11話：科学の武器

千空によって石化を解かれた大樹・杠、そして司だったが、70億人を救うという千空の考えと、純粋な若者だけ選別して復活させるという司の考えが割れる。結果、千空は司に殺されることとなるのだがーーー。
目の前で親友を殺され激昂した…ように見せかけた大樹は、杠と千空、3人で約束した作戦を決行。千空を殺され、激怒した大樹が司に襲いかかると見せかけ、杠が隙を見て黒色火薬を二股に散らして退路を作り、見事司の魔の手から千空の死体とともに逃げ果せたのである。

しかし、元々の作戦に「千空が死ぬ」ことは含まれておらず、もちろん大樹は心乱される。

だが親友だからこそ昔から千空のことを熟知している大樹は遠い記憶を思い出す。
そう、千空は昔、とある心理テストで「誰か1人しか救えなかったら誰を救うか」という問いに、「全員」と答えたのだ。そこに自己犠牲も、他人を見捨てるという考えもなかった。それを知っている大樹は「きっと千空は生き抜くヒントを自分に残してくれている」と考え抜き、見事千空を蘇らせる術を見つけるのであった。

この回は、千空を誰よりも知っている大樹が、諦めの悪さと相手を信じ抜く力で千空を救うという、深い絆が見て取れる大切な回である。大樹を体力バカだと日々いじる千空も、親友の大樹だからこそ命を預けられたと言えるだろう。

また、この後の15話の話にはなるが、千空が一命を取り留めたきっかけである化石解除時の修復能力を大樹は「命の石、Dr.STONEだ」と発言している。これが「石化は地球への攻撃ではなくその逆ではないのかーーー？」という伏線に繋がるのである。

66話：ウソつきと正直者

科学王国を作りに旅に出た千空と司帝国のスパイとして潜伏する大樹と杠。それは何ヶ月、なんてものではなく、何十年と分かつ日々なのかもしれないと覚悟していた大樹であったが、千空からの連絡はなんと1年でやってきた。しかも携帯電話という形で。まさか1年で携帯電話まで作ってしまうのかと感心する杠と、連絡があったことに歓喜極まって号泣する大樹。だが、そんな感動に浸る暇もなく、大樹と杠は司帝国の面々を科学王国側に味方につける必要がある。

時間のないことを理解した大樹は涙を飲んで、すぐさま自分たち2人の見張り役であるニッキーに声を掛ける。「馴れ合うつもりもない」と大樹を一刀両断にするニッキー。彼女は４文字以上喋ればブン殴ると宣言し、話すのをやめようとしない大樹を問答無用で殴りつける。しかし大樹はそれでもへこたれず「俺を殴り続けて構わん。そのかわり聞いてくれ、俺の友達の大切な話を！！！」と真っ向からぶつかり、とうとうニッキーが折れることとなる。まさに、大樹の肉体の頑丈さがものを言った回である。

ちなみにこの回では「リリアン・ワインバーグ」という、今はなき世界的トップ歌手のモノマネをゲン(科学王国側の人間、マジシャンでメンタリスト)がして、電話越しに「アメリカ合衆国は復興している、だから電話もあるし、リリアンもいる」と言ったデマ情報で司帝国に流し、戦力を削ぐ作戦であったが、このことがウソであると大樹が知れば自ずと顔に出てしまうため、千空は大樹に対してリリアン以降の作戦は伏せていた。無論、大樹はまんまと、電話越しのデマ情報に騙されたのであった。

【大樹を取り巻く人間関係とは？】敵国：司帝国にて片想いの杠と2人っきり…とはいかない？

石神千空(いしがみせんくう)

超科学者の主人公で大樹の幼馴染。大樹が蘇ったのも千空のおかげ。ゼロからともに文明を築き上げていこうと誓い、「頭を使うことは千空、お前に任せる。体を使うことは俺に任せろ」と大樹も良きコンビとして認めている。ちなみに、元の時代の時に使用していた携帯電話は千空に支給されたものだという。大樹は人の良さから実験の手伝いや被験体として使われていたのではと推察される。

小川杠(おがわ ゆずりは)

大樹の片想い相手であり、密かな両想い。第三者から見れば似た者夫婦。４番目の復活者。大樹とともに司帝国にスパイとして潜伏しており、元手芸部の手先の器用さを買われて千空より「司がバラバラに砕いた石像を一片残らず繋ぎ合わせて石化を解き、石化の修復力で元の人間に戻す」というミッションを担っている。天然ではあるが大樹よりは頭がキレ、千空の意図は読み取る。

獅子王司(ししおうつかさ)

3番目の復活者であり、霊長類最強の高校生という異名を持つ。千空と相反し、司帝国を作り上げたため、千空・大樹・杠は帝国阻止のために動いている。問題の元凶。しかし悪かと言われればそうでもなく、大樹も序盤では「善い奴だ」と評価するほど、根は真面目で実直な男。ただし、司は冷静で頭がキレるタイプなので脳筋な大樹とは相性が悪い様子。

花田仁姫(ハナダニキ、愛称はニッキー)

司帝国にて復活させられた180cm元柔道部の屈強な女の子。姉御肌に見えるが心は乙女であり、現代文明の時は歌姫リリアンのガチのファンであった。明らかにスパイである大樹・杠の動向を監視するように命じられていた。このため一番最初に科学王国側に誘った敵であり、ゲンを除いて最初に寝返ってくれた味方である。

まとめ

司帝国に潜伏している間は、大樹も杠も活躍が乏しかったが、第一幕である司帝国の阻止が終わった今、再び千空とのコンビを見せつけてくれるのではないかと期待が高まる。また、1話目からヒロインとして本編に華やかさを飾ってくれた杠が、大樹との関係をどのように発展していくかも見ものである。
ぜひ連載中の漫画はもちろんのこと、アニメでも大樹と杠の恋愛や、大樹の熱血漢ぶりを楽しんでもらいたい。