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23

May

何度も見ても切なく、見返したくなる『リズと青い鳥』の描かれ方 #リズと青い鳥

『リズと青い鳥』の見所!
その1 言葉ではなく、表情や仕草で語る!

出典 : (c)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 : 『リズと青い鳥』公式サイト

『リズと青い鳥』では言葉を使った解説、というものは少なく、モノローグを使うこともありません。
よく映像作品でよくある露骨な「説明セリフありがとうございます!」といった演出とは無縁で、ただそれでも作品として説明不足、ということには全くなっていません。

ではどのように情報を伝えているかというと、表情や仕草です。

『リズと青い鳥』の登場人物たちは、嬉しければ嬉しい顔をし、悲しければ悲しい顔をする。瞳も感情に合わせて揺れ動く。また、言いよどむようなことがあれば、実際に言いよどむのです。

会話をしていてもただ会話をするだけではなく、足を遊ばせていたり、髪の毛を触っていたり、何かを感じている、という信号を視覚的に発信しているのです。
こういった表情や仕草が登場人物たちの特徴や感情をしっかりと語っている、というわけです。

特に印象的なのが、物語の最初、みぞれと希美が音楽室へ向かうシーン。

ほとんど会話はなく、二人がただ音楽室へ向かって歩いていく、という場面なのですが、ただそれだけの動きにさえ、二人がどんな人物なのか、ということが表れています。

例えば上履きの出し方

希美は下駄箱から取り出した上履きを投げ出すように乱雑に床に置くのに対し、みぞれは揃えた状態で床に丁寧に置く

歩き方にもはっきりとした違いがあり、希美はきびきびとした躍動感のある歩き方で、時折振り返ることはあるものの、どんどんと先へ先へと進んでいく。
それに対し、みぞれはやや前傾姿勢でとぼとぼと歩く。ただそれでも視線だけはずっと希美を追い続けている。
(余談だがこの歩き方が相当に芋っぽい。二人の歩き方のギャップというところも素晴らしいですが、このみぞれの歩き方だけでも一見の価値アリです…!)

ただ二人が歩くだけのシーンなのに、二人がどんな性格なのか、またどのような関係なのか、というのが如実表れているシーンです。

その2 誰に感情移入するかで大きく変わるストーリー

この物語を通して、誰に感情移入するか、という話題がありますが、
公式Twitterでの公式アンケートで最も多かったのが「壁とか机とか」
ほぼ半数を獲得し、あくまで傍観者として二人の関係を見守った、という方が多かったようです。

キャラクターに絞ればみぞれと希美は2:1くらいで、みぞれに感情移入したという人の方が多かったようです。
確かにみぞれのように「大好きな人から同じように大好きと思ってもらえない」という気持ちは、人を好きになった人であれば誰しもが感じたことのあるものだと思います。
「何故そこまで希美にこだわるのか?」というところまでは感情移入できないかもしれませんが、「大事な人から大事に思われたい」という気持ちは理解しやすいもの。
また、みぞれを主眼に物語を見ると、多くの物語同様”自立”がテーマとして受け取ることができます。

一方希美に関しては明るいキャラクターながらも、腹の中で何を考えているのかわからない節もあり、やや感情移入しづらいキャラクターではありますが、彼女を軸に物語を見直すと全く違う印象を感じ取れるところがこの作品の凄みです。

特に、終盤の合奏シーンに関しては、視点を変えることで全く異なった感情が押し寄せ、ないまぜになる、感情が渦巻く圧巻のシーンになっています。まさに筆舌に尽くし難いシーンですので是非見ていただきたい…!

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