【わたモテ】加藤さんを徹底解説!加藤ママは何故もこっちに興味を持ったのか? #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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※9/27更新!!

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の登場キャラクターの中でも随一の美女と目される女子生徒・加藤明日香。
そんな加藤さんの特徴と魅力、そしてなぜ彼女がもこっちに興味を持ったのかを検証し、まとめてみました!

加藤明日香(かとう あすか)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)のクラスメイトとして2年時より登場。
明るい色の髪を長く伸ばした猫目っぽい女子でスタイルも良く、身長も同じ学年の女子生徒の中では高い部類に入ります。

気さくで人当たりが良く、グループや性別などの分け隔てなく誰にでも話しかけ、周囲にさり気なく気を使えるタイプ。
また他人の悪口を言うことは決してなく、他人が言う悪口にも乗らず、華やかな見た目に対し中身は清廉そのもの

本人曰く、趣味は「ネイルとプチプラのアクセを集めること」。
自分以外の女子にネイルしたり、メイクしたりするのが楽しいようで、もこっちにもたまに行っています。

交友関係は広く、岡田茜(おかだ あかね)とは2年時から名前で呼び合うほど親しくしており、その他にも3年時に違うクラスになった夏帆(かほ)、同じく別クラスの佐々木風夏(ささき ふうか)、成田美保(なりた みほ)とも仲良くしています。
青山学園大学出身の兄がいる模様。

外見も性格も完璧な聖母

加藤さんは最初、姿は描かれず声のみで登場しました。
もこっちの貴重なサービスカット(?)の表紙が印象的な7巻収録の喪58「モテないし無駄に過ごす」で、夏休みを満喫していたもこっちの元に野球部応援の連絡網を回したのが彼女。
当時はまだキャラが固まっていなかったと思われ、ややフランクな喋り口調でした。

その後、8巻収録の喪71「モテないし出発する」で外見初披露。
修学旅行の出発日、新幹線内でもこっち、岡田茜(おかだ あかね)に挟まれた真ん中の席に座り、茜と談笑していました。
この時点では、もこっちとは電話での会話以外ほぼ接点がなかったのに対し、茜とは既にある程度話をする関係性だったと思われ、茜との会話を優先しもこっちに話しかけることはありませんでした。

もこっちと本格的に絡んだのは、11巻収録の喪106「モテないし最後の冬」内のエピソードからです。

席替えで加藤さんの後ろの席になったもこっちは、やたら良い匂いがする加藤さんを「派手な女」と心中で呼び、背後からガン見します。
その様子に気付いた加藤さんはもこっちに話しかけ、その流れでもこっちの目元をメイクすることに。
以降、大雪のため図書室で自主学習となった際にはオススメの本をもこっちに尋ね、その後もこっちにネイルをするなど、今まで接点がなかったとは思えないほどフレンドリーにもこっちと接するようになります。

それ以降も、加藤さんの人当たりの良さが垣間見えるシーンは随所に登場。
終業式の際に涙ぐむもこっち(感動してではなく花粉症のため)にハンカチを差し出す、クラスの打ち上げでは隣の席になったもこっちを何かと気遣う、遠足の帰りの電車で眠りこけたもこっちに膝枕をしてあげる、もこっちの性癖を聞いても引かない……など、もこっちに対し神対応とも言える気配りを見せ、もこっちから「お母さん」「No.1(キャバクラ嬢)」「マリアさま」と評されていました。

作中で明言こそされていませんが、その容姿は明らかに作中でもトップクラスの美少女。
その上中身まで美しく母性まで兼ね揃えているという、まさに非の打ち所がない完璧な女性なのです。

唯一の欠点は美的感覚?

外見も中身も完璧な加藤さんですが、喪135「モテないし仮面をかぶる」で初めて彼女のと言えるかもしれない分野が明らかになりました。
それは美的感覚です。

この喪135で加藤さんは、もこっちと“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)の会話から、もこっちがオシャレに興味を持っていると知り、もこっちを翌日の朝早くに教室へ呼び出します。
もこっちにメイクをするためです。
加藤さんがもこっちにメイクするのは喪106に続いて二度目ですね。

その時は目だけのメイクに留めていましたが、それでもネモがメイクされたもこっちを見て笑いを堪えるような仕上がり
そしてこの喪135では、クラスメイトのキバ子が腹を抱えて笑うほどのドギツいメイクを披露し、ファンの間では「加藤さんは美的感覚がおかしいのでは?」という疑念が浮上しました。

もっとも、このもこっちへのメイクはネモともこっちが見ていたファッション雑誌をそのまま再現したもので、彼女の感覚だけで行ったメイクではありません。
以前もこっちに行ったネイルも自然なデザインだったようですし、大学見学の際に披露した私服も奇抜さとは縁遠い物だったので、美的感覚に難がある可能性はほぼゼロと言えそうです。

なお、喪140「モテないしモオープンキャンパスに参加する」で、もこっちが「自分はちん○んの画像を見たり女子相手にセクハラしたり下ネタを言ったりするド変態」と告白した際のあまりの動じなさから、「実は加藤さんも結構ヤバい人なのでは……?」といった疑惑が新浮上している模様。

【わたモテ】ゆうちゃんは本当に役割を終えたのか? 徹底検証 #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の初期から登場し、長らくもこっち唯一の友達として彼女を支え続けて来た“ゆうちゃん”こと成瀬優について総まとめ!
もこっちに友達がたくさんできた今、彼女は役割を終えてしまったのか? 徹底検証します!

成瀬優(なるせ ゆう)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)の中学時代からの友達として喪3より登場。
容姿端麗、スタイル抜群と外見に関しては非の打ち所がないものの、頭脳の方はあまり芳しくなく、もこっちと同じ高校を受験するも落ちてしまい、別々の学校に通うことになりました。

性格はとても優しくて人当たりが良く、初対面の相手にも気遣いができるとても良い子。
一方、自分から声かけるのは苦手で、中学時代にはもこっちに話しかけられるまで友達を作れていませんでした。
またかなりの天然で、全く悪気のない発言で相手を不安がらせたりムッとさせたりすることもあります。

中学時代は長い黒髪を三つ編みにし、メガネをかけた地味な格好をしていたため、周囲から可愛いと認識される機会がほとんどありませんでしたが、進学してからはもこっちが知らない間に高校デビューを果たし、メガネをコンタクトに変え髪も明るい色に染めてスカートも短くするようになり、彼氏もできた模様。
しかしその後、友達との約束を優先するゆうちゃんに彼氏が不満を抱き、別れてしまったようです。

もこっちに対しては絶対的な信頼を寄せており、一般的にはあり得ないような発言やセンスに対しても「もこっちがそう言うのならそうかもしれない」と納得するほど。
もこっち同様中学時代に仲良くなった小宮山琴美(こみやま ことみ)に対しては上記の天然発言が頻繁に炸裂しているものの、良好な関係が続いています。

アニメ版の担当声優は花澤香菜(はなざわ かな)。

もこっちの「今」はゆうちゃんのおかげ

わたモテが路線を変更する前、ゆうちゃんはわたモテにおける数少ないメインキャラクターの1人であり、もこっちにとって唯一の友達
中学時代はもこっちにとって身近な存在だったにも拘わらず高校デビューによって全く違う道を歩むことになったゆうちゃんは、もこっちの現在のダメっぷりやぼっち感をより強調する存在であり、それでも彼女はもこっちにとって心の拠り所になっていたため、作品にとっても、そしてもこっちにとってもかけがえのない存在でした。

しかし連載が進み、修学旅行や遠足を経てもこっちは田村ゆり(たむら ゆり)、田中真子(たなか まこ)、吉田茉咲(よしだ まさき)、“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)、加藤明日香(かとう あすか)などのクラスメイトたちと親しくなり、脱ぼっちに成功
もこっちに新たな友達ができて以降、ゆうちゃんの出番は減少傾向にあり、特別編以外では滅多に登場しなくなります。
こういった状況もあって、一部では「ゆうちゃんは役割を終えた」という声もあがっているようです。

確かに、ゆうちゃんというキャラの最大の特徴は「もこっちの唯一の友達」ですし、そうではなくなった現在において、わたモテにおけるゆうちゃんの役割は以前のままとはいきません。
ですが、それはあくまで読者目線の話であって、作品内におけるゆうちゃんは依然としてもこっちにとって大切な人物のまま
それは「友達は増えたけどゆうちゃんとの友情は変わらない」といった綺麗事ではなく、もっと切実な意味での重要性です。

もこっちのように“ぼっち状態”が長く続くと、通常は他人に対し壁を作るようになります。
自分に自信がなくなり、恥をかくこと、笑われてしまうことを過度に恐れるためです。
そのため、他人から優しくされても「この人は自分を哀れんでいるに違いない」「本当は心の中で嘲笑しているに決まってる」自虐的な思考に陥り、殻の中に閉じこもってしまいます。

こうなってしまうと、負のスパイラルに囚われてしまい、より他者と関わる機会が失われます。
そしてぼっち状態はそのまま継続され続け、やがて引きこもりになってしまうのです。

でも、もこっちはどれだけぼっち状態が続いても、拗らせてリア充の不幸を願おうとも、自分の殻に閉じこもることはありませんでした。
他人に優しくされれば素直に嬉しがり、時に舞い上がっていました。
もこっちは捻くれているようで、実はとても純粋な一面を持っています。

このもこっちの独特とも言える人格は、ゆうちゃんが作ったものと言っても過言ではありません。

もこっちは中学2年生の時、自分から声をかけてゆうちゃんと友達になりました。
その後、ゆうちゃんは中学を卒業するまでもこっちの良き友・良きクラスメイトであり続けました。
卒業後違う学校になり、片や高校デビューに失敗しぼっちに、片や高校デビューに成功しリア充になった後でも、態度を一切変えることなく友達のままで居続けました。

もこっちにとって、そんなゆうちゃんとの日々は全てが「成功体験」
その体験がもこっちに交友関係を絶望視させず、「例え面倒があっても友達がいるのは良いこと」という認識に繋がっていると思われます。
だからこそ、新たな友達と上手くやっていけているのです。

【わたモテ】きーちゃん(里崎希心)は本当にサイコなのか?考察してみた #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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修学旅行編より前の『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』を支えたキャラクターの1人、きーちゃんの本名がついに判明!
それを記念して、もこっちから人生や人格を変えられてしまったきーちゃんの転換期を振り返ります!

