、もう1人の主人公と言える存在です。

ちなみに、本作はドラマCDも制作されていて（原作5巻の限定版に付属）、師匠の声を日野聡（ひの さとし）さん、フランを水瀬いのり（みなせ いのり）さんがそれぞれ演じています。

主人公が人外の作品

出典 : Amazon.co.jp

主人公が人間ではない、いわゆる「人外」の作品は意外とたくさんあります。

多いのが、のちのち主人公が異種族だと判明するケース。
例えば『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の主人公・ダイは竜の騎士と人間の王女の間に生まれた混血児で、ストーリーが進むにつれ出自が判明していきます。
『幽遊白書』の浦飯幽助は人間の両親から生まれているものの、魔族の子孫だったため、戦死したあと魔族大隔世によって魔族として蘇生しています。

最初から主人公が人外だと判明している作品も、『犬夜叉』『怪物王女』『魔人脳噛ネウロ』など多数あります。
一方で人の姿をしていない主人公は稀ですが、『銀牙 -流れ星 銀-』や『みどりのマキバオー』など動物の世界を描いた作品は数多く該当します。

途中で人外になるパターンもあります。
『〈物語〉シリーズ』の阿良々木暦（吸血鬼もどき）、『東京喰種』金木研（半喰種）、『3×3EYES』の藤井八雲（不死人）など、人の姿のまま人外になることが多いですね。

ラノベでは、タイトルそのまま転生してスライムになったリムルが主人公の『転生したらスライムだった件』や、骸骨の魔法使いアインズを主人公とした『オーバーロード』が有名です。
人外転生（転移）はなろう系の異世界モノでは結構多く、1大ジャンルを築いています。

しかし、主人公が無機物となると途端に数が少なくなります。
書籍化もされている作品では、なろう発のラノベ『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』がありますが、他にはほとんどないと思われます。
無機物を擬人化した作品は数多くありますが、無機物のまま主人公というのはやはり相当レアです。

では、師匠のように剣が人格と知性を持つキャラクターはどれくらい存在しているのでしょうか。

師匠のような剣は「インテリジェンスソード」という総称で呼ばれています。
作中では「インテリジェンス・ウェポン」として扱われていますね。

インテリジェンスソードは、イギリスの小説『エターナル・チャンピオン（永遠の戦士）』シリーズの『エルリック・サーガ』という作品に登場するストームブリンガーが世界的に有名です。
日本では『テイルズオブデスティニー』のソーディアン、『ランスシリーズ』の魔剣カオスなどゲーム作品でよく見られますね。
ラノベでは『ゼロの使い魔』のデルフリンガーが有名です。

まとめ

人外の主人公は珍しくありませんが、主人公が無機物というのは極めて稀です。
そのワンアイディアだけに留まらず、ヒロインが魅力的に描かれ、ストーリーもテンポ良く進んでいくので、楽しく読めるお話です。
剣が主人公だけあって、容赦なく敵を切り捨てていくところも魅力となっています。

コミカライズの評判がかなり良く、人気急上昇中です！
転スラのような作品が好きな人にオススメ！