ストレスフリーの優しい世界

出展 : Amazon.co.jp

本作の魅力は、その穏やかな世界観にあります。
なろう系の異世界ファンタジーは重い設定やストーリーで魅せるシリアスから、キレのあるギャグでキャラを引き立てるコメディまで数多く存在しますが、この『スライム倒して300年』はスローライフというジャンルに特化した作品になっていて、一切のストレスを感じさせない日常ものになっています。

とはいえ、アズサに全く危険がない訳ではありません。

シャルシャは当初、アズサに殺されたスライムたちを供養するため彼女に戦いを挑みます。
普通に戦ってもアズサには太刀打ちできませんが、シャルシャは50年かけて「破邪《高原の魔女》」という対アズサに特化した「魔法無効化」の魔法を準備しており、一時はアズサに死を覚悟させるほど追い詰めました。
レベル99でドラゴンさえ一蹴する最強魔女であっても、決して無敵ではないのです。

それでも、この『スライム倒して300年』には常にスローライフの空気が漂っています。
日常メインですがバトルもそこそこあり、緊張感の漂うシーンも少なからず存在しますが、読者がストレスを感じるような展開は一切ありません。
常に心地良く読むことができる物語です。

また、その空気感はマンガ版だとより顕著で、シバユウスケ先生の描く絵はデフォルメが利いていて、間の取り方も独特。
本作特有のまったりなスローライフ感を更に増幅させています。

メインキャラクターに男性キャラがいないのも特徴ですね。
いわゆる「きらら系」と共通する、ほのかな百合もエッセンスとして含んでいるので、日常アニメが好きな人にとってはかなり相性の良い作品と言えます。

そして、なろう系ならではの主人公無双も常備。
レベル99という設定だけでなく、強者オーラで敵をビビらせるシーンもしっかり描写されています。

ただ、本作の最大の魅力であり特徴は、アズサが異世界で家族を得て、そこに安らぎを感じるところにあります。
過労死した前世の記憶から面倒事や労働を避け、300年ずっと一人で気ままに生きてきた彼女が、誰かと一緒に過ごす日々に生き甲斐を感じるシーンはとても尊いです！

アニメ化決定！ キャストはドラマCDから続投

出典 : © 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. : スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

2019年10月、『スライム倒して300年』のテレビアニメ化が発表されました。
1月現在、放送時期やスタッフ、制作会社などの詳細は明らかになっておらず、キャストのみが発表されています。

キャストはドラマCDから続投。
アズサ役を悠木碧（ゆうき あおい）さん、ライカ役を本渡楓（ほんど かえで）さん、ファルファ役を千本木彩花（せんぼんぎ さやか）さん、シャルシャ役を田中美海（たなか みなみ）さん、ハルカラ役を原田彩楓（はらだ さやか）さん、ベルゼブブ役を沼倉愛美（ぬまくら まなみ）さんが担当します。

また、レッドドラゴンと対立関係にあるブルードラゴンの娘・フラットルテ役を和氣あず未（わき あずみ）さん、地縛霊の少女・ロザリー役を杉山里穂（すぎやま りほ）さんが新たに加わることも決まりました。

アニメ化される際はドラマCDとは違う声優がキャスティングされることが圧倒的に多いので、かなりのレアケース。
ファンにとっては既に馴染みのある声なので、安心して放送を待つことができますね。

まとめ

転スラに続きスライム系なろう作品がアニメ化決定です！
原作や漫画版はまったりとした雰囲気が魅力なので、アニメもそのユルい雰囲気をぜひ再現して欲しいですね。