里崎希心(さとざき きこ)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)の従姉妹として喪14より登場。
もこっちの3歳年下で、もこっちからは「きーちゃん」と呼ばれ、自身はもこっちを「お姉ちゃん」と呼んでいます。
年齢よりもやや幼い容姿で、素直な性格のため見栄っ張りのもこっちの言動を鵜呑みにしてしまい、中学1年生まで彼女を純粋に慕っていました

しかしその後、もこっちの嘘が露見したことで冷たい態度をとるようになります……が、もこっちのあまりに痛々しい姿を目の当たりにし、呆れを通り越して彼女に倒錯した庇護欲を抱くようになります。
以降は「どうすればお姉ちゃんが幸せになれるか」を第一に考えるようになり、その結果「お姉ちゃんが正しい人生を歩めるよう躾けてあげなければならない」という強い使命感が芽生えた模様。

きーちゃんはもこっちを蔑まない

きーちゃんが初登場を果たした喪14の続きである喪15「モテないし再会する」は、わたモテ史上3本の指に入るトラウマ回としてファンの間では語り草になっています。

このエピソードは、夏休みで遊びに来ていたきーちゃんと一緒に図書館に行くことになったもこっちが、以前雨の日に傘を恵んでもらった男子・小坂(こさか)君とたまたま再会するというお話。
昔からきーちゃんに尊敬されたくて「私には彼氏がいる」など見栄を張るための虚言を繰り返していたため、あの男子がいつも話していた例の彼氏なのかときーちゃんに問われてしまい、つい肯定してしまいます。

しかし後日、その小坂君が本当の彼女らしき女子と一緒にいるところをきーちゃんと一緒に目撃。
大好きなお姉ちゃんが二股をかけられているのでは……と心配したきーちゃんは思い詰めた様子で小坂君に詰め寄ります。

きーちゃんへの嘘バレも小坂君に迷惑がかかるのも避けたいもこっちは、一旦きーちゃんをその場から離し、小坂君に事情を話し土下座で赦しを乞います。
その場面をこっそり覗いていたきーちゃんは、これまでの子犬のように従順だった眼差しから一転、もこっち曰く「ゴミを見るような目」を向けるようになりました。

これが喪15、俗に言う「土下座回」のあらすじです。

このエピソードを期に、きーちゃんのもこっちへの心証と態度は一変し、終始白い目で見るようになります。
そのため、この時点で「きーちゃんはもこっちを軽蔑した」と思われがちです。
実際それに近いニュアンスを含んでいたのは確かでしょう。

しかし、きーちゃんはもこっちを蔑んではいません。

嘘をつかれていたこと、自分が憧れていた「お姉ちゃん」が虚像だった事実に落胆し、それまでもこっちに寄せていた信頼が一部損なわれたのは間違いありません。
ですが、土下座回の続きに当たる喪16「モテないし挽回する」のきーちゃんを見る限り、もこっちを侮蔑している様子は微塵もないのです。

このエピソードでは、もこっちが姉としての面目を取り戻すため、行きつけの駄菓子屋にきーちゃんを連れて行きます。
そこではまだ小さい男の子たちがカードゲームに興じており、勝敗ランキングをつけていました。

もこっちは「クイーン」の名で1位にランクインしており、このことをきーちゃんに誇示し、見直してもらおうとしていたのです。

しかも負けそうになると、子供相手にこっそりイカサマまでする始末。
一部始終を目撃し、もこっちという人間の本質を理解したきーちゃんは、もこっちに白い目を向けていたことを猛省し、「もっと優しくしてあげよう」と自戒します。

わたモテはギャグマンガであり、この一連のエピソードも「慕われていた従妹に突き放され、挙げ句には年下から捨てられた子犬を見るような目を向けられるもこっち(笑)」というのが主旨と思われます。
ただ、このエピソード内にはそれだけでなく、きーちゃんのもこっちへの本心が描写されています。

例えば、もこっちが小さい子に混じってカードゲームをしていたと知った時、きーちゃんは咄嗟に「きっとやさしいから遊んであげたんだ…」と考えます。

これはメタ視点で見るならば、その後の展開(もこっちの醜態)をより強調するための前フリであって、きーちゃんの人間性の描写というよりはギャグを優先した上でのセリフと見ることもできます。
しかし素直に受け取れば、「嘘をつかれていたにも拘わらず、もこっちには依然として良い印象を持っているまま」と見ることができます。
本気でもこっちを軽蔑していたのであれば、上記のきーちゃんのモノローグの「やさしいから」という部分は「(私に対してそうだったように)チヤホヤされたくて」となるはずです。

何より、きーちゃんは自身の土下座回直後に見せていたもこっちへの振る舞いについて「冷たい態度をとっていた」と表現しています。
もし軽蔑していたなら、「見損なっていた」や「失望していた」といった表現になるはずです。
「冷たい態度をとっていた」という言葉は、もこっちの嘘への不満や呆れに対する反応ではあっても、もこっちの人間性そのものを否定するものではなく、依然としてもこっちを嫌いになっていない証なのです。

中学生は高校生に対し憧れを抱きやすいお年頃。
しかしその反面、感受性が豊かなこともあり、一旦裏切られたとわかると失望も大きく、心の傷も深くなります。
憧れのお姉ちゃんに嘘をつかれていたきーちゃんの失望は計り知れません。

なのに「冷たい態度」程度で留めていたきーちゃんのもこっちへの慈愛は、読者が思っている以上に深かったのだと思われます。
そしてその慈愛の深さが、のちに「サイコきーちゃん」と呼ばれる変貌へと繋がっていくのです。

【わたモテ】アニメ1期を総まとめ! ぼっち時代のもこっちを振り返ってみた #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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2013年夏に放送されたテレビアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』をあらためて紹介!
原作の再ブレイクであらためて注目を集めているわたモテのアニメを、放送開始から5年以上経った今だからこその視点で振り返ります。

蠱惑さ軽減!? 幼いキャラクターデザインに賛否

出展 : (c) 谷川ニコ/スクウェアエニックス・「ワタモテ」製作委員会 : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

近年わたモテのファンになって、過去にアニメ化されたことがあると知った人がその画像や映像を見た際、まず驚くのがキャラクターデザインでしょう。
アニメのわたモテは、原作と比較するとかなり幼いキャラデザになっています。
特に主人公のもこっちは、とても高校生には見えない……それどころか小学生にしか見えないくらいのロリもこっちです。

元々、原作も連載当初は近年よりも全体的に輪郭が丸みを帯びていて、幼い絵柄ではありました。
それでもアニメのデザインはかなりロリ化されていて、放送当時は「原作よりも可愛くなってる!」「原作のキモさがない」と様々な意見が飛び交っていたようです。

もこっちの原作(モノクロ)とアニメの大きな違いは3つあります。
1つは前述のキャラデザそのものですが、あと2つは「目」「クマ」です。

原作もこっちの目は表紙などのカラーだと色(主に緑)が入りますが、作中だと塗り潰しやトーンは用いず白くて線が粗めの◎で描かれています。
一方、アニメのもこっちの目は表紙などのカラーもこっち準拠で、小綺麗に見えます。

クマに関しても同様で、原作のカラーもこっちは紫で表現されていて、アニメでもそれを踏襲しています。
ただ、原作のクマは巻が進む度に紫が抑えめになっているため、アニメの濃い紫は近年の原作と比べるとかなり誇張しているように見えます。
作中では色ではなく線を重ねて表現しているので、カラー以外のもこっちに馴染み深いとアニメのもこっちのクマはやや病的に見えてしまいますね。

文化祭で感動! 内容は高評価

出展 : (c) 谷川ニコ/スクウェアエニックス・「ワタモテ」製作委員会 : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

キャラデザに関しては今も賛否があるわたモテのアニメですが、内容に関しては概ね評価が高く、近年でもニコニコ生放送などで再放送されるとかなりの反響があり、Twitterなどで賛美の声が数多く寄せられています。
アニメ化された範囲は1~4巻ですが、3巻まではほぼ全てのエピソードが網羅されていて、原作ファンが「あの話がない」「あのエピソード好きなのに」といったモヤモヤをあまり感じることなく視聴できるのも大きいですね。
原作通りの順番ではなく各エピソードの時系列が再構築されていますが、1話完結の作品なのでそこまでは気になりません。

また、OPとEDの評価も高いです。

OPはかなりエッジの効いた演出で、もこっちのリア充への妬み嫉みや現状への不満、先の見えない未来への恐怖などを凝縮したような映像および楽曲となっています。
EDは一転して、もこっちの中々上手くいかない日常をコミカルに歌った爽やかな楽曲が使用されています。
どちらも、もこっちの内面をイメージした内容になっていて、この作品ならではのOP&EDという感じですね。

本編で特に評価が高かったのは、11話の文化祭回です。

当時校内に友達のいなかったもこっちにとって、文化祭のようなイベントは苦痛以外の何物でもないのですが、別の学校に通う友達のゆうちゃんが遊びに来たことで楽しい時間を過ごしていました。
しかしそのゆうちゃんも帰り、日も暮れ、もこっちの周囲に寂しい空気が漂います。
この寂寞感が非常にしっかりと演出されていて、誰もが感じたことのある「祭りのあと」の雰囲気が夕日に染まる美しい光景で表現されているため、ノスタルジーのような感情が湧き、とても切ない気分に浸れます。

原作12巻に収録された、今江恵美(いまえ めぐみ)が卒業するエピソード(喪115「モテないし二年目の卒業式」)の伏線にもなっている回なので、近年ファンになって人にとっても見応えのある回となっています。

ちなみに、各話のエンドカード担当者は以下の通りです。

喪01 山内泰延(『男子高校生の日常』作者)
喪02 ヨシノサツキ(『ばらかもん』作者)
喪03 くろは(『帰宅部活動記録』作者)
喪04 川上真樹(『クラスメート、上村ユウカはこう言った。』作者)
喪05 HERO(『堀さんと宮村くん』作者)
喪06 藤代健(『ながされて藍蘭島』作者)
喪07 宮城りん(『悪魔曰く俺の嫁』作者)
喪08 松本トモキ(『プラナス・ガール』作者)
喪09 外海良基(『JUDGE』作者)
喪10 もち(『キューティクル探偵因幡』作者)
喪11 宮条カルナ(『アホリズム』作者)
喪12 ろびこ(『となりの怪物くん』作者)

基本的にわたモテの掲載誌であるガンガンONLINE、およびその姉妹誌で当時連載していた作者からの寄稿だったので、最終話に少女マンガ家のろびこ先生が寄稿したことにはかなりの反響がありました。

実はアニメに出ていたネモ&岡田

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わたモテのアニメ化は2013年なので、近年原作で活躍しているキャラの多くは未登場です。
しかし、中には意外と早く登場していて、アニメでもしっかりその姿が確認できるキャラがいます。
“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)岡田茜(おかだ あかね)の2人です。

この2人は1年時、清田良典(きよた よしのり)らと形成しているリア充グループの一員として、もこっちの嫉妬の対象となっていました。
しかしもこっちとの会話はなかったため、ポジションとしてはほとんどモブ
そしてネモは当時髪の色が判明していなかったため、ピンクではなく黒髪で完全に別人のような外見になっています。

また、喪25「モテないし看病する」で初登場した井口朱里(いぐち あかり)もアニメでは登場している……のですが、当時はまだ原作でも名前およびキャラが定まっていなかったため、もこっちの弟の智貴(ともき)にプリントを届けに来た「女子生徒」という役柄でクレジットされています。

【わたモテ】吉田さんは本当にヤンキーなのかガチで検証してみた #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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時に狂犬、時にネズミー愛で目をキラキラさせる乙女。
個性派キャラしかいない『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』のメインキャラ群においても随一の振り幅を持つ吉田茉咲が本当にヤンキーなのか検証してみました!

吉田茉咲(よしだ まさき)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)のクラスメイトとして2年時より登場。
金髪、切れ長の目、制服の着崩しなどの外見や易怒性から、もこっちや彼女の弟・智貴(ともき)からはヤンキーと認識されています。

喜怒哀楽が非常に激しく、初対面の相手に対しても厳しい顔つきで接する気分屋で、クラスメイトからは距離を置かれている模様。
自分がコケにされた時や気に食わないことがあれば暴力に訴え、面識のない相手に対しても容赦なく噛みつきます。
一方で情に厚く律儀なところもあり、一度気を許した相手には優しい一面を見せることも。

見た目に反し性的な知識には疎く純情
ネズミー(モチーフはディズニー)をこよなく愛し、ファンシーなキャラクターグッズなどの可愛い物も好んでいます。

外見は確かにヤンキー

ヤンキーに定義など存在しないのですが、それなりに傾向はあります。
ヤンキー全盛期だった1970~1980年代の女ヤンキーと言えば「長髪に染色(脱色)&パーマ」「アイシャドーが無駄に濃い」「アクセサリーがいちいちデカい」「仏像みたいな細眉」「異様にロングなスカート」「ケバいマニキュア」といった、『特攻の拓』に出てくる女キャラのような外見がイメージされますが……当然ながら現代のヤンキーには当てはまりません。

近年のヤンキーの外見的特徴は、なんといっても「派手」の一言に尽きます。
ギャルの外見を更に派手にして、ドスを利かせたような感じです。

アクセサリーも主張が強く、メガネはカラーレンズ。
ファンデをかなり厚めにして、口紅は濃い赤かオレンジ、或いは紫を愛用することが多いようです。

そして何よりも髪と服装の派手さが際立っています。
とにかく「普通とは違う格好」を好み、大抵は金髪で、豹柄や柄物を好み、スカートやパンツは丈が短め。
田舎だとジャージやパーカーなどの楽な服装で過ごしている女ヤンキーが多いようです。

では、吉田さんはどこまで合致するでしょうか。

吉田さんの外見的な特徴はなんといっても金髪ですが、常に綺麗に染めている訳ではなく、伸びて根元が黒くなった状態です。
もこっちからは「プリン頭」と揶揄されていますが、このプリン髪はまさにヤンキーならではの金髪!
制服も常に着崩し、スカートは相当短いです。

そして修学旅行の時に着ていた上下黒の部屋着は完璧な田舎ヤンキーファッション!
金髪以外での派手さはあまりないですが、ピアスもしていますし、トータルではかなりヤンキーらしい外見と言えます。

内面もやっぱりヤンキー

現代のヤンキーは、実は外見ではギャルとそんなに大きくは変わりません。
違うのは寧ろ内面です。

ヤンキーの特徴としては、やはり短気なところが挙げられます。
すぐにキレてケンカ腰になり、乱暴な口調で汚い言葉を投げかけるのは今も昔も変わりません。
反面、ネチネチしたところはなく引きずらないのも特徴です。

また、ヤンキーは人情に厚く義理堅いというのも昔と同じ。
同様に、体育会系ほどではないにしろ上下関係には厳しいという特性もあります。
年上に敬意を払い、意外と年寄りを大事にするイメージもありますね。

吉田さんは短気で言葉遣いも荒くサバサバした性格なので、まんまヤンキーです。
義理堅いところも一致しています。
一学年上の今江(いまえ)先輩との初対面時は「誰だてめー?」と鋭い目付きで威嚇していましたが、その後は荒ぶることなく接していましたし、担任の荻野(おぎの)が言った「もこっちと仲良くしてあげて」という言葉にも真摯に耳を傾けていたようで、年上への敬意も一応見受けられます。

可愛い物好きなところ、ネズミーが好きなところもまさにヤンキーのイメージそのもの。
ただ一点、「意外とピュア」に関しては、現実のヤンキーというより「創作物に登場する女ヤンキー」のイメージと合致しています。

【わたモテ】アニメ2期の可能性はある!? 徹底検証まとめ #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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ネット上で話題になっている『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』のアニメ2期が制作される可能性を徹底検証!
最初のアニメ化から5年以上が経過した現在、わたモテが再びアニメ界に殴り込みをかける日が来るかどうか、本気出して考えてみました!

アニメ化、停滞、そして再評価

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マンガ家ユニット・谷川ニコによる『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の連載が始まったのは、2011年8月のこと。
初連載作品『ちょく!』に続く作品としてガンガンONLINEでスタートさせた本作は、モテないし友達も少ない喪女の女子高生“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)を主人公とした物語で、彼女がぼっちからの脱却を果たすべく奮闘・迷走する姿を描いた日常コメディです。

既にファンの間ではお馴染みの話ですが、わたモテが最初に受け入れられたのは英語圏の画像掲示板「4chan」
コミックスの第1巻(2012年1月発売)が出る直前の2011年12月頃に4chanで話題になり、その後「ふたば☆ちゃんねる」などでも人気を博し、ロングヒットへと繋がっていきました。

そしてコミックス3巻発売日の2012年12月22日、ガンガンONLINEはわたモテのテレビアニメ化を発表
累計発行部数もこの時点で100万部に到達しており、人気絶頂の最中、2013年7月より大沼心監督、SILVER LINK.制作によるアニメがスタートしました。

ファンからの評価は決して低くなかったのですが……結果としてアニメは大ヒットには至らず
放送後はファンの期待虚しく2期の発表はなく、やがてアニメ公式サイトの更新もストップしました。

アニメが大ヒットした作品は、その後もメディア展開が続いていき、注目度も維持されます。
しかし大ヒットとはならなかった作品は、なんとなくそのアニメが作品のピークと見なされてしまい、以降は停滞期に突入するケースが多いようです。

わたモテも後者のパターンで、アニメ終了後はファン以外からあまり注目されない状態が続きます。
ファンからの評価は8~9巻収録の修学旅行編以降は上昇傾向にあったものの、コミックスの売上などには反映されず、厳しい局面を迎えていました。

その流れが変わるきっかけの1つとなったのは、2016年4月に行われた千葉ロッテマリーンズとのコラボイベントです。
このイベントの際に描かれたコラボ漫画(10巻収録『特別編6』)が、野球ファンが数多く集う掲示板「なんJ」およびそのまとめサイトなどで頻繁に取り上げられ、ちょっとした話題に。
以降、なんJなどのネット上で「今のわたモテは面白い」「修学旅行編以降はキャラが増えて読み応えある」といった声が散見され、徐々に再評価されるようになります。

そして、バレンタインデーや卒業式、打ち上げなどの人気エピソードを収録した12巻が発売されると、通販サイト「Amazon」のレビュー数が300件を超える異例の事態に(Amazonのレビュー数は『ONE PIECE』で60件前後、『進撃の巨人』で100~150件、濃いファンの多い『HUNTER×HUNTER』でさえも200件前後)。
わたモテの再評価を裏付ける結果となりました。

ネット上での反響、コミックスの売上回復は追い風になる?

わたモテ再評価を裏付ける数字2つほど紹介します。
1つはコミックス(紙媒体のみ)の売上です。
情報サイト「書籍ランキングデータベース」で閲覧することができるPOSデータ(2013年~)やオリコンのデータを参考に、わたモテの人気の推移を見ていきましょう。

1巻~3巻はアニメ化の効果もあってロングセラーとなっており、オリコンで各巻25万部以上のセールスを記録。
4巻もPOSデータで23万部を記録しており、遜色ない売上を記録しています。

しかしそれ以降は5巻が13万部、6巻が11万部、7巻が8万部(POSデータ、以下全て同じ)と下落傾向にあり、その結果発行部数も絞られ、書店に並ぶ数は減っていきます。
高評価の修学旅行編を収録した8巻も6万部と下落は止まらず、11巻の時点では3万部にまで落ち込んでいました。

通常、コミックスの売上は巻が進むごとに落ちていくものではあります。
ましてアニメなどのメディア展開を終えた作品は新規ファンを取り込む機会がほとんどなく、電子書籍を購入する人も年々増えているため、紙媒体のコミックスはどうしても苦戦せざるを得ないのが現状です。
違法サイトの蔓延も少なからず影響していたのでしょう。

とはいえ、わたモテの5巻以降の減少はそれらを考慮してもやや大きく、作品としての寿命が迫っていたのは確かだと思われます。

そういった状況下にありながら、12巻は4万部以上を売り上げ、11巻から40%増!
13巻も4週間で約4万部を売り上げて、ほぼ同程度のセールスを記録しました。

3万部→4万部という数字だけを見ると、大して上がっていないようにも感じられます。
ですが、上記のように現在は紙媒体が非常に厳しい情勢で、アニメ化から長い年月が経過した作品がメディア展開なしで売上を回復させるのは至難の業
Amazonの電子書籍関連サービス「Kindle」の少年コミック売れ筋ランキングで1位を獲得するなど、電子書籍のセールスも着実に伸びていると予想されます。

そしてもう1つ、驚異的な伸びを見せているのがTwitterの「いいね」の数です。
谷川ニコ公式アカウントでは、わたモテの更新や単行本発売を知らせるツイートが投稿されていますが、そのツイートにされる「いいね」の数が飛躍的に伸びています。

・単行本発売
09巻発売  227いいね
10巻発売  304いいね
11巻発売  369いいね
12巻発売 1112いいね
13巻発売 2177いいね

・更新お知らせ
喪122  258いいね(モテないし3年生になる)
喪125  363いいね(モテないし遠足がはじまる)
喪126  485いいね(モテないしあだ名で呼ばれる)
喪128  635いいね(モテないし回る)
喪132  894いいね(モテないし先輩後輩の関係)
喪136 1101いいね(モテないし漫画を薦める)
喪138 1285いいね(モテないしモテないし大学に行く)
喪140 1889いいね(モテないしオープンキャンパスに参加する)

そして、ここからが本題です。
これらの状況、数字が果たしてわたモテのアニメ2期を後押しする材料になるでしょうか?

まず前提として、1期でセールス的な成功を収められなかったアニメが2期を制作される可能性は極めて低いということは念頭に入れておかなければなりません。
アニメを制作するにはかなりの額の資金が必要で、しかも2度目以降に関しては原作への宣伝効果も薄くなるため、それに見合うだけのリターン(円盤売上、グッズ売上等)が期待できる、もしくは資金の調達方法が確立している(遊戯施設とのライセンス契約など)場合にようやく実現すると推察されます。
それだけ2期制作はハードルが高いのです。

上記のように、わたモテのアニメは大ヒットとはなりませんでした。
よって、幾ら人気が回復傾向にあっても、2期制作は現実的じゃない……というのが現実的な意見でしょう。

しかしそうとは限りません。
何故なら、わたモテはただ単に再評価されているというだけではないからです。

注目したいのはTwitterの「いいね」の急増です。
これは読者層の変化を如実に表しています。
単にファンが増えただけではなく、これまでとは違うファン層を獲得していることを示唆している結果です。

つまり、現在のわたモテはアニメ化した当時とは全く違う結果を期待できるのです。

【わたモテ】ゆりもこ! ネモクロ! うちもこ! かともこ! カップリングまとめ #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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ゆりもこ! ネモクロ! うちもこ! かともこ! などなど
百合ファンから熱い視線を送られている『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』のカップリングを総まとめ!
ファンアートなどで定番のペアからマイナーな組合わせまで、わたモテ初心者にもわかりやすく解説します!

ゆうもこ(成瀬優×黒木智子)

出展 : (c) 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

わたモテのカップリングにおける原点とも言える、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)と“ゆうちゃん”こと成瀬優(なるせ ゆう)の組み合わせ。
元々わたモテはメインキャラクターが少なく、初期にもこっちと絡む同級生はゆうちゃんくらいなので、ある意味では必然のカップリングでもあります。

もこっち、ゆうちゃん、小宮山琴美(こみやま ことみ)が中学2年生の頃の話を収録した『私の友達がモテないのはどう考えてもお前らが悪い。(通称“友モテ”)』では、そんな2人の出会いが描かれています。
先に話しかけたのはもこっちの方で、「当時地味な格好をしていたゆうちゃんなら主導権が握れる」というゲスい打算で声をかけたようです。
しかしその後は損得勘定抜きに普通の友達として親睦を深め、学校が別々になった中学卒業後も付き合いは続いています。

高校2年生の秋までは、もこっちにとってゆうちゃんは唯一無二の友達で、ゆうちゃんが他の女の子と話しているだけで嫉妬に狂うほど。
6巻収録の喪54「モテないし変わらない」では、百合を題材とした日常アニメ『桜Trick』をパロって「ゆうもこTrick」と2人の関係を自称していました。
一方のゆうちゃんも中学時代からもこっちに対し絶大な信頼を寄せていて、もこっちの周りに人が増えた今も2人の精神的な結び付きは強いです。

わたモテ初期からのカップリング、しかも唯一(?)のもこっち公認ということで、ファンアートでも根強い人気を誇っています。

ゆりもこ(田村ゆり×黒木智子)

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高校入学後、自己紹介のネタで滑るなどスタートダッシュに失敗したもこっちは、クラス内で完全に孤立してしまい、長らくぼっち状態が続いていました。
そんなもこっちにとって、高校最初の友達となったのが田村ゆり(たむら ゆり)です。
修学旅行で同じ班になったのをきっかけに、一緒に登下校したり昼ご飯を食べたりする仲になります。

どちらも“陰キャ”寄りの性格で、ゆりにとってもこっちは「無理に話さなくて良いから一緒にいて楽」な相手であり、自分と同じ価値観を求めていたようです。
しかし実際にはもこっちが自分の知らない交友関係を築いており、自分とは違う行動力や感性を持っていたと知り、焦りが生まれます。
それでも、自分に合った漫画をわざわざセレクトして持ってきたり、「友達と一緒の所が良い」という大学の志望動機を独自の見解で肯定してくれたりと、異なる感性であっても自分を理解してくれるもこっちに対し、感謝の念を越えた感情を抱いていると思われます。

一方もこっちも、ぼっち状態を抜け出すきっかけを作ってくれたゆりには特別な意識を持っているらしく、他人行儀に「田村さん」と呼ぶのを躊躇し、どう呼ぶかで苦慮していましたが……最終的には「ゆりちゃん」と下の名前で呼ぶようになります。
しかも心の中では「ゆり」と呼び捨て
もこっちが他人を名前で呼び捨てにすることは他になく、その特有性を窺わせます。

2人とも決して社交的ではないため、2人がメインの回は比較的落ち着いた雰囲気のエピソードになることが多いのも特徴です。
稀に狂気が垣間見えるのはご愛敬。

ネモクロ(根元陽菜×黒木智子)

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“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)ともこっちの関係はかなり特殊です。

当初リア充グループの一員として描かれていたネモは、喪女であるもこっちにとって妬みの対象でした。
しかし2年生になってからはネモから積極的に話しかけるようになり、もこっちの認識も「クラスで唯一話しかけてくれる心の拠り所」へと変化します。

そしてその後、ネモが声優志望のオタクと判明。
ネモは自分の本性を曝け出すようになり、もこっちに対してズケズケと物言うようになります。

そんなネモに当初は困惑していたもこっちですが、遠足時に心の中でのみ呼んでいた「ネモ」というあだ名をうっかり口走ってしまい、それをきっかけに「ネモ」「クロ」とあだ名で呼び合う仲に進展。
もこっちも腹を括り、ネモに対してはそれまでのオドオドした話し方を止め、遠慮のないぶっきらぼうな物言いになり、少なくとも表面上はお互い遠慮のない関係になりました。

ネモは元々地味な女の子でしたが、高校入試の際にもこっちと出会い、その時のもこっちに影響を受けて高校デビューを果たし、現在に至る……という線が濃厚です。
そのためか、もこっちに対するネモの執着はかなり強く、より深い関係性を求めています。
オタク同士ではあるもの、意外とオタク談義はあまりしないところも特殊ですね。

ストーリー性の強い関係のためか、2人がメインの回はエモいシーンが目立ち、ファンアートでもそういった作風が良く見受けられます。

うちもこ(内笑美莉×黒木智子)

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わたモテの世界に百合要素を持ち込んだ、ゆうもことは違う意味での原点となる組み合わせ。
同時に、本作唯一のガチ百合要素を備えたカップリングでもあります。

大所帯のグループに属し、自身も社交的な“うっちー”こと内笑美莉(うち えみり)にとって、ぼっちのもこっちは当初関心外の存在でした。
しかし修学旅行最後の夜に同部屋となり、もこっちの度重なる奇行(シャワー中に覗かれる、パンツを盗まれる等)を受け、性的な意味で狙われていると誤解
その後もうっちーの被害妄想は続きますが、同時に彼女にとってもこっちは気になって仕方ない存在となり、つれない素振りに憤怒したり優しくされて舞い上がったり……と、いつの間にか恋する乙女状態に。
そしてついには、もこっちへの恋心を自覚するようになり、ストーカー一歩手前の行為にまで及ぶようになります。

そんなうっちーの想いなど知る由もないもこっちは当初無視されていたこともあり、心の中で「絵文字」呼ばわりするなど、あまり良い印象は抱いていませんでした。
ただし遠足で会話を交わして以降は特に悪感情を抱くシーンもなく、普通の知り合いとして接しています。

嫉妬に狂うシーンが印象的ですが、意外と甲斐甲斐しい性格でもこっちに尽くそうとする面もあり、そんな健気なうっちーを応援する人は多いですね。

かともこ(加藤明日香×黒木智子)

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もこっちにとっては高嶺の花だった加藤明日香(かとう あすか)。母性溢れる加藤ママです。
そんな加藤さんが、席替えによってもこっちと前後の席になったことで、両者に接点が生まれました。
ふとしたきっかけでもこっちにメイクやネイルを施し、その後も頻度は低いものの着実に交流を重ねていきます。

オタク以外のファッションとは縁遠い生活を送ってきたもこっちにとって、加藤さんとの時間は緊張を伴いつつも新鮮なもので、一方の加藤さんも恐らくもこっちのようなタイプと接した経験はほとんどないと思われ、それが両者にとって好感触だったと思われます。

その後、遠足時にもこっちがネモと岡田茜(おかだ あかね)のケンカを結果的に仲介したことで、加藤さんのもこっちへの株が急浮上。
やがて2人だけで大学の下見に行くほどの仲になります。

ミステリアスな美女という感じで、読者にもどんなキャラなのかまだわからないままだった加藤さんですが、下見に出かけた喪140「モテないしオープンキャンパスに参加する」では彼女の意外な一面や芯の強さが垣間見え、この更新を機にファンが急増。
「加藤さん」がトレンド入りし、「かともこ」を描いたファンアートが大量に投稿されるなど、大盛り上がりとなっているカップリングです。

【わたモテ】ネモの本当の姿とは。ネモクロ誕生までとこれからについてのまとめ #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』初期のモブキャラから一転、近年はメインに昇格し一躍人気キャラとなった根元陽菜。
彼女の行動に見え隠れする本当の姿とは。「ネモクロ」の関係に至るまでの軌跡、もこっちに何を求めているか等まとめてみました!

11/2加筆修正行いました!

根元陽菜(ねもと ひな)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)のクラスメイトとして1年時から登場。
もこっち曰く「凄く可愛い」容姿の女子で、ツーサイドアップの髪型が特徴的。
男女混合のリア充グループに属していて、岡田茜(おかだ あかね)や清田良典(きよた よしのり)などと親しくしています。

常に明るく朗らかな表情で人当たりの良い性格……と思われていましたが、実は声優志望のオタク気質な女の子と判明。
そのことは一番の友人である茜にも秘密にしており、本心を隠すタイプのようです。
もこっちには心の中で「ネモ」と呼ばれ(由来は『機動戦士Zガンダム』に登場する同名のモビルスーツ)、喪126以降は実際にそう呼ばれるようになり、自身はもこっちを「クロ」と呼ぶようになります。

アニメの担当声優は黒瀬ゆうこ(くろせ ゆうこ)。

モブキャラ時代の1年時

ネモの初登場は意外と早く、1巻収録の喪4「モテないし寄り道」です。
ただしこの時はセリフは一切なく、また名前や性格などのパーソナリティは一切描写されず、もこっちと同じクラスのリア充グループの一人として描写された、いわゆる「モブ」でした。

しかも当時は茜や清田の方が明らかに目立っていて、ネモは「クラスメイト女B」といった感じの扱い。
この状態はしばらく続き、1年時においてネモがもこっちと会話する場面は一度も描写されませんでした。

しかしこの1年間、ネモともこっちは他人だった訳ではありません。

12巻収録の喪110「モテないし受験者を応援する」にて、ネモは高校受験時にもこっちと出会っていることが判明します。
当時唯一の友達だった成瀬優(なるせ ゆう)が合格できそうにないと察したもこっちは、高校生活で孤立するのを恐れ、合格しそうな子に話しかけ知り合いになっておこうと画策。
その際、隣にいたネモに話しかけ、拳を合わせるよう促し「うぇーい」と軽いノリの挨拶を交わしました。

つまり、2人は既に顔見知りだったのです。
にも拘わらず、もこっちはネモのことを覚えていませんでした。

一方、ネモの方はもこっちのことをしっかりと覚えており、それどころか喪139「モテないし大学に行く理由」においてネモが「高校に入る前からクロに振り回されてる気がする」と回想しているように、この最初の出会いが彼女に何らかの影響を与えたのは間違いないようです。

にもかかわらず、会話する描写がなかったのはどうしてなのか。

この件に関しては長期にわたって作中で語られていなかったため、ファンの間でも「ぼっち化したもこっちにどう話しかけていいかわからなかった」「自己紹介の挨拶で滑っているもこっちを見て関わるのは危険だと察した」「ぼっちと話して自分も孤立化するのを恐れた」など様々な憶測が飛び交っています。

しかし2018年11月1日公開の「BOOK☆WALKER特別編」で、実は入学初日にネモの方からもこっちに話しかけていたことが判明します。
ちゃんと会話はしていたのです。

もこっちが自分を覚えていないと知ったネモは、あらためて自己紹介し「覚えといてね黒木さん」と笑顔でちょっと変わった念押しをします。
実はこの「覚えといてね」という言葉は、ネモにとって特別なものだったのです。

今度は上手く演る

ネモは高校に入ってからリア充グループの一員として、オタクのもこっちとは対照的な存在として描かれていました。
しかし実は彼女、声優志望でアニメ好きの隠れオタクだったのです。

中学時代のネモは、日常アニメが好きなことは隠していたようですが、非オタクの友達ともオタク女子の友達とも分け隔てなく接するなど、普通の学校生活を送っていました。

そんなある日、非オタク友達との会話の中でオタク友達を中傷するような発言が飛び交います。
ネモは愛想笑いするだけで何も言いませんでしたが、その様子をオタク友達は遠巻きに見ていたらしく、彼女たちには「ネモが一緒になって自分たちの悪口を言っている」と映ったようで、仕返しと言わんばかりに「なんか普段から見下し入ってたよね」などとネモの陰口を叩き始めました。

その声を偶然立ち聞きしてしまったネモですが、弁明することなく胸の内にしまい込みます。
表情は穏やかで、恨みや悲しさを感じさせる様子はありませんでしたが、彼女の中でオタクに対する価値観や人生観が劇的に変化したのは間違いありません。
以降、非オタク友達とも自ら距離を置くようになり、ネモの中学校生活は静かに幕を閉じました。

そして高校に入学したネモは、とある決意を胸に秘めていました。

「――――今度は上手く演る」

アニメ好きであることも、声優を目指していることも、自分が傷付いたことも、全てを隠して穏便な日常を送る。
そんなネモの隠れオタクの日々は2年生の途中まで続きました。

ネモが選んだ隠蔽生活

2年生になったネモは、再びもこっちと同じクラスになります。

最初のHRの際、隣の席になった縁もあって「また一緒のクラスだね!」と笑顔でもこっちに話しかけ、

実に1年ぶりの会話を交わします。

なぜ1年もの間、ネモはもこっちと会話をしなかったのでしょう。
普通なら「自分を忘れるような奴と仲良くする気になれない」と考えてしまうところですが、その後のネモのもこっちへの執着を見る限り、これはあり得ません。

「どう接していいかわからなかった」というのが最も妥当ではないでしょうか。

1年時のもこっちは、ノートに「サーヴァント(Fateのアレ)」と書くなど、見る人が見ればオタクと一目で見抜ける状態でした。
おそらくネモも早い段階でもこっちがオタクだと気付いたのでしょう。
中学時に友達のオタク女子から陰口を叩かれたネモにとって、気安く話せる相手ではなかったのではないでしょうか。

それでも再び話しかけたのは、高校入試の際にもこっちから話しかけられたことが、ネモにとって特別な意味を持っていたからと思われます。
これは単なる憶測ですが……中学時の辛い経験で当時他人と話すことが苦手になっていて、もこっちにアホなノリで話しかけられたことで少し吹っ切れたのかもしれませんね。

そんなもこっちに対し、ネモは再び自分のことを覚えているか確認します。
そして、今度はちゃんと覚えていたことがわかると安堵した様子で「私存在感薄いからさー」と自虐。
その後、もこっちが1年前の自己紹介で非常にわかり難いネタを披露した際、案の定誰からも気付かれずスルーされ凹んでいましたが、実はそのネタに気付いていたことをネモが伝え、もこっちを感動させました。

しかしすぐに事態は急変。

ネモはそのもこっちの自己紹介についてクラスメイトに話していたらしく、「黒木さんのこと話したらみんな凄い楽しみにしてるよ」ともこっちにプレッシャーを与えます。
悪気など一切ない顔で。

困惑したもこっちは、それでもどうにか笑いを取ろうとするものの……撃沈。
震えるもこっちにネモは苦笑しながら「なんかごめんねー」と謝罪していました。

『わたモテ』はギャグマンガなので、この一連の流れはギャグの描写に重きをおいているエピソードであり、この時点ではネモの人となりを表すという意図は余りなかったと思われます。
それでも、この一連の際のネモの言動は彼女の本心や本質的な部分をある程度映し出していると思われます。

まず「私存在感薄いからさー」というセリフ。
これは、かつて自分がもこっちに忘れられていたことに対する自虐と、もこっちへの若干の皮肉を込めた発言と考えられますが、どうもそれだけではないように思えます。

隠れオタクであるネモは、自分を曝け出すことをあえて自制していたと考えられます。
実際、10巻収録の喪97「モテないし学食で食べる」で他の友達と一緒にもこっちと学食で昼食をとることになった時、もこっちにアニメの話題を振られても薄い反応に終始し、極力関わらないようにしていました。
オタバレするのをかなり怖がっていた様子がその後も描かれています。
よって、ネモは極力自分の話をあまりしていなかったと推察できます。
そんな自分に対する皮肉も含め、「存在感薄い」発言に繋がったのではないでしょうか。

次に、もこっちの1年時の自己紹介を周囲の生徒に話していた件。
これについても「他人のエピソードを提供することで、自分の話をしなくても良いような空気作りをした」と解釈することもできます。
ただしこれはかなり穿った見方なので、現実的には「もこっちとの接点を作りたかった」という動機が妥当かもしれません。

ネモは自分を偽って学校生活を送っていたため、ある程度したたかである必要があります。
もこっちとの久々の会話では、そんなネモの一面が僅かながら垣間見えている気がします。

【わたモテ】田村ゆりという陰キャの姫はもこっちに何を求めるか? #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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『わたモテ』が再ブレイクする一要因となった人気キャラ・田村ゆり。
もこっち同様陰キャ気質ならではの悩みを持つヤンデレ気質なゆりちゃんの魅力、ゆりドンとは、もこっちに何を求めているのか等まとめてみました!

田村ゆり(たむら ゆり)キャラクター概要

わたモテ 田村ゆり出展 : (c) 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)の2年生時のクラスメイトとして登場。
もこっち曰く「地味」な外見の女子で、二つ結びにした黒髪、若干腫れぼったい目が特徴です。
登校時や教室内など、あらゆる場所でイヤフォンをはめ音楽を聴いています。

内向的な性格で表情に乏しく、もこっちに「表情筋10gくらいしかなさそう」と思われている模様。
率先して友達を作るタイプではないので、もこっちと出会うまでは行動を共にする友達は田中真子(たなか まこ)のみ
しかし一度気を許した相手には執心する傾向が見受けられます。

初登場時から見えるゆりの人物像

8巻収録の喪69「モテないし班決めする」で初登場を果たした際のゆりは、かなり感情的になっていました。
というのも、修学旅行で一緒の班になる予定だった真子がクラスメイトの“キバ子”こと南小陽 (みなみ こはる)から誘われ、断れずそちらの班に行ってしまったからです。

他に班を組める友達がいないため、心ならずも“ぼっち”になってしまったゆりはその後、班を組めていない余り者の寄せ集めとなった4班に入ることになり、そこでもこっちと初めて接点を持ちます。
真子に裏切られケンカしてしまったゆりは、班長を務めることになったもこっちが行動予定表を埋めるための相談に来た時も、耳にはめたイヤフォンを外そうともせず「別になんでもいいよ…」と投げやりに答えるなど、すっかり荒んでいました。

この初登場時の様子からもわかるように、ゆりは当初からあまり社交的ではない女子として描かれています。
彼女は普段からイヤフォンで音楽を聴いていますが、これを「話し掛けられないための防衛手段」と見なすならば、この時点で既に極力他人との接触を避けたいという彼女の心理と性格がしっかり描写されていると言えるでしょう。

とはいえ状況を考慮すれば、ゆりの反応と態度はごく平均的な女子高生の範疇という見方もできます。
例え陰キャ気質でなくても、修学旅行の班決めの際に友達から「別の友達と組むことになったからゴメンね」と言われれば、不機嫌になるのは当然。
まして唯一とも言える友達から裏切られれば、絶望のあまり他人への対応がおざなりになるのも仕方ないでしょう。

ちなみに、真子はその後もゆりの友人として登場し、ゆりの保護者のような存在として描かれています。
そのためファンの間では「どうしてこの時にゆりよりもキバ子を優先したのか」といった疑問が持ち上がっていました。
その後、喪137「モテないしGWを迎える」でゆりが思い込みで自分に都合の良い解釈をしてしまう所があると判明し、「真子と組むって約束自体がゆりの思い込みだったのでは」という解釈も散見されるようになっています。

実際、もし真子が本当に「修学旅行ではゆりと同じ班になる」と約束していて、その後ゆりになんの落ち度もなく真子が裏切ったのなら、それは友人関係が破綻するレベルの出来事。
しかし実際にはそうはなっておらず、旅行内で仲直りするくらいアッサリ解決できたことを考慮すると、思い込みとまでは言えずとも何かしらの誤解はあったのではと推察することもできそうです。

修学旅行2日目は気持ちが昂ぶっていた?

初登場時から陰キャの片鱗を見せていたゆりですが、いざ修学旅行に出発すると、その傾向は次第に弱まっていきます。
旅館に着いた当初には「イヤフォンをはめたまま一切会話せず明後日の方向を見たまま立ち尽くす」という如何にも陰キャっぽい姿を見せていましたが、これは今までロクに話したことのない相手しかいない空間での立ち振る舞いとしてはごくありふれたもの。
実際、同じ班になった吉田茉咲(よしだ まさき)も似たような態度でした。

その後、仲良し5人組の中で1人だけ余る形で4班に入っていた“うっちー”こと内笑美莉(うち えみり)が友達と合流するため部屋を抜け、ゆりはもこっち、吉田さんと3人で過ごすことになります。
ほとんど会話らしい会話もないまま時間だけが過ぎ、夜になったところでゆりのLINEに真子からの着信が
まだ許す気にはなれず既読スルーをしたものの、その直後に真子自らゆり達のいる蝙蝠の間に現れ、場所を変え話し合いが行われたようです。

その話し合いは一切描写されていないため、どういった内容なのかはわかりませんが、その翌日からゆりはもこっちに積極的に話し掛けるようになります。
この日のゆりは終始もこっちを気にかけ、吉田さんに(悪気はないものの)無礼な発言を繰り返すもこっちをフォローするなど、それまでの彼女とは違う面倒見の良い一面を見せていました。

この「面倒見の良さ」は修学旅行後も継続し、帰って来た翌日には早速もこっちに話し掛け、更には一緒にお昼ご飯を食べるよう誘います。
ゆりのこの行動によって、もこっちは長らく続いていたぼっち状態から脱却し、わたモテというマンガの構造自体を変化させるまでに至る……のですが、その前にこのゆりの一連の行動に関して考察してみたいと思います。

元来あまり他人とは関わろうとしないゆりですが、上記のように修学旅行2日目に関しては、もこっちに対し能動的に接し、ヤンキー気質な吉田さんに対しても全く怖じ気付くことなく話しかけています。
これはおそらく彼女の機嫌が直りつつあったから、と推察できます。

まず、前日の夜に真子と話し合いができたことで、完全ではないにしろ裏切られたことに対する怒りやモヤモヤが和らぎ、心に余裕ができたのが一番大きな要因でしょう。

また、2日目の朝にもこっちがやらかし、吉田さんをキレさせたのも要因の一つと思われます。
心に余裕がある時、第三者同士のトラブルという非日常を目の当たりにすると妙にテンションが上がってしまうのは人間の性。
こういった状況が重なったことで、ゆりはこの日(本人基準で)かなり気持ちが昂ぶっていたのではないでしょうか。

「吊り橋理論」に代表されるように、人間は強烈な緊張感や高揚感を体験した際、その感情を共有した相手と親密になりやすいと言われています。
ゆりにとってこの修学旅行が忘れられない思い出となり、もこっちや吉田さんを特別視するようになったのは、そういった心理が働いたからかもしれませんね。

もこっちの良き理解者に

わたモテ 田村ゆり

修学旅行が終わってからも、ゆりはもこっちに率先して話しかけ、しかも一緒にお昼を食べるよう誘います。
それまではずっと真子と2人だったことを考えると、間違いなく大英断だったと思われます。

この行動に至った要因としては、前述した修学旅行中の心理に加え、2日目の夜に担任の荻野(おぎの)から「みんなと仲良くなりたくてこの班に入ったのよ。何かあったら助けてあげてね」と、旅行後も仲良くしてあげてと頼まれたことが挙げられるでしょう。
「頼まれたからやった」という訳ではなく、担任から頼まれたという大義名分があったことで積極的に動きやすくなった、と解釈した方が自然かと思われます。

とはいえ、最大の要因は「もこっちに対する関心と親近感」に尽きるでしょう。

修学旅行中、ゆりはもこっちに対し「黒木さんって凄いバカ」という印象を受けていました。
それは旅行後も同じで、もこっちのおかしな発言や奇行を目の当たりにする度に同様の感想を抱いています。

ただ、多少の呆れや見くびりはあったと思われますが、蔑視する様子は微塵もなく、むしろもこっちがどんな性格なのかを理解したいと思っているフシさえありました。
10巻収録の喪95「モテないし秋の終わり」で、もこっちが釣り銭漁りの言い訳をしていた際に「もう黒木さんのことわかってるし別にそうだとしても変に思わないけどね」と発言したのが何よりの証拠でしょう。
(もっとも、この発言はのちにファンから「全然理解してなかったじゃん!」と散々ツッコまれる事態になっていましたが……)

そしてその後、バレンタインデーには友チョコの交換を行うなど、もこっちを友達としてはっきりと認識するようになり、吉田さんと真子も含めた4人で一緒にいる時間を何よりも大切に思うようになっていきます。
その想いが溢れたのが、12巻収録の喪120「モテないし打ち上げる」です。

高校2年も終わりが近付き、クラス替えを前に行われた打ち上げの席で、ゆりは現実に直面します。

自分と同じで「友達がほとんどいない」「他人と話すのが大の苦手」と思っていたのに、カースト上位の加藤明日香(かとう あすか)や男子と普通に会話しているもこっち。
先日(誤解によるものではあるが)揉めていたクラスメイトの岡田茜(おかだ あかね)と蟠りもない様子で話し込んでいる吉田さん。
これ見よがしに2人にしかわからない修学旅行の思い出を話すキバ子に対し、戸惑いながらも対応する真子。

この時のゆりは強烈な疎外感に襲われ、他の3人がいずれ自分以外と仲良くなって疎遠になってしまうかもという不安が増大しているように見受けられます。
修学旅行の際に真子が自分から離れていってしまった経験をしたことで、友達がいなくなる怖さを知ってしまったのも大きかったのでしょう。

幸いにも進級しても4人の誰1人として欠けることなく同じクラスになり、ゆりにとって理想的な展開で3年生がスタート。
しかし彼女の苦心はまだまだ続きます。

【わたモテ】キバ子(南小陽)を徹底解説!キョロ充から地獄へ… #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

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『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は、当初モブとして登場したキャラがのちにメインや準メインキャラになることが多々あります。
その中の1人で、トレンド入りを果たすまでになった南小陽、通称“キバ子”についてまとめてみました!

南小陽(みなみ こはる)キャラクター概要

わたモテ キバ子出展 : (c) 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)のクラスメイトとして2年時より登場。
短めの前髪と八重歯が特徴的な女子で、上着はカーディガンを愛用しています。
普段は三角形の髪留めをしていますが、打ち上げや遠足など特別なイベントの際には別の形の物を装着するなど、こだわりを持っているようです。

グループ内や親しい友達の前では明るく振る舞う反面、自分の気に入らない出来事や相手に対しては人一倍不満を露わにします。
典型的なキョロ充で、コミュニケーションの大半が他人の悪口のため、一部のキャラからは露骨に嫌われている模様。
もこっちからは心の中で「キバ子」と呼ばれています。

「可愛すぎるモブ」から「口の悪い脇役」へ

キバ子の存在が明らかになったのは、8巻収録の喪69「モテないし班決めする」でのワンシーン。
もこっちのクラスメイト、田中真子(たなか まこ)が修学旅行の班決めに関して、友達の田村ゆり(たむら ゆり)に対し「ごめんね南さん達にさそわれて断れなくて…」と組めなくなった理由を打ち明けていた場面ですね。
この時点では名前のみでしたが、11巻収録の喪99「モテないし友達の友達」で真子を昼食に誘うクラスメイトとして初登場を果たしました。

以降はモブとして時折登場しますが、特筆すべき行動はなく、モブとしては際立って可憐な容姿で目を惹くだけの存在でした。

そんなキバ子が読者に強烈なインパクトを与えたのが、12巻収録の喪117「モテないし2年生の終わり」での一幕。
ゆり、真子と共に校内を歩いていたもこっちが階段に躓いて派手に転んでしまったのを、たまたま通りかかったキバ子が見ており、一笑に付したのちに「うける」と発言。
これまでどんな性格なのかほとんど描かれていなかったキバ子の人となりが一発でわかる事態となりました。

(なおこの場面はそれだけではなく、悪態を吐かれたもこっちが「うっせーキバ子…歯 矯正すんぞ……」と呟いたことで彼女のあだ名がキバ子に確定し、そのもこっちのセリフに普段滅多に笑わないゆりが顔を真っ赤にして笑ったことでキバ子への悪感情が顕著になるなど、さり気ない日常シーンでありながら重要ポイントとなっています)

そして、同巻の喪120「モテないし打ち上げる」でキバ子のちょっと困った性格が決定的なものになります。

ゆり&真子との関係

クラスの打ち上げ会で、キバ子は隣になったゆりを完全無視し、後ろにいた真子と修学旅行時の思い出を延々と語り始めます。
その行動自体は、普通なら特に問題ありません。
近くに友達がいたから、2年生の総決算である打ち上げの席で思い出を語らう……ただそれだけのことだと解釈できますから。

しかし実際には、このキバ子の行動はかなりエグいものだったりします。

ポイントは、修学旅行の班決めでキバ子がゆりと組む予定だった真子を自分の班に引き入れていた点。
「誘いを断れなかった」という真子のセリフから強引な勧誘だったことが窺え、ゆりの視点では「修学旅行という高校生活最大級のイベントで唯一の友人を半ば強引に奪われた」という認識だったと思われます。

そんなゆりが傍にいる中で、修学旅行の思い出をこれ見よがしに語り、更には悪びれる様子もなく「3日目も一緒にいたかったのにまこっち裏切るんだもんー」と発言します。
(ゆりと真子はこの件で一時期険悪になっており、修学旅行中に和解し、後半の自由行動で合流)

キバ子のこれらの行動は「2人にしかわからない話題で盛り上がる」といったゆりへの当てつけに留まらず、2人が険悪になった原因である修学旅行の話題を蒸し返し、しかも「裏切り」というキーワードを用いることで「当時の険悪な雰囲気を思い起こさせる」「ゆりのトラウマを刺激する」といった狙いがあったものと推察できます。
実際にどこまで計算しての発言だったのかは不明ですが、この一件以降元々少なかったゆりの笑顔が極端に減ったことからも効果絶大だったと思われ、いろんな意味でキバ子の存在感が一気に増す結果となりました。

【わたモテ】うっちー(内笑美莉)というわたモテを変えた女子 #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

出展 : 谷川ニコ(著) : Amazon.co.jp

『わたモテ』のみならず、マンガ界全体の中でも屈指のモブ顔でありながら、人気キャラへと上り詰めた“うっちー”こと内笑美莉。
何故百合に目覚め、ストーカーとまで呼ばれるようになったのか…。
わたモテが路線を大きく変える起点となった彼女の心の移り変わりを徹底解説します!

内笑美莉(うち えみり)キャラクター概要

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)のクラスメイトとして2年時より登場。
髪型はボブカットで、もこっちが密かに「絵文字」と呼ぶなど非常にシンプルでサッパリした顔立ちが特徴の女子。
スタイルは良さげ。

思い込みが激しいところがあり、特定の対象に関しては極端に視野が狭まる一面はあるものの、それ以外においては標準的な女子高生で、友達も多く「うっちー」と呼ばれ慕われている模様。
ただし特定の対象への執着心は尋常ではなく、常軌を逸した行動に出ることも。

キョロ充扱いされていたモブ時代

うっちーの初登場は同じ修学旅行組の田村ゆり(たむら ゆり)、吉田茉咲(よしだ まさき)よりも一足早く、7巻収録の喪59「モテないし応援する」でその姿を確認することができます。
2年生時の夏休み、強制参加の野球部応援のため野球場へ向かうことになったバスの中、もこっちの隣の席になったのがうっちーでした。

当時ぼっちだったもこっちは、“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)以外のクラスメイトとはほとんど話をしたことがなく、当然うっちーも例外ではありません。
そのためか、うっちーはもこっちを視野にも入れず、後ろの席の友達と喋り続けていました。
これ自体は特に問題のある行動ではありませんが、ぼっちを拗らせ被害妄想気味な発想が多いもこっちは「私この席にいますけど黒木さんと違って友達います」アピールを周囲にしていると受け取り、不快感を抱いていました。

一方、うっちーの方は当時もこっちには一切関心がなく、その後の修学旅行で「1班4人のため仲良し5人組から1人余った」という理由でもこっち達と同じ班になった際にも、もこっち達と行動する意思は全くなし。
旅館に到着すると、すぐに友達のいる「雌猫の間」へと移動していました。

この時の行動から、もこっちはうっちーを「キョロ充」っぽいと思っているようです。
※キョロ充とは、「リア充グループに属していながら常に他人の目を気にして落ち着きのない人」を指す言葉
確かに、もこっち視点でのうっちーは「他に友達いるからアピール」が強めのようなので、そう見えていても不思議ではありません。

しかし実際には、うっちーは雌猫の間グループ内でかなり慕われているようです。
13巻収録の喪129「モテないし教えてあげる」では、一緒に回る予定だった雌猫の間グループの友人達に黙ってもこっち達と合流していたにも拘らず、その友人達に非難されるどころか「うっちー 一緒じゃないとつまんないよ」とまで言われていました。
恐らくキョロ充ということはなく、それどころかグループの中心人物の可能性さえありそうです。

ちなみに雌猫の間グループはうっちーを含め8人いることが確認されていますが、修学旅行前のうっちーの「5人組」発言や、クラス替えの際に6人全員同じクラスだと喜んでいたこととは矛盾しており、本当のところ何人のグループなのかは定かではありません。
その辺のアバウトな人間関係も女子高生らしい……のかも?

転機は修学旅行最後の夜

もこっちに対するスルー具合から、もこっち及び読者からあまり良い印象を持たれていなかったうっちーですが、修学旅行時に旅館の別室でデリケートな部分の処理をしていたもこっちが窮地に立たされた際にさり気なくフォローするなど、人として優しい部分は見せていました。
その一方で、心の中で「あんたらとは極力関わりたくないし思い出も作りたくない」と断言するなど、同じ班のもこっち、ゆり、吉田さんに歩み寄る気は一切なし。
恐らく、クラス内で明らかに浮いているもこっちと吉田さん、いつもイヤフォンで音楽を聴いているゆりに対して良い印象を抱いていなかったのでしょう。

そんな彼女に突然、人生最大の転機が訪れます。

それは修学旅行最後の夜。
この日は2人部屋で泊まることになっていて、うっちーと同部屋になったのはもこっちでした。

それまでは常に雌猫の間グループの友達と行動を共にしていたうっちーですが、この日の夜に限っては「今日くらいはみんな部屋でゆっくりしたいでしょ」と自室に留まります。
これが悲劇の始まりでした。

・何気なくテレビを付けた際に流れていたバラエティ番組内の心理テストで、選んだ回答が「処女の確率が高い」方だったことから、「遊び人」の方を選んだもこっちに何故か見下され早口で処女卒業についてアドバイスされる
シャワーを浴びている最中(弱味を握るため)もこっちから覗かれてしまう
・ちょっとしたアクシデントで下着を盗まれた(と誤解する)。
・もこっちが女性キャラばかり登場するアニメを観始める
・(変な寝顔や寝言などの弱味を握るため)寝ているところをジーッと見つめられる

以上の奇行を一晩でやらかしたもこっちに、うっちーの修学旅行の思い出は全て塗り替えられてしまいます。
そしてこの経験によって、もこっちに対する心証は「なんか地味で何考えてるかよくわからないぼっち」から「自分を付け狙う同性愛者」へと劇的に変貌を遂げたようです。

当然これはうっちーの誤解ですが、修学旅行最後の夜にもこっちから受けた仕打ちを考慮すれば、こう思い誤ってしまうのも無理はありません。
それまで一切話しかけてこなかった人物が急に処女卒業のレクチャーをはじめ、入浴中に覗き見し、下着まで盗み、女同士でイチャイチャするアニメを観だし、寝顔をじっと眺めてくる訳ですから。

以降、うっちーはもこっちに「キモい」という感情を抱く一方、もこっちのことが気になり過ぎて仕方ないという不安定な精神状態になっていきます。

キモいけど気になるアイツ

修学旅行後のうっちーは、もこっちが自分を性的な目で見ていると誤解し、露骨に嫌悪感を示すようになります。
トイレで出くわした際には「トイレまで自分を追いかけてきて音を聞こうとした」と思い込んだり、体育祭のチアリーディングの練習の際に下半身を覗き見され(これは事実)自分をオカズにしていると血の気が引いたり……もこっちのあらゆる行動を自分への性的なアプローチだと思い込んでいました。

その後、体育祭の応援合戦でうっちーの中に新たな感情が芽生えます。

チアの最中にもこっちが自分を視姦してくるに違いない……と覚悟を決めていたうっちーですが、もこっちの視線の先は彼女ではなく、根元陽菜(ねもと ひな)や加藤明日香(かとう あすか)など別の女子ばかり。
ずっと見られることを嫌悪してきたうっちーですが、いざ自分に見向きもしないもこっちを目の当たりにしたら「なんで私を見ないの!?」と言わんばかりに激怒してしまいます。

この一件以降、うっちーのもこっちに対する感情は「自分を性的な目で見るキモい奴」から「キモいけど気になって仕方ない奴」へと変化。
自分と似た髪型のゆうちゃん(もこっちの親友)に下着を合わせていた場面に偶然出くわした際には「自分と似た女に下着あてがってる」と自分本位の思い込みに終始し、授業中にLGBTについて詳しい知識を披露したもこっちに対し生唾を飲み込み、更には見られただけで「視姦してきた」と逃げ出すなど、性的な目で見られる嫌悪感以上に「自分を同性愛の対象として見ているもこっち」への過剰な意識が目立つようになります。

そして、うっちーの人生観を変える決定打となった喪105「モテないしお返しをする」へと繋がって行きます。

11巻収録のこのエピソードは、北海道に行ったうっちーがそのお土産のお菓子をクラスメイトに配るというお話。
雌猫の間グループの親しい友達に配り終えたうっちーは、6枚余ったお土産を修学旅行で同じ班になったゆりや吉田さんにも渡します。
本人も思っているように持ち帰れば済む話で、2人に対して「極力関わりたくないし思い出も作りたくない」とまで思っていたことを考えると、やや理解に苦しむ行動です。

その後、修学旅行組の最後の1人であるもこっちにも渡そうとしますが……何故かこの時に「他の2人に渡しちゃったし1人だけのけ者にするのは可哀相だから仕方なくあげるか」と自分自身に対して言い訳を繰り返します。
これではまるで「もこっちにお土産をあげる理由を作るために他の2人にあげた」かのよう。
事実、ゆりと吉田さんには1枚ずつ配っていたのに対し、もこっちには4枚もあげようとしており、露骨に扱いが違います。

この時点で、うっちーのもこっちに対する感情は明らかに嫌悪よりも好意が勝っています。
上記の理由作りは、気になる存在だけどそれを認めたくない相手に会うための理由を作る乙女の姿そのもの。
自分を追いかけ回してたはずの相手が、ある日突然自分に関心がないような素振りを見せる……という、まるで恋愛の駆け引きのような体験をしたことで、もこっちのことを相当強く意識してしまったようです。

更に、もこっちが寝ている間にこっそりお土産を渡した結果、下駄箱にお礼の手紙(手描き)を送られるという強烈なカウンターを受け、撃沈。
手紙を読むうっちーの頬は赤く染まっており、完全に恋する乙女の顔になっていました。

【わたモテ】どうしてもこっちは女子にモテるようになったのか? 検証まとめ #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

出展 : Amazon.co.jp

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の主人公、もこっちはかつてクラスメイトから相手にされない“ぼっち”でした。
そんな彼女が、現在は周囲の女子からモテモテになるという事態に!?
何故こんなことになったのか、徹底的に検証します!

実はアグレッシブだった非モテ時代

出展 : (c) 谷川ニコ/スクウェアエニックス・「ワタモテ」製作委員会 : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』というタイトルが表しているように、主人公の“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)は連載初期~中期には全くモテていませんでした。
作中で表現されていた「モテ」は男に対するもの、すなわち男性と縁がない喪女という意味でしたが……彼女の場合、単に異性にモテないだけでなく、高校入学以降は全くクラスに馴染めず“ぼっち”になっており、女子にもモテていない状況が続いていました。

男子にモテないのはともかくとして、何故もこっちは女子にもモテていなかったのか?
それは単純なコミュ力の低さだけでなく、他の女子、特にリア充グループに対する強烈な偏見と、安定しない自己評価が原因だったのではないでしょうか。

女子が他の女子と仲良くする最大のポイントは「同調性」「共感」
「わかる~!」が言えるか言えないかでグループに入れるかどうかが決まると言ってもいいくらい、これは重要です。
もちろん、その為にはまずグループの中に入ろうとする勇気、話しかける勇気が必要なのは言うまでもありません。

もこっちは高校1年時、常に女子グループに対し憧れと嫌悪感を抱いており、遠くから眺めるだけでした。
これは「自分はあいつらとは違う」という虚勢と、「自分はああはできない」という諦観が混じっていたからでしょう。
いずれも同調や共感からはかけ離れた感情です。

通常、こういった性格だと自分の世界に閉じこもってしまいがちですが、もこっちの場合はそのセオリーを逆走するキャラ。
既存の女子グループには接触せず、図書室で既読済みの本を読んでいた女子を花火見に誘おうとしたり、教室でマンガを読んだりお菓子を食べたりして向こうから近付いて来てくれるのを待っていたりと、普通の人はあまりしないアプローチを繰り返し、悉く失敗していました。

これらの奇行が友達を作れない大きな要因になっていたのは間違いないでしょう。
しかし同時に、このアグレッシブさがその後の「モテ時代到来」への布石にもなっていたのです。

トライ&エラーの日々が糧に

出展 : (c) 谷川ニコ/スクウェアエニックス・「ワタモテ」製作委員会 : 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

1年時のもこっちは非常に積極的で、友達ゼロの状態でもクリスマス会に参加しようと試みたり、キャバ嬢になる方法が知りたくて歌舞伎町に単身出かけたり(もこっちの居住エリアは千葉)と、常にいろんな行動を起こしていました。
また、結構目立ちたがり屋の性格で、七夕の短冊に書く願いごとやクラス替え直後の自己紹介などの際には必ず何かしらのネタを用意し、笑いを生もうと躍起になっていました。
しかし残念ながらその行動が実を結ぶことはほとんどなく、そのトライ&エラーが『ワタモテ』の醍醐味でもありました。

けれど、直接的な成功には繋がらなかったとはいえ、彼女の積極性は全くの無駄に終わった訳ではありません。
例えば自己紹介に関しては、同じクラスの“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)と会話するきっかけになりましたし、七夕の短冊は生徒会長の今江恵美(いまえ めぐみ)との接点の1つとなりました。

何より、失敗続きでも行動し続けた事実が、もこっちの中で確実に糧となり、牛歩レベルではあるもののコミュニケーション能力の向上に繋がっていたと思われます。
もしもこっちが対人スキルの低さに尻込みして何も行動を起こさない日々を送っていたら、引きこもりになっていたかもしれません。
「友達が欲しい」「誰かに認められたい」「チヤホヤされたい」というもこっちの想いは、彼女と学校とを繋ぐ糸となり、やがて多くの縁を繋いでいくことなります。

【ワタモテ】は本当に百合路線になったのか?徹底検証まとめ #私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い #ワタモテ #わたモテ

出典 : (c)BOOK WALKER CO., Ltd. : KADOKAWA直営電子書籍サイト BOOK☆WALKER│無料試し読みあり

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は、喪女でぼっちの主人公・もこっちの強烈なキャラクターが好評を博しアニメ化も果たした人気作です。
そんな『わたモテ』が最近、百合路線にシフトしているとのこと。
本作の歴史を振り返りながら検証します!

ぼっち喪女・黒木智子の憂鬱(1~4巻)

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アニメファンやマンガ好きが抱いている『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』、通称“わたモテ(ワタモテ、私モテ)”のイメージは、大半がこの頃の「ぼっち路線」でしょう。
オタクでぼっちで喪女の主人公、“もこっち”こと黒木智子(くろき ともこ)が、時にリア充を呪い、時に他者との繋がりを求め暴走し、孤独に押し潰されそうになりながら送る学校生活の様子を描いていたのがこの時期です。
本作は2013年にアニメ化されましたが、その映像化されたエピソードも全てこの時期のものですね。

この時代のわたモテは、友達が少なくコミュニケーション能力が低いもこっちのやらかしと奇行に面白さが凝縮されていました。
話し相手は弟の智貴(ともき)ら家族が大半で、学校では稀に担任や上級生で生徒会長も務めた今江恵美(いまえ めぐみ)から話しかけられる程度。
自分を妙に高く評価する自意識過剰なところがある一方で、必要以上に自分を卑下し自虐的になることも多く、もこっちのそんな人間味のある揺らぎや歪みが多くの共感性羞恥を生み、「喪女と言えばもこっち」というくらい彼女の人物像はアニメ・マンガファンの間で定着しました。

ちなみに、この作品が最初に評価されたのは国内ではなく、海外の掲示板「4chan」です。
1巻の帯には「海外の2ちゃん的な掲示板で大人気!!」と堂々と記されていました。
作風よろしく、普通のマンガとはちょっと違う捻くれたブレイクの仕方をしていたんですね。

ぼっち路線からの脱却(5~7巻)

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もこっちはクラスメイトとさえまともに会話できないため、初期のエピソードの大半は彼女のモノローグで進行していました。
また、登場人物も極端に少なく、親友ポジションの成瀬優(なるせ ゆう)も学校が違うため出番は限られており、「わたモテ=もこっちの生態観察」という図式が成り立つほどでした。

そんなわたモテの路線が、2年に進級した5巻から明らかに変化します。

5巻収録の喪39「モテないし自己紹介する」では、1年時にはクラスメイトながら一切会話していなかった“ネモ”こと根元陽菜(ねもと ひな)から話し掛けられ、少しずつ会話するようになります。
また、喪46「モテないし昔の知り合いと出会う」では中学時代のクラスメートだった小宮山琴美(こみやま ことみ)と再会し、ほぼ毎回もこっちが誰かしらと絡む「脱ぼっち路線」へとシフトしていきます。

なお、6巻収録の喪51「モテないし同性を意識する」では、もこっちが百合を意識するエピソードが描かれています。
ただしあくまで1話完結のネタ回であり、このエピソードをもってわたモテが百合路線にシフトしたという事実はありません。

新たな交友関係のスタート(8~10巻)

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わたモテ最大の転換期と言えるのがこの時期。
契機となったのは8巻~9巻に収録された「修学旅行編」ですね。

クラス内に友達のいないもこっちは、同じく余りもので不良の吉田茉咲(よしだ まさき)、仲良しグループで1人余ったため仕方なく別々の班になった“うっちー”こと内笑美莉(うち えみり)、そして友人の田中真子(たなか まこ)が他の友達と組むことになり1人になってしまった田村ゆりと一緒の班で修学旅行に臨むことになります。
全員がほぼ会話さえしたことない他人同士。
もこっち本人も当初から想定していた「地獄のような修学旅行」が現実になる……かと思われましたが、多少のトラブルはありながらも意外と楽しい時間を過ごし、その後も疎遠になることなく彼女たちとの縁は続いていきます。

特にゆりとはLINEのIDを交換し、旅行後は真子を交え昼ごはんを一緒に食べる仲になります。
一方で修学旅行時は極力もこっちに絡まないようにしていたうっちーが妙にもこっちを意識し始めるなど、もこっち以外の登場人物の感情の動きにもスポットが当たるようになっていきます。

この頃になると、ぼっち路線の面影はほぼ消え「もこっちと彼女を取り巻く周囲の人々による学園マンガ」に変貌しています。
ただ、この段階ではまだ百合路線の兆候は見られません。

もこっちの成長と他キャラの掘り下げ(11~12巻)

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登場人物も一気に増え、新たな局面を迎えることになったわたモテですが、その変遷の最中にあってもこの時期はやや特殊と言えます。
インパクトのあるギャグ回が減り、随所に丁寧な描写が光る非ギャグ回が増えていきます。
体育祭が終わり、秋から冬に移り変わる時期のお話ということもあるのでしょうが、最大の要因はもこっちの成長にあります。

高校に友達がいなかった頃のもこっちは心に余裕がなく、落ち着きのない生活を送っていましたが、ゆりや真子と友達になり、毎日誰かしらと会話する日々を送る中で少しずつ穏やかになっていきます。
以前のようにリア充を憎むこともなくなり、相手を気遣う余裕も生まれてきました。
主人公の成長によって、作風もそれに合わせるように自然に変化していったのでしょう。

また、この時期はもこっち以外のキャラの掘り下げも積極的に行われています。

お菓子のお礼を書いた手紙をもこっちからもらい、赤面するうっちー。
バレンタインデーでもこっちにチョコを贈り、そのお返しに「ウン○型のチョコ」をもらうも、震えながらそれを口にするうっちー。
卒業式の際に今江先輩から抱擁されるもこっちを見て歯軋りするうっちー。

そう。
彼女はもこっちを気にするあまり、いつしか恋に落ちていたのです。
ここでついに、わたモテに百合要素が芽生えました